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違う、そうじゃない。なぜ社員たちは社長の外出を嫌がったのか

ある経営者の方から「先代社長や社員たちから外出を責められています」との相談を受けたという、無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』著者の梅本泰則さん。その答えは「問題の本質は違うところにある」というものでした。その本質とは?そして問題を解決するにはどうするべきなのでしょうか。

目の前の問題と、将来の問題

頑張っているのに、なかなか業績が上向かない会社があります。そんな会社の経営者からご相談がありました。「先代の社長からも社員からも、そんなに外にばかり出かけるなと責められています」ということです。

経営者というものは、メーカーさんや問屋さんとの交渉に出かけることもあります。展示会があれば、商品を見に行かなくてはなりません。商工会や組合の集まりに顔を出すこともあるでしょう。外に出る機会は多いのです。

この経営者の相談は、「会社を留守にするのは、最低限度にとどめています。数えても、そんなに責められるほどの回数ではありません。今後、どうしたらいいでしょう」ということです。

このご相談に対し、私はピンときました。経営者は、きっとこう思っています。「会社のために外に出かけているのに、どうして分かってくれないのだろう」と。そうです。社員が自分のことを分かってくれないのが不満なのです。

そこで、私はこう答えました。「問題の本質はそこではありません。先代の社長も社員の皆さんも、今の業績に不安を持っています。ですから、あなたには一刻も早く会社の現状を救ってほしいと切望しているのです。早く適切な一手を打ってくれ、と叫んでいます。外に出るなというのは、そのことを言っているのです」。

つまり、今この経営者がやるべきことは、社員に理解を求めることではなく、早く有効な手を打つことなのです。では、そんな手はあるのでしょうか。

時業績向上法

あります。それが「即時業績向上法」です。

とはいえ、これはこの経営者が目指す方法とは違います。この会社は、お客様一人一人に丁寧に対応し、お店のファンやリピーターを増やして業績を上げていくことが方針です。そのことは、決して間違ってはいません。正しい道です。

しかし、今は緊急の問題に当たっています。一刻も早く業績を回復させなければなりません。自分の思いは思いとして、別の手を打つ必要もあるのです。

では、その「即時業績向上法」とはどんなものでしょう。それは、簡単に言えば「今よく売れている商品を徹底して売る」ということです。

例えば、ブランドごとや商品カテゴリー別の毎月の売上推移を見ます。売上の上位の商品の中で、昨年より20%以上販売が伸びているものはないでしょうか。また、この3か月間で急に売上が伸びてきた商品はないでしょうか。これが「今売れている商品」です。

もしかしたら、その商品は自社が売りたいと思っている商品とは違うかもしれません。それでも、その「今売れている商品」を徹底的に売るのです。きっと、業績は回復していくでしょう。

また、「価格で売るのも一つの手です。この経営者は、「安売り」を嫌っています。私も「安売り」で売上を上げるのは好きではありません。しかし、状況はそんなことを言っている場合ではないのです。ここは少し我慢をして、安く売れる商品を揃えましょう。売上が回復したら、「安売りをやめればいいのです。これも、「即時業績向上法」の一つになります。

つまり、「即時業績向上法経営の本質ではありません。しかし、非常時には良い方法です。私は、そんなアドバイスをしました。そして、最後にこんなことを付け加えました。

問題を解決するために

決して「外出」が本質的な問題ではありません。結果として売上を回復できていないことが本当の問題なのです。それが出来ない以上、社員の不安や不満はなくならないでしょう。どんなに立派なマーケティングを行おうと、成果が出なければ意味がありません。

商売の「本質」は、お客様に必要なものを安く仕入れて適正な価格で売ることではないでしょうか。ここは、経営者としての踏ん張りどころです。どうしたら即刻売上が回復できるか、考えてください。

私には「すぐに業績が回復する手を打ってほしい」という社員の皆さんの声が聞こえてきます。そして、その手に正解があるわけではありません。いくつかの手を考えて、優先順位を決めて実行していくことです。

そのためには、メーカーさん問屋さんの力を借りることも必要でしょう。また、社員の皆さんに有効な手を一緒に考えてほしいと、頭を下げることも必要かもしれません。どうか、経営者として歯を食いしばって頑張って下さい。

このようにお答えをしたのです。いかがでしょうか。経営者は、遠い将来のことを考えて戦略をねることが必要です。しかし、それだけでは目の前に起こる問題を解決できません。多少「理想」と食い違っても、目の前の問題を解決することが将来につながっていくのではないでしょうか。

こうした問題を克服しながら、経営者は成長していくのですね。

■今日のツボ■

image by: Shutterstock.com

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ワン・トゥー・ワンコンサルティング代表。スポーツ用品業界での経験と知識を生かし、業界に特化したコンサルティング活動を続ける。
スポーツ用品業界在籍33年の経営コンサルタントが、スポーツショップの業績向上法について熱く語ります。スポーツショップのために書かれた、日本初のメルマガです。ここには、あなたのお店がかかえている問題を解決するヒントがいっぱいです。

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【著者】 梅本泰則 【発行周期】 週刊

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