東京都中野区の老人ホームで起きた殺人事件。真面目でおとなしく、無遅刻無欠勤だったという男は、なぜ犯行に走ったのでしょうか。無料メルマガ『東北NO1メンタルトレーナーが送る『自信をはぐくむ、幸せな自分のなり方』』の著者で心理カウンセラーの吉田こうじさんが専門家の目で分析します。
老人ホーム元職員の事件で思うこと「動機」
老人ホームで入所者の83才男性を元職員が浴室で窒息死させたという事件。勤務先の発表によると「勤務態度は真面目でおとなしい。欠勤、遅刻もなかったし、有休消化もしていた」とのこと…。
何か事件が起きるたびに、「あんなおとなしい人が…」「あんなに真面目な人が…」、こういう報道を耳にします。「そんなことをするような人じゃないのに…」って感じの人が凶悪で残忍なことをしたりする事件を見るたび、僕に言わせれば、「もっと、働く動機とか、無遅刻、無欠勤の動機とかを聞いておけばよかったのに…」って思います。
人の行動には動機があります。そして、ある動機に基づいて行動すればするほど、その動機は強化されていきます。
※ こちらの記事も参考にしてください。
例えば、「自分って赤面症なのかも?」という動機に基づいて赤面症のサイトを検索すればするほど赤面症がひどくなっていったり、「自分ってアダルトチルドレンなのかも?」という動機に基づいてアダルトチルドレンのサイトを検索すればするほど、どんどんアダルトチルドレンの傾向が強くなったりするんですよね。
ですから、その人の行動や発言よりも、
- どうして大人しく振舞っているのか?
- どうして無遅刻、無欠勤なのか?
- どうしてちゃんと有休消化をしているのか?
ここを探っておけば、「あれっ? ちょっと変だぞ!?」って、気づけるはずなんですよね。
私たちは人の見える部分(主に行動や発言)からその人のことを主観で判断します。でも一番重要なことって「どんな思い(動機)を持っているのか?」だと思ってます。いわゆるマネジメントではここを把握することが何よりも先決だと思ってます。
もしも、この元職員の働く動機が、強烈な劣等感を隠そうという動機だった場合は、働けば働くほど劣等感が強くなって苦しくなっていったことでしょう。もしも、誰かに対する怒りを隠そうという動機で働いていたなら、その怒りを増幅させていたでしょう。もしも、人から感謝されないと心が折れそうになっていたという動機で働いていたなら、今にも心が折れそうになっていたでしょう。
ときに私たちはそうした個人的な動機や価値観を引き出そうとすることを、恐れたりダメだと思っていたりそんなことはできないと決めつけていたりします。ですが、その人の行動や発言だけを見ていても実は何もわからないんだということに気づくことってすごく大切なことだと思います。
そして行動(業績・結果)だけをコントロールしていれば管理職はいいんだという勘違いにも早く気づかないと「えっ! どうして私の部下が!?」みたいな不幸な出来事がまた起きるんじゃないかなって思います。
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