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なぜやる気のなかった男の子が「自由研究」で特別賞を取れたのか

お子さんたちの夏休みも、お盆が明けたら後半戦。そんな時期に親子ともどもの頭を悩ますのが「自由研究」の宿題ではないでしょうか。「自由」というあまりに漠然としすぎた範囲指定に戸惑ってしまう、という声も多く聞かれます。今回の無料メルマガ『幸せなお母さんになる為の子育て』では著者のパピーいしがみさんが、そんな悩めるすべての方に向け、具体例を挙げつつ自由研究の進め方についてレクチャーしてくださっています。

自由研究

こんばんは。パピーいしがみです。

8月になって急に暑くなりましたね。各地で35度を超えたり、寝苦しい夜が続いているようです。体調を崩しやすい時期ですので、お気を付け下さいね。

さて、今日のメルマガは「自由研究」としました。

夏休みの子供たちの宿題として「読書感想文」と「自由研究」が普段の宿題とは違って悩むところです。特に自由研究は“自由”とあるように範囲が広すぎて「何をやったらいいか?」「どんな風にやればいいか?」が分からず、子供たちも頭を悩ませているようです。

以前、読書感想文については、書き方について紹介したのですが、「自由研究はどんな取り組みをしたらいいでしょうか?」とご質問を頂くこともあって、参考になれば…と今回、お話しすることにしました。

実は今、この自由研究を当て込んでの商売が結構あって…例えばあるメーカーから“自由研究おたすけキット”なるものが売っていたり、もっと驚くのは代金を払うと代わりに宿題をやってくれる「自由研究代行サービス」があったりするそうで…。それを聞くと「何の為の宿題だろう?」って考えてしまいます。

私としては、やり方さえ分かっていれば自由研究はとても有益で楽しい宿題だと思っていますので、是非、チャレンジしてほしいと思うのですが、初めて自由研究に取り組む子は題材を選ぶことも難しいでしょうし、提出するための「まとめ方」も解らないでしょう。

ですから「自由研究って何?」「どうやってやるの?」「何をすればいい?」などなど疑問が生まれて当然なんですね。それを「自分の宿題なんだから自分でやりなさい」と言っても、子どもだけではできないのは当たり前なので、やはりある程度親が関与してあげる事は必要なのでは?と私は思っています。

それでも子供の頃に自由研究を取り組んだ人であれば、子供にアドバイスすることもできますが、あまり熱心にやったことがない方はアドバイスするのも難しくなってしまいます。

そういう方は是非、ネットで自由研究 優秀作品画像で検索してみてください。作り方が分からない場合、過去の良い作品を見ることで沢山のヒントを得ることができます。実際に検索してみると沢山の自由研究の内容が画像表示されると思いますが、どれも共通して必ずあるのが「タイトル」で、その次に「きっかけ動機)」があって、最後に「発見や感想」になっていると思います。

もちろん「発見や感想」の前には、いろいろ調べたり、試したりした事柄がイラストや写真で説明されているのですが、要は「こんな事に疑問をもってこんな風に調べてみたらこんな事が分かった」これだけで立派な自由研究になるんですね。

最近ではネットでも話題になりました“38度の日は暑いのに38度のお風呂に入ると熱くないのはなぜか?”というテーマで研究した子供たちがいました。これは、愛知県の中学生グループの自由研究だったのですが、本で調べたり、パソコンで調べたり、さまざまな仮説を立てて、いろんな実験をしたのですが分からず、最終的に名古屋大学の先生と連絡が取れて、直接お会いしてアドバイスを頂き、さらに実験をして自分たちなりの答えを導き出したんですね。

結果的には、

  1. 気温38度の時には、発汗により気化熱が奪われるため、皮膚の温度が下がっていく。その結果、外部の気温と皮膚温の差が大きくなり、暑く感じる
  2. 38度の風呂に入った時は、水中では発汗による皮膚温低下がないことにより、すぐ皮膚温は38度になる。これにより皮膚温と湯温との差がなくなり、熱さを感じなくなる

という答えを導きだしたのですが、とても身近なテーマでありながらなかなか答えにたどり着かず、大学の先生とのやり取りや、仮説を立て実証していく積み重ねが見事だった…と、自由研究の全国大会で文部科学大臣奨励賞を受賞する事になりました。

まあ、これほど本格的なものは、夏休みの期間ではできないですし、もちろん親が協力しても答えまでは行きつかないですから、そこまでを望むものではありませんが、疑問を持つことや、調べてみること。仮説を立てて実証してみる事ができたら、すばらしい自由研究になると思います。ですが最初から“すばらしい自由研究”でなくても、最初は「調べてみるができるだけでも良いと思うのですね。

先ほど「自由研究 優秀作品」の画像検索をすると…と書きましたが、実際に検索をして頂くと、その中に“クルマエビ”についてとても細かくイラストにして特徴を書いたものや、地元の駅前商店街について「どんな系統のお店が多いか」や「どんな年齢層がこの商店街を使っているか」を調べたものもありますし、市や町の名所などを紹介したものもありました。

こんな風に近くにある何かを調べてみるだけでも立派に自由研究になりますし、もちろん新たな学びや、経験、そしてやりきった時には充実感も感じられると思います。

そこで「自由研究を何にしたらいいか?」「どう取り組んだらよいか分からない」とご相談頂いた方には、上記のように「まずは調べる事をやってみたら?」とお返事して、その題材として、いくつかをご紹介しておきました。

