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元国税調査官がこっそり教える、親の家を「無税」で相続する方法

これまで数々の税金を巡る真実を白日の下に晒してきた、元国税調査官で作家の大村大次郎さん。そんな大村さんが今回、メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で明かしているのは、親の所有する家を「無税」で相続する方法です。親と同居している人や親元を離れて賃貸で暮らす「家なき子」など、それぞれの異なったシチュエーションで受けられる「優遇制度」とは?

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2018年8月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

親の家を無税で相続する方法

相続税法は平成27年に大幅に改正され、課税対象者が大幅に増えました。それ以前は、最低でも5800万円の遺産をもらわなければ相続税はかかってきませんでした。

が、平成27年からは3600万円以上の遺産をもらえば相続税がかかる可能性が出てきました。

3600万円というと、ちょっと都会に家を持っていれば超えてしまうような額です。親が、そういう家を所有して住んでいる、という人はけっこういるのではないでしょうか?都心部であれば、狭い家でも普通に4~5000万円しますからね。買うときは安かったけど、今はすごく地価が上がっているという場所も、都心部にはけっこうありますし。そういう人たちは、相続税に対して戦々恐々としているのではないでしょうか?

そういう「親の自宅のために相続税がかかりそう」という人のために、今回は、親の自宅を無税で相続する方法をご紹介します。
対象となる家は、時価で3000万円から2億円程度です。2億円以上となると、ちょっとゼロにするのは難しいと言えます。まあ、2億円以上の豪邸をお持ちになっている人は、それなりに税金を払うべきだと思いますし…

一番いいのは二世帯住宅にすること

親の家を相続する際に、一番いいのは二世帯住宅にすることです。現在の税法では、「小規模宅地等の特例」と呼ばれるものがあります。これは330平方メートル以内の宅地を、死亡した人と同居している親族が相続した場合、土地の価格の8割減で評価されるというものです。

つまり、時価2億円の土地であっても、相続税の財産評価としては4000万円でいいのです。4000万円となると、相続税がかかるかかからないかギリギリのところです。相続人が2人以下の場合は相続税がかかりますが、相続人が3人の場合は相続税がかかりま
せん。

また、年間110万円の控除を使って、生前に資産を分配していれば、4~5年で最低でも550万円の遺産を減らすことができます。

つまりは、4000万円くらいの相続資産であれば、4~5年もあれば、相続税をかからなくすることができる、ということです。だから、「二世帯住宅」に親と一緒に住めば、事実上、時価2億円程度の家は、無税で引き継ぐことができるのです。

土地の広さの限度は330平方メートルになっていますが、これは坪にすると100坪です。100坪というと、都心部ではそうそう見られないくらいの広さです。

だから、ほとんどの家は、この限度内に収まるはずです。そして、この「小規模宅地等の特例」は広さの縛りはありますが、価格の縛りはありません。つまり、330平方メートル以内であれば、どこの土地でもいいのです。日本一地価が高いとされている「銀座の鳩居堂前」の土地であっても対象となるのです。

完全分離型の二世帯住宅でもOK

この「小規模宅地等の特例」は、非常に魅力的な制度ですが、「同居」という条件があるので、そこで引っかかっている人もけっこう多いはずです。

が、この「小規模宅地の特例」は、平成27年の改正により、完全分離型の二世帯住宅も対象とされることになりました。以前は、完全分離型の二世帯住宅はこの特例の対象外とされていました。玄関や住宅の一部が共同になっている住宅しか、この特例の対象とはされなかったのです。しかし、平成27年の税制改正からは、玄関が別々で、両家の間が行き来できない「完全分離型」でもいいということになったのです。

完全分離型の二世帯住宅ならば、二世帯住宅のハードルもかなり下がるのではないでしょうか?

親が老人ホームに入居しても可

また平成27年の改正では、「死亡時に老人ホームにいても、入所前に同居していれば、特例の対象となる」ということになりました。この特例は、何度か述べましたように、原則として財産を持っている人と、それを相続する人が同居していなくては適用できません。

だから、以前は、親が高齢のために老人ホームに入所したような場合は、この特例が適用できなくなっていたのです。しかし、平成27年の改正により、親が老人ホームに入所したことで、死亡した時にその家に住んでいなかったとしても、介護が必要なために入所したような場合は、適用されることになったのです。

同居していなくても無税で親の家をもらう方法

しかも、この「小規模宅等の特例」では、必ずしも同居していなくても、この優遇制度を受けられるケースがあるのです。それは、どういうケースか簡単にというと、

「被相続人に同居している相続人がいないこと」
「相続人が自分の家を持っていないこと」

です。

つまり、持ち家がなく賃貸住宅に住んでいる相続人が、故人の家を引き継いだ場合、この優遇制度を受けられるのです。

典型的なケースでは、故人が一人暮らしで、子供は別のところで賃貸住宅に住んでいる、というようなものです。こういうケースは、昨今よくあると思われます。

この制度は「家なき子制度」と言われています。この「家なき子制度」は、家を持っていても売却してしまっている人や、持ち家を賃貸に出して3年以上経過した人も、対象になります。

家なき子制度の主な条件は、次の2点です。

この条件に満たしているような人は、ぜひ「家なき子制度」を使いたいものです。

家なき子制度の改正点とは?

実は、この「家なき子の制度」は、平成30年度に大きく改正されました。なので、その改正内容についても、紹介しておきますね。平成30年度の改正により、次の者は、家なき子制度を受けることができなくなりました。

つまりは、自分は家を持っていないけれど、配偶者所有の家に住んでいるなどという人は、対象外ということです。なぜこのような改正が行われたか、というと、自分の持ち家を配偶者の名義にして、自分は家を持っていないということにして、家なき子制度を受けようというものや「本当は家を持っているのに、家なき子制度を受けるためだけに自宅を親族などに売却する者」などがでてきたからです。

家なき子制度というのは、持ち家のない人が、一人暮らしの親の家などを相続しやすくするための制度です。

今回の改正は、その趣旨を厳正に守るためのものだといえます。普通の人にとっては、この改正があったとしても充分にありがたい制度のはずです。対象となる人は、ぜひ使ってみてください。

image by: Shutterstock.com

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2018年8月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

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