南北の友好ムードの高まりを受け、韓国人の70%が金正恩に好感を持っているという調査結果を『文化日報』が伝えています。この結果にはさほど動じなかったメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』の著者で、北朝鮮研究の第一人者である宮塚利雄さんも、親北団体結成集会が開催され、ソウルのど真ん中で白昼堂々叫ばれた「金正恩マンセー」のシュプレヒコールには驚きを禁じ得なかったようです。なぜ韓国当局が黙認するのか、その理由を考察します。
我が目を疑うソウルのど真ん中での金正恩マンセー!
韓国に行った時にはまず、『東亜日報』『朝鮮日報』『文化日報』『中央日報』を売店で買って、ホテルで北朝鮮関係の記事をスクラップするのがいつものことであるが、文化日報の「韓国人の70パーセントが金正恩に好感を持っている」という記事を読んでさもありなんと思っていたら、今度は、ソウルの中心部で「金正恩を礼賛する親北団体の結成集会が白昼開かれ、物議を醸している」というニュースに接した。
一瞬、我が耳を疑ったが、「ついに来たか」と改めて、韓国における従北政権のしでかすことを思い始めた。
この団体を結成したのは「白頭称顕委員会」とやらで、左派の国民主権連帯や韓国大学生進歩連合など、13の組織が7日に結成式を行った。驚いたことに、集会では「金正恩!」「マンセー(万歳)」という北朝鮮を激賞する言葉が連呼されたと言う。集会の場所から大通りを挟んで100メートル先には米国大使館がある。
大胆不敵と言えばそれまでだが、文在寅政権でならあり得ないことではない。反共=反北朝鮮思想を叩き込まれた私には「いくらなんでも、ソウルのど真ん中で北朝鮮万歳、金正恩万歳はないだろう」と思っていたが、それは幻でもなく、白昼堂々と叫ばれたのである。しかも、このような「あり得ない」集会を保守派が批判しても、当局は目をつむり、親北団体の結成や集会は野放し状態というから、もはやお手上げである。
韓国のマスコミは日本における、在日韓国・朝鮮人の排撃を掲げてデモすることを警察当局は許可していると非難するが、私から言わせれば、“自分の国は一体どうなっているんだ!”と聞き返したい。
残念なことに韓国の新聞でまともなのは朝鮮日報だけで、文化日報もまだましだが、東亜日報や中央日報はイマイチとのこと。なぜ、朝鮮戦争で民族分断を招来し血を流したのか、その責任は「先制攻撃を仕掛けてきた金日成ではなかったのか」。
韓国政府は「民族分断に加担した中国」のことは一切言わない。それと「白頭の血筋」とか「白頭伝説」などというが、これはまったく事実無根のでっち上げの、偽りの話であるのに、韓国人は何も反論しようとしない(もちろん、全国民がそう思っているとは言わないが)。
『労働新聞』(2018年9月21日号)に白頭山で文在寅大統領夫妻と金正恩夫妻の写真が1面を飾っているが、文在寅は北朝鮮が革命の聖山と宣(のたま)う白頭山で、感極まってしまい、金正恩を称える言葉を発してしまったから、韓国内で自分以外の者が同じようなことを言っても取り締まれないのか。
もっとも、ソウル市内では従北勢力に反対して「1億ドルの金正恩暗殺懸賞金」募集デモも行われており、『統一日報』(2018年11月7日号)には「法治回復や国家正常化のために戦う韓国人たちに共感する日本人たちがいる。彼らが韓国で太極旗集会に参加した。『日韓自由文化連合』の会員たちはソウルの中心・徳寿宮大漢門前で行われた『文在寅政権退陣国民総決起大会』を参観し、大勢の人々から歓迎された」と写真入りで報じている。我が事務所にも星条旗・太極旗があるが、これは私がソウルに行くたびにもらってきたものである。反文在寅デモに私も前から参加している。(宮塚コリア研究所代表 宮塚利雄)
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