人間は弱い生き物で、集団の同調圧力や名声を欲しがる欲望についつい流されがちです。そんな人生観に「真実」を突き付けるのは、長く人材育成に携わってきた石丸智信さん。石丸さんは自身の無料メルマガ『起業教育のススメ~子供たちに起業スピリッツを!』で今回、偉人の名言を紹介しつつ、弱い心に負けない自立した人生のあり方を論じています。
名言と事例から見る自立・自律型人財の在り方
古今東西の偉人などの名言と言われる言葉から、私自身、今の自分を省みるなど、色々と学ぶことがあります。今号では、2つの言葉と、それに関連した事例や聴講した研修内容を交えながら、自立・自律型人財、主体的な人財の在り方について、考察していきたいと思います。
まず1つ目の名言は、以下の言葉です。
一本のろうそくは何千本ものろうそくに火を灯すことができる。
しかし、それで一本のろうそくの命が短くなるわけではない。
幸福も分かち合うことで減ることはない。
この名言は、仏陀(ブッダ)の言葉だと言われています。この言葉から、まず、分かち合うことの大切さや、1人の情熱などが周りの人たちに影響を与えること、などといったことを感じました。この仏陀(ブッダ)の言葉を踏まえて、以下のような事例があります。
挨拶がなかなか浸透しない職場がありました。その雰囲気の中で、1人の女性が毎日、会社の前で、職場の仲間に挨拶をしていきました。
挨拶を始めた当初は、職場の仲間も「変わり者」といった目でその女性のことを見ていました。そして、リーダーも「止めて欲しい」と言っていたそうです。
しかし、リーダーも、毎日挨拶する女性の姿を見て、女性の想いを聴き、その後、リーダーをはじめとして、1人、2人と挨拶するようになり、次第に、多くの仲間が挨拶するようになっていきました。
その後、この職場は、お互いに協力するという雰囲気ができて、業績も向上していったそうです。
この事例から、1人でやれることには限りはあるものの、その1人の情熱や行動などが、周りの人たちの気持ちにも火を灯すといった影響を与えることもできるのではないかと思います。
また、情熱や行動力を持った人が、周りにその情熱や行動を分け与えていったとしても、その人の持つ情熱、行動力が減ることは、もちろんないでしょうね。
2つ目の言葉は、H・S・トルーマン氏の言葉です。
誰の手柄になろうと気にしなければ、人生で達成できないことはない。
自分の手柄(利益)だけを考えると視野が狭くなることや、目先の手柄(利益)に縛られないこと、手柄(利益)に捉われずに、自分にできることをとにかく愚直に実行してみること、ということを、この言葉から感じました。
以前聴講した研修の中で、信頼される人は、成功した時には「私たち」と言い、失敗した時には「私」と言う、ことを学びました。
また、会社において、リーダーが、メンバーの素晴らしい提案を自分の提案であるかのように上層部に報告するという例や、チームでの成功であるはずなのに、リーダーが「私は○○した」と自分の手柄にしてしまうといった例などが挙げられていました。
こういった話からも、やはり、自分の手柄(利益)だけを考えていると、短期的には、うまく立ち回っているように思いますが、長期的に見ると、信頼を失うなどの良い結果にはつながらないでしょうね。
そして、「これは、自分の手柄になるからやる」「これは、自分の手柄にならないからやらない」というような損得で判断ばかりしていると、自分の可能性をどんどん狭くしていっているように感じます。
また、チャレンジ精神や行動力を磨いていくためにも、自分の手柄という視点に縛られないことが大切ではないでしょうか。
上記の2つの言葉、事例などからも、自分の想いなどを実現するためには、まずは、自らが諦めないで実践、挑戦していくことが大切ですね。また、自分の想いなどが、次第に、周りに浸透していき、実現した時には、「周りのおかげ」という姿勢が大事になるのでしょうね。
それが後々、自らの信用、信頼へとつながっていくのではないでしょうか。
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