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【書評】世界的戦略家が断言、韓国は日本にとって無視すべき国

北朝鮮の非核化は本当に可能なのか。日本にとってどの選択肢が最善なのか、そして何が最悪なのか…。そんな「未だそこにある危機」である朝鮮半島問題を取り扱った書籍が売れに売れています。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』では、世界一の戦略家・ルトワック氏が著した1冊を、編集長の柴田忠男さんが紹介しています。

日本4.0 国家戦略の新しいリアル
エドワード・ルトワック著・奥山真司訳 文藝春秋

エドワード・ルトワック著・奥山真司訳の『日本4.0 国家戦略の新しいリアル』を読んだ。北朝鮮の非核化は現実に可能だろうか。現時点で、北朝鮮が進む道は三つあるという。まず、非核化した北朝鮮がアメリカの戦略的な保護の下で、経済的に発展するというシナリオ、いわゆる「ベトナム・モデル」である。この「北朝鮮のベトナム化」は、日本にとっても最善の選択肢といえる。

次の選択肢は、意外にも「現状維持」だという。金正恩の独裁体制が続き、もしアメリカによる先制攻撃などによって強制的な非核化が実現しても、ダメージを受けた北朝鮮の政権が生き残る可能性はある。それでも、第三の道、北朝鮮が非核化し朝鮮半島が中国の支配下に入るよりは遥かにマシなのだ。

北朝鮮の核兵器は、日本の安全保障にとって最大の脅威である。しかし、戦略面では日本にとってポジティブな要素である。なぜなら、それが北朝鮮の中国からの戦略的な独立を保障し、中国による朝鮮半島の支配を防いでいるからだ。北京が平壌を制御できる状態になれば、韓国も支配下にされる可能性がある。

韓国内には中国の冊封体制を受け入れたい勢力があるからだ。換言すれば、平壌は中国から朝鮮半島の独立を実際に保障しているのだが、韓国政府文在寅はその独立にまったく貢献していない。日本にとって核武装した北朝鮮は最悪だが、中国に支配された朝鮮半島は、さらに最悪の安全保障上の脅威となる。

ここで問題となるのは、韓国という国の戦略的な脆弱さである。ソウルは北との国境線である非武装地帯から近く、対空防衛システムや防空シェルターなども十分ではないという脆弱性を晒しており、韓国の軍隊は自国をまったく守れない状態にある。というのが40年前の状況だったが、実は今も全く同じなのだ。

政府機能や民間企業の本社などを、ソウルから遠くに分散するなどの対策を一切実行していない。空襲に対応するシェルターも不十分である。40年前と違うのは、北朝鮮が核兵器や長距離ミサイルを開発したことだけだ。もし戦争が起きれば、北朝鮮は最初の一撃で韓国の指揮所や対戦車兵器などを潰せる。

40年前にアメリカが提案した、首都機能を南に移すことや、企業の光州への移動や、軍事面での72項目にものぼる細かい変更など、ほとんどなされていない。半島有事の際に作戦を指揮する権限は、いまだに韓国軍ではなく在韓米軍司令官にある。アメリカ側が長年、返還を示唆しても逃げ口上を駆使して延期し続けている。さらに韓国は、北朝鮮の核開発を阻止する動きは全く見せていない。

韓国は北朝鮮の非核化には殆ど興味がなく金正恩体制の崩壊は望んでいない。日米が直面しているのは「朝鮮半島問題」で、二つの国で構成されている。一つは北朝鮮であり、どんな手段でも核武装解除を進めるべき国だ。「そしてもう一つは、韓国という無視すべき国である」。よく言ってくれました。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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