現状を打破することができず悩んでいる方、もしかしたらそれは「発想力や創造力を阻む思考のワナ」にはまり込んでいることが原因かもしれません。今回の無料メルマガ『起業教育のススメ~子供たちに起業スピリッツを! 』では著者の石丸智信さんが、その「3つの罠」の特徴とそこから脱する方法について論じています。
現状を打破する発想力、創造力を妨げる要因とは
様々な障壁などによって、物事が停滞してしまう、成績や結果、成果が伸び悩んだりすることがあるのではないでしょうか。今までの延長線上で考えても、その現状を打破することが難しい時には、発想力・創造力が求められるでしょう。そこで本号では、発想力や創造力を妨げる要因などについて考察していきたいと思います。
まず、発想力や創造力を妨げる要因には、3つの要因が挙げられます。
- 認識による阻害
- 文化による阻害
- 感情による阻害
「認識による阻害」とは物事を自分の見方で見る傾向があって、その見方に偏りや欠けがあることに気づきにくく、そのために、発想力や創造力を妨げてしまうことです。「この問題は例外だ」という眼で見てしまう傾向もありますね。
「文化による阻害」とは一緒に生活する国や社会、集団、組織には、固有の価値観や行動の仕方などがあり、それらが、私たちの認識や思考、行動の壁となってしまい、望ましくない方向に行くとそれらが固定観念となり発想の枠を狭めてしまうことになり、発想力や創造力を妨げてしまいます。
「感情による阻害」とは、他者の評価や反応が気になってしまい、防衛的になったり、失敗を恐れて安全・完璧主義に過度になったり、「どうせムリ」などといったネガティブな感情によって、発想力や創造力にブレーキをかけてしまうことです。
次は、発想力や創造力を阻む思考のワナについて考察します。この思考のワナには3つあり、
- アンカリングのワナ
- 現状主義のワナ
- ご都合主義のワナ
が挙げられます。
アンカリングのワナとは
私たちは、一番最初に得た情報にどうしてもこだわる傾向があるようです。例えば、第一印象や当初のデータなどによって、次に続く判断や考えが鈍ってしまうことがあります。
また、過去の実績(成功・失敗体験など)などに比重を置き過ぎて、その他の要素に十分な配慮を払わなくなることもあります。こういった特定の情報などによって発想力や創造力を妨げてしまう傾向があります。
このワナから抜け出すには、自分の見方とは違った別の観点から眺めてみることが必要になります。頭に最初に浮かんだ発想などにこだわらずに、別の出発点を選択して、そこから新たなアプローチを試してみます。
また、他者が発想・創造したものが自分の発想力、創造力をしばるものになるのを防ぐためにも、真っ白な状態から、まずは自力で発想・創造してみることもこのワナから抜け出す対処法のひとつになるでしょうね。
現状主義のワナとは
私たちは、無意識のうちに、何もしなくても良い理由を探す傾向があります。多くの場合、より無難な方策として、現状を維持する方策を選んでしまいがちです。例えば、「うまくいっているんだから、このままでいいじゃないか」と、これまでのやり方などを踏襲してしまうこともありますね。
また、選択肢が多ければ多いほど、現状維持の方向に傾くと言われます。なぜかというと、多くの選択肢からある一定の選択をすることには、努力を要し、現状を維持する方策を選択すれば、そのような努力を払わなくて済むからです。
このような現状を維持するワナからの対処法としては、現状を維持することだけが、自分が取りうる選択肢だと思わないことです。その他の選択肢がないかどうか考え、それらのプラス面とマイナス面を検討し、現状を分析する材料としていきます。
また、現状を変革する際に払う労力や努力、変革に伴う費用を過剰に大きく見積もらないことが必要と言われます。そして、現状を維持するよりも良いと思われるいくつかの選択肢がある場合には、最も良いと思われる選択肢を選ぶのが面倒だからといって、現状維持の方策に走らず、必ず新しい選択の道をとるように、自分自身に仕向けていくことで、発想力や創造力を高めていくことにつながっていきます。
ご都合主義のワナとは
私たちは、意識をしない中で、自らに都合の良い事実や意見だけに焦点を合わせてしまい、それ以外の考えや見方などを軽く見てしまう傾向があります。自分が嫌いなものより好きなものの方に、より注意を払う性向があり、従って、自分にとって都合が良い情報に自然に引き寄せられてしまうようです。
そこで、ご都合主義のワナから抜け出す方策としては、信頼できる人に、わざと反対意見の側に立ってもらって、自分が発想、創造したアイデアなどに反対する意見を述べてもらいながら議論することが考えられます。
また、自分でも自らのアイデアの反対意見を考えてみます。このアイデアに反対する最大の理由は何か、次の理由は、また次は、というように自問し、自分の発想、創造したものを偏見のない目で見据え、熟慮してみることが必要になります。
ここまで、発想力や創造力を妨げる要因や考え方などについて考察してきました。これからますます、一人ひとりの発想する力、創造する力が求められてくるように思います。自らの発想力や創造力を活かして、新たな価値を提供していきたいですね。
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