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現役科学者が考える、社会心理学的に一目惚れを成就させる方法

もしお近づきになりたい人が出来たら、あなたならどう動きますか?それが片想いの恋ならば、どう思われているのかを気にするよりも、まずは自分を知ってもらわなければ話になりません。今回の無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』では著者で科学者のくられさんが、ゲスト出演した有料配信番組に寄せられた「お悩み相談」の中から、ある片想いの悩みを取り上げ、「人と人の距離」について解説しています。

科学的 恋の悩み相談室

毎月1回『~の主役は我々だ』さんとの有料配信にゲストとしてお邪魔しておりまして、そこで「お悩み相談」を行ってます。

基本的に「~という具合なんですがどうしたら?」とか「上司の口臭が~」みたいなお悩みを科学的に切っていくみたいなザックリしたバラエティトークなのですが、先日ちょっと毛色の変わったモノを取り上げました。

悩みの内容は「先輩のことが好きになってしまった接点も何も無く話もできない状態だけど告白したら…」といった甘酸っぱいお悩みです。この悩み相談、別に科学的に答える話でもなんでもなさそうなのですが、いろいろ大事な要素が隠れているので取り上げました。

人と人の関係というのは恋愛だけでなく先輩と後輩、教師と生徒、上司と部下、あらゆる社会の現場で人と人のコミュニケーションにおいて大事な要素です。そもそも学校というのはそういった場でコミュニケーションを学ぶ場でもあるので、そこで失敗するとぶっちゃけ社会に出てからというか一生苦労することになります。

この辺の解釈を難しくすると社会心理学という学問になり、人間と人間の反応を学問として研究されています。しかしこの社会心理学である程度解明されていることを知ることでコミュニケーションを円滑にすることができます。理論ばかりになって頭でっかちで動けなくなっても本末転倒ですが、エッセンスぐらいには社会心理学の本を読んでみるといいかもしれません。

さて、今回の悩みですが、これすごく大事な要素が含まれています。

接点も何も無く話もできない状態だけど告白したら…」

という点です。よくある一目惚れですね。一目惚れからの告白は思いの一方通行なのでそこが問題なのです。

大好きな対象について好きな人はその人をずっと目で追いかけていて、仕草や、動き、はたまた何が好きなんだろう、お弁当はこんなのを食べるんだ…音楽は何を聞いてるんだろう…と好きな人について知りたいからずっと見ていますね。これは「一方的に知っている状態」といえます。

しかし、見られている先輩は質問者のことをおそらく「顔は知ってる」程度の認識で終わっているかと思います。自分が見ているから自分が知っているから相手も自分のことを知っている…というのはあり得ませんよね?

つまり、「一目惚れしました!好きです!」と言ったところで、「え?誰?」なのです。そもそも可も不可も無いのです。

それでも成立する場合はなんとなく容姿や格好が自分の好みから逸脱していなければ「じゃあまずはお友達程度に付き合って…」と成立することもあります。まぁ見た目がそこそこで自分に好意を伝えられて嫌な気持ちになる人は少ないです。相当生理的に無理な場合などはともかく、例え好みの相手でなくても好意を持たれたことに嫌悪はあまり持ちません。

しかし、この成功情報からイケメンや美人でないと恋愛は成功しないみたいな謎神話が生まれるわけです。

ぶっちゃけ容姿は姿勢良く不衛生でなければ人間はよっぽどのことがない限り超ブスにはなりません。だいたい自分でブサイクと思っている人は、そういう「諦めの上に自己認識を載せている状態です。

つまり自分が嫌いなわけです。

夜の街のオネエの言葉を借りると「ブスにあぐらかいてんじゃないワよゥ!」って感じ。

自分が嫌っているものだけど人には好いて欲しいというのは態度からして卑屈になって「キモい要素」になりがちなので、そもそも好かれないようにしているのに好きになって欲しいという理屈を押しつけることにもなるわけです。これはいけません。

人を好きになってその意図を伝えたいならまずは自分を大事にして(決して自分最高のナルシストという意味ではなく)その上で、出来る努力をしてから相手に挑むべきなのです。

世の中をみているととびきりの美人でも自己肯定感の低い人はブサイクに見えるそぶりや表情猫背で眉間に皺を寄せて口をへの字にしていたりが固定化されている人もいます。凄くもったいないです。

