楽天などの大手ECモールに頼っているショップが増加していますが、苦戦を強いられているお店が多いそうです。なにか打開策はないのでしょうか。今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では、著者の梅本泰則さんが売れ行き不振の原因を探るとともに、ECモールに頼らず自社サイトで商品を売るコツを紹介しています。
自社サイトで商品を売るコツ
近頃、スポーツ用品のネットショップでの売れ行きが鈍っているということを、よく聞きます。いったい何が起こっているのでしょうか。問題は、その売り方にあるかもしれません。今回はそのヒントになるかもしれないお話です。
ネット販売の現状
スポーツショップにとって、今やネット販売は避けては通れない話題です。ネット販売を行っているお店は当然ですが、そうでないお店も影響を受けています。そして、ネット販売で年間数億円、数十億円を売り上げるお店も珍しくはありません。それに伴って、販売価格が乱れています。価格競争が激しくなっているのです。
同じ商品なら価格の安いところで買うお客様が増えるのは、致し方ありません。市場競争の常です。メーカーさんもネットで価格が乱れるのを嫌がっていますが今のところ、効果的な対策を打てずにいます。
それはともかく、一見、スポーツ用品のネット販売は好調のようです。ところが、何となく変化を感じるようになりました。その原因は、販売チャネルにあるようです。スポーツ用品ばかりでなく、ネットショップの多くはECモール最大手の楽天市場に出店しています。スポーツショップもその集客力を頼りに売上を伸ばしてきました。しかし、最近では、ヤフーやアマゾンが楽天を追い上げてきています。楽天の牙城を崩そうとしているのです。そのため、楽天はいろいろと戦略を変えてきて、それにうまく対応できないお店があります。その対応ができていないスポーツショップが売上に苦しんでいるようです。
このように、大手モールだけに頼っていると、その戦略に振り回されてしまうことになります。ですから、私は提案したいのです。もうそろそろ大手ECモールに頼る商売から離れましょうと。そこで、ECモールに頼らないで売上を増やしているお店のことを紹介します。ただし、スポーツショップではありません。
ECモールに頼らないお店
最近、40代の薬局経営者Hさんと出会いました。この方はネット販売もしているのですが、売っているのは薬ではなく「塩」です。数年前にネットショップを始めたところ、売上が急拡大しているとのこと。
その売り方をお聞きしました。実は、ここにネット販売の大きなヒントがあったのです。きっと、この販売方法は、今ネット販売で行き詰っているスポーツショップの方に参考になることでしょう。いえ、ネット販売に成功しているあなたのお店でも参考になる話です。
この「塩」のネットショップは、楽天にもヤフーにもアマゾンにも出店していません。いわゆる、自社サイトだけで販売をしています。自社サイトでの販売に苦労をしているお店にとっては、うらやましいですよね。
では、Hさんはどうやって販売をしているのでしょう。
この数年で、このお店の固定客、つまりファンは3,000人になったそうです。まだまだ増えると思います。どうやってファンを増やしていったのか、知りたいですよね。お話をまとめてみると、そのポイントは3つありました。それは、
- 人を幸せにする、厳選された「こだわりの商品」
- SNSで形成した「コミュニティー」
- 全国行脚による「リアルな出会い」
です。順番に説明していきましょう。まずは「こだわりの商品」です。
Hさんは、最初からECモールへの出店をするつもりはありませんでした。なぜなら、ECモールへ出店するにはブランド力のある商品、十分な品数、価格競争力が必要だからです。
Hさんの扱う「塩」には、どれもありません。自社サイトでがんばろうと思ったのは、自然の成り行きです。
3つのポイント
しかしHさんは、いい商品を届けたいという「思い」や商品へのこだわりには自信がありました。自分が選んだ「塩」を使って、多くの人に健康になって欲しいという「思い」と、それを実現させる商品への目利き力があるのです。「薬局」の経営者だけのことはあります。
そして、次にその「思い」や「こだわり」をどうやって伝えようかと考えました。やはりここはSNSタイトルの活用です。最初にブログの投稿を始めました。そこで、自分の熱い「思い」や「商品へのこだわり」を発信し続けます。すると、次第に「思い」や「こだわり」に共感してくれるお客様が現れるではありませんか。
次はフェイスブックやツイッターです。ここでは、自分の日常などを軽妙につづっていきます。つけられたコメントには、もれなく丁寧に返信です。今では一つの記事に数百のコメントがつくこともあります。それでも丁寧に返事をされているそうです。そして、このやりとりを通じて親しくなったお客様を「塩仲間」として大事にしていきます。これは、立派な「コミュニティー」です。「コミュニティー」が出来ると、その中から「インフルエンサー」が出来てきます。「こだわりの塩」やHさんのことを仲間に宣伝してくれるのです。当然、商品が売れていきます。
3つ目は「リアルな出会い」です。Hさんは、「コミュニティー」のお客様に、講演に呼んでくださいと呼びかけました。講演会で、皆さんに「塩」について伝えたいからです。講演料は無料。すると、各地の「塩仲間」から声がかかりました。おかげで、Hさんは毎月各地を飛び回っています。つまり、お客様とリアルに出会う機会を作っているのです。素晴らしいですね。
この3つの流れは、自社サイトで商品を売るのに最も効果的な方法ではないかと思います。そして、王道です。
まずは、商売に対する「思い」と商品への「こだわり」。続いて、「コミュニティー作り」と「出会い」。これを実践すれば、ECモールの力を借りなくてもお客様を増やすことができるという、いい実例です。有名ブランドの商品でなくても構いません。価格が高くても大丈夫です。ぜひHさんの方法に倣ってみてはいかがでしょう。
■今日のツボ■
- スポーツ用品のネット販売は伸び悩んでいる
- ECモールではなく自社サイトでの販売を考える
- ポイントは「こだわりの商品」「コミュニティー」「出会い」
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