例えば、地元に残る名所や旧跡があったら実際に行ってみてその歴史や特徴を調べてみる。今、住んでいる街にはどんな道路標識があるのか調べて地図に記載してみる。他にも、危険とされているブロック塀がどれだけあるのか調べたり、土地の高低差(電信柱に海抜○メートルと表示されています)を調べて防災マップを作ってみる。住んでいる地域の、ゴミの分別がどのように分けられているか?を調べてみる。

又、昆虫が好きならば虫眼鏡を使って細かく見て、それをイラストにしてみたり、松ぼっくりを拾ってきて中の種を調べてみる(松の種には羽が付いていてひらひら舞うように落ちてきます)などをお勧めしておきました。

私もその後、どうなったかはお聞きしなかったのですが、お返事した中のお1人、花梨さんからご報告がありましたのでご紹介しますね。

以前、夏休みの自由研究で、どんな風にやったらよいかアドバイスを頂いた件ですが、なんと…特別賞を頂いてしまいました。パピーさんからお返事を頂いて「親が関わってあげてよい」と言われた事。PCで過去の優秀作品を見ながら「こうやって作ればいいんだな」とイメージできたことが大きかったです。

 

さすがに優秀作品の子供たちは、字もきれいですし、写真やイラストの配置も上手だし、色とりどりで、とても真似はできなかったのですが、それでもなんとか提出できてホッとしました。

 

パピーさんから題材についてもアドバイスを頂いて、息子に「こんなのが良いみたいだけどどうする?」と聞いてみたところ、「一番楽なのは何?」とやる気のない返事。私も「本人がやる気が無いのなら、あえて難しい事をしなくてもいいか」と、自宅から学校までの地図を作って、そこで電信柱の海抜表示の写真を貼って高低差を表示し、後はいくつか文章を書けばいいや…と、そんな気持ちでした。

 

四つ切の模造紙を2枚使い、地図はグーグルマップから拾って、コンビニで拡大すればいいし、海抜表示の電信柱の写真をとって地図に転記する…。パパにも協力してもらって、朝の涼しい内に電信柱の写真をとってパソコンに取り込み、プリンターで印刷して、電柱の写真を切り抜き地図に貼っていく…。案外早く作業も終わり、後はタイトルと、いくつかの文章を書くだけでした。

 

数日間、雨が降る日が続き、子供はプールも行けずに家でゴロゴロしていたので「もう自由研究を完成させちゃえば?」と言っていたのですが、なかなかやらず…。しだいに雨が強くなってきて、土砂降りになった頃に「低い場所の写真を撮りたい」と言い出しました。

 

「えっ?今から?こんな雨の中を行かなくたって…」と言葉が喉まで出かかりましたが、「そうか…自由研究のハザードマップに貼りたいんだ」とピンときて、子供を車に乗せて調べた電信柱をぐるっと回ってみました。案の定、低い位置には大きな水たまりができていて、そこをトラックがしぶきを上げて走り抜けていたり、傾斜のある場所では水が滝のように流れていたり、普段では目にすることがないような光景がそこにありました。

 

1時間ぐらいでしょうか?何枚も写真を撮るうちに、私も子供もびしょびしょになって家に帰り、その晩、撮った写真のいくつかをパソコンからプリントアウトして、低い場所や水が流れている様子を地図に張り付けて、水の流れも書き加えていました。そして息子が考え付けたタイトルは「雨が降るとあぶない所」で、結果の部分には「この研究をしたことで、たくさんの雨が降ると、あぶない場所がいくつもある事がわかりました」と書き、本人も満足したようです。

 

夏休み明けに、体育館で張り出され審査をされたらしいのですが、その時に審査員の一人だった町内会長さんが「3年生で防災を考え、豪雨の中、調査したことはすばらしい」と推薦してくださり、特別賞を頂くことになったのでした。

 

実はこれまでは賞などもらったことが無い子で、どちらかと言えば自信がない部類でした。運動も得意ではないし、勉強もできるわけではない、授業中もボーっとしていることが多く、何をするにもやる気の無い子だったのですが、1年生~6年生まで全学年が集まる全体集会の中で、壇上に上がって表彰してもらう事になり、友達やクラスメートからも褒められて、本人もとても嬉しかったようです。

 

それから、ちょっと様子が変わってきて、今まで言わなければやらなかった宿題も、自分からやるようになったり、テストの点が良くなってきたり、又、授業でも積極的に手を上げたりしているようです。「この頃、なんか変わったね」と子供に言ったら「そう。今、できるグループにいるんだよね。だから頑張らないとと思って…」との事でした。

 

一つの表彰でこんなに意識が変わるんだ、と驚きでしたが、やはり「認められること」「褒められること」は自信を与え、プラスの変化をもたらすんだな…と感動です。

最初はあまり乗り気でなかった息子さん。でもやっているうちに自分でもアイデアが浮かんだんでしょうね。雨の強い日にどんな風に水が流れるのか“実際に見たくなった事が何よりの成果だったと思います。でもそうやって興味を持つことが大事な事だし、実際に自分の目で見ることで正直な気持ちを表す事ができます。

電信柱の写真を地図に張り付けている時は、なんとなく「やらされている感」があったかもしれませんが、自分で思いついた、雨が溜まっている写真や水の流れなどを書き加えている時は「自分の意思で研究を進めているという手ごたえを感じていたのではないかな?と思います。

表彰された後ちょっと雰囲気が変わってきた…というのも良いですね♪「今、できるグループにいるから頑張らないと」というその気持ちも是非、継続してほしいと思います(^^)

あ、ちなみに読書感想文の書き方については、下記で紹介していますので、よろしかったらお読みください。

幸せなお母さんになるための子育て支援サイト 第553号 客観的に考える2

花梨さん、ステキなご報告。そしてメルマガ掲載のご許可をありがとうございました。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 石神明生 【発行周期】 毎週日曜

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