話がそれてしまいましたw悩み本体を心理学的にさらに紐解いていきましょう。

さて、告白からの「じゃあまずはお友達程度に付き合って…」という流れは相当理想論なので、もう少し告白成功率を上げていく方法を考えていきましょう。

そもそも「誰?」というところからハードルが高くなっているのが問題なのです。

この「誰!?誰!?」になってしまうクオンガタリ問題、告白以前の大問題です。

これは恋愛関係なく、「人と人の距離という感覚の問題ですがこれを早めに矯正していかずに年を取ると大分困ります

実はこの問題、芸能人やアイドル、最近だとYouTuberなんかにも当てはまると思うのですが、好きな人はメディアに露出している人のキャラとしての側面、配信されるような内容を何度も見て好きになっているわけで、相手のことをすごく知った気になっています。

しかし冷静に考えると分かるのですが、当然相手は自分のことを知りません。恋するあまり自分以外が見えなくなる気持ちはあると思いますが、相手からすれば「誰?」になるわけです。

しかも思いを寄せる人が薄い出会いを求めるヤバいヤツだったり承認欲求の塊だったりすると、それはそれで危険な目に遭う可能性があります。そう、自分が一方的に知っていると思っている現実もまた、作られた面でしかないわけです。

その人の本質ではぜんぜんないわけです。

イケメンでめちゃめちゃ優しそうに振る舞ってるけど実際はめちゃめちゃサイコで、自分の暴力さえ正当化するようなクズはこの世界にいっぱいいます。なのでファンレターとかに住所や本名などは絶対に書いてはいけません(出版社などちゃんとした組織が間に経由している場合などは別ですが)というのは自分がよく言ってるわけです。

じゃあどうやったら「憧れのあの人と友達になれるんだよぉおおお」ってなると思いますが、基本的にまずは双方に知り合いになることです。あたりまえですがw

憧れの先輩に近づきたいならまずは、共通の知り合いを探すとか勇気を持って話をしてみて自分と共通点などがないか話をしてコミュニケーションを取るしかないわけです。少なくとも同じ学校ならほとんど勝ってるようなもの、あとは勇気を持つだけです。

大好きなアイドルにお近づきになりたい!…と本当に思うなら、まずは同じくらいの社会的信用度になるまで仕事をがんばりましょう。もし自分がめっちゃ成功したら彼らを雇えばいくらでも知り合いになれるじゃないですか(笑)。

それは極論ですが、人と人が親しくなる…というのはだいたい同じ社会的信用度で釣り合うことが大半です。どこかの石油王がよくわからん一般人の美女と結婚してんじゃん!とか思うかもしれませんが、だいたいそういう女性も夜のお店の中でもトップクラスの店でトップクラスの成績を出していたとかそんなもので、研鑽の上社会的信用を勝ち取っている人はそれなりに釣り合うように社会的にがんばっていないと信用できる人として認識されないわけです。

例えば高校、大学で一緒に馬鹿騒ぎしていた数人の友達が、それぞれの道を歩み出して、「価値観が釣り合わなくなって」解散するというのはよくあります。

人というのは価値観や信用度で概ね距離感がきまります

もちろん人によってどの部分を<社会的信用度>として見ているかは差があります。資格を重視する人、ウデマエを重視する人、金持ちかどうかを重視する人(同じか近いクラスの金銭感覚でないと辛いため)、信用度や評価基準というのは人それぞれです。

ただ1つ言えるのは「容姿だけとかそんな薄っぺらい評価基準だけで人を選ぶ人はそいつもまた薄っぺらなわけです。もちろん世の中にはペラペラの人がペラペラのコミュニティを形成していて、とりあえずノリがよければOKな達人の桂剥きのように透けて向こうが見える世界もあります。

また若い間は人の価値というものを見ること自体がまだ勉強中なので見間違えることも多くあります。

偉そうに言ってる自分も多くのミスを重ねて痛い目に遭いまくってきていますので、老婆心ながらこの話をしているわけです(笑)。

もちろん現在進行形で自分も常にちゃんとできているかどうかもわからないので言ってて耳が痛いのですが、自戒の意味も込めて、地に足をつけて生きていきましょう。

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image by: Shutterstock.com

くられこの著者の記事一覧

シリーズ15万部以上の不謹慎理系書「アリエナイ理科ノ教科書」著者。別名義で「本当にコワい? 食べものの正体」「薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬 」などを上梓。学術誌から成人誌面という極めて広い媒体で連載多数。

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【著者】 くられ 【発行周期】 週刊

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