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業界トップを走り続けるユニクロのセルフレジは何がすごいのか?

ユニクロのセルフレジを体験し、これまでの国内のセルフレジのイメージを覆す手軽さと便利さで驚いたとレポートを寄せるのは、メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』発行人の理央周さんです。理央さんは、この利便性を実現させた「RFID」チップについて解説。チップを利用して得られる情報により、業界トップを走る勢いは止まらないと分析しています。

ユニクロのIoTに学ぶこれからのマーケティング

ユニクロのセルフレジを体験したのですが、あまりの便利さに驚きました。自分で買いたい商品をカゴに入れ、レジでひとつずつスキャンして最後に自分で支払う、というセルフレジは、今ではスーパーなどにいくと結構ありますよね。

ユニクロのセルフレジは通常のものより、ちょっと進んでいて、商品をスキャンしなくても精算ができる、という優れものなのです。やりかたはいたって簡単で、まず欲しい商品を、買い物かごに入れて、そのままセルフレジに行きます。

レジには、モニター画面のようなものがあり、そこで「ここに商品を置いてください」という指示が出るので、そこに、カゴごと“どさっ”と商品を置きます。そうすると、「アプリはありますか?」とか、「Tシャツと靴下で1980円です」などと、次々に画面にでてくるので、指示に従い、その通りにやるだけ。最後にクレジットカードで支払いをして、自分で袋に詰めるだけ。あっという間でした。

なぜこれができるかというと、商品タグ(値札)に「RFID」という、無線で自動的に識別ができるチップが、埋め込まれています。今度ユニクロに行く機会があったら、一度タグを見てみてください。透かして見ると見えるかも。その機械に置くと、接触しなくても、「どの商品」で「いくら」なのかというような、商品情報がすべてわかるようになっています。これを読み取るだけで、このようにシンプルなプロセスが生み出せるのです。

流通ニュースによると、ファストリテイリングでは、ユニクロだけでなくGUやセオリーなど、自社が運営している店舗のほぼ全商品に、このチップを埋め込んでいるそうです。このチップによって得られる情報は、販売の時のみならず、商品の検品、入荷、在庫管理、棚卸といった、販売の前行程でも情報として使えるとのこと。

そしてこのチップからのデータを、IT技術とインターネットを通して本部に集約し、生産から物流、販売までの各工程で、効率化を目指すことができるのです。具体的には、売れ行きをみつつ、生産数を決めたり、在庫が多すぎないかをチェックしたり、逆に店舗での品切れをなくすようにしたり、といった具合です。

モノがインターネットにつながることを、Internet of Things=IoTと言いますよね。日経新聞によると、4年後の2023年にはIoTの世界市場は、100兆円を超えるとのこと。製造業が先行してきましたが、このように小売などのサービス業にも広がるでしょう。

このように、膨大なデータを入手することがより簡単にできるようになると、今の売れ筋情報はもちろん、お客様が何かを買う時の傾向が、推測できるようになります。いわゆるビッグデータ分析ですよね。ということは、このようなデータを活用すれば、お客様が「何が欲しいのか」、「今、何に困っているのか?」ということを、先手を打って推測できるようになるわけです。いわゆるお客様の「本音」を見いだすことができるのです。(ここ大事です)

次世代通信規格の5Gが出てくると、通信がスムースになり、IoTで集めることができるデータが、より入手しやすくなるので、お客様の本音を知る機会が増える、と考えるといいでしょう。個人情報の扱いに十分注意を払う必要がある、ということを認識しつつ、このようなデータをもとに、「お客様が本当に欲しいものは何か」を推測して、より喜んでもらえるような商品開発やサービス・おもてなしを考えることが、より身近になる時代になります。

ユニクロだからできるんだよね、ではなく、「うちの会社に当てはめるとどうなるのか?」と、一度考えてみてください。

image by: beeboys / Shutterstock.com

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ビジネス・仕事に大事なのは、情報のキモに「気づき」どう仕事に「活かす」かです。トレンドやヒット商品には共通する「仕掛け」と「思考の枠組み」があります。このメルマガでは、AI、5G、シェアリングなどのニュースや事例をもとに、私の経験とMBAのフレームワークを使い「情報の何に気づくべきか?」という勘どころを解説していきます。現状を打破したい企画マン・営業マン、経営者の方が、カタくなっている頭をほぐし情報を気づきに変えるトレーニングに使える内容です。

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