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上白糖だけじゃダメ?料理好きな科学者が教えるお砂糖8つの違い

料理に欠かせないキッチンの必需品の一つといえば砂糖ですが、売り場をざっと見渡すだけでもかなりの種類が並んでおり、そのチョイスに迷うこともありますよね。今回の無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』では現役科学者のくられさんが、 そんな砂糖の種類とそれぞれに合った料理等を詳しく紹介しています。

料理によって使い分け!?砂糖の種類

今回は砂糖の種類の話です。砂糖is砂糖じゃないの?と思う人もいるかと思いますが、市販されている糖にはいくつか種類があります。

砂糖と呼ばれているものは基本的になんらかの植物から得られた糖で、化学的にはスクロースショ糖とグルコースブドウ糖の組み合わせによって成り立っています。スクロースはブドウ糖と果糖が合体した構造で分解されてから吸収されるので多少血糖値が上がるのが遅いとか、ブドウ糖は甘みが少し弱い上に頼りない甘さである感じもあるので、それらを補う感じで市販の砂糖は調整されたモノになっています。

上白糖

一番日本人に「砂糖」として認知されている、少ししっとりした砂糖オブ砂糖という感じのものですが、上白糖がメインなのは日本くらいで、他国ではサラサラしたグラニュー糖のほうがメジャーです。日本での砂糖の使用はジャムにせよ煮物料理や溶かす前提なので、水に溶けやすくするために徹底した上白糖が好まれるわけです。

上白糖は主成分はグラニュー糖と変わらないのですが、粉体を細かくしてそれを転化糖(平たく言えばガムシロップ)で飛び散らないようにした手間のかかった製法で提供されています。味も日本人好みに調整されており、とても使いやすくどこの家の台所にもあるわけです。

グラニュー糖

上白糖より粒が大きくGranulate(ざらざらの)なショ糖というもので、上白糖と成分は同じです。なので製菓などで使う時以外は上白糖と並べて置いておく理由はありません。自分もお菓子作りの時以外は使いません。

三温糖

なんか少し茶色い上白糖でミネラルたっぷりで体に優しい感じがしますが、本来は精製過程でカラメル化した部分から作った砂糖で、色味はただの糖が熱変成してできたカラメル色素です。

カラメル色素はほんのりとコクを持ちますが、それだともっとコクの多いザラメ糖のほうがいいですし別に選んで買う理由はどこにもない感じです。よっぽど安ければ買いますが色の付いた上白糖程度。あえて選んで買う理由はないです。

黒糖

黒糖はサトウキビの絞り汁からあまり精製せずに、ミネラル分などをそのままにして結晶化させたものです。ようするに未精製なので、独特の味を持ちます

この独特の味はそのまま黒蜜などにするときは良いのですが、魚料理や煮込み料理などで肉類と混ざるとえもいわれぬ味になることもあり、黒糖イズ健康志向みたいな感じで全部黒糖で料理してる自然派ママをたまに見かけますが、料理として失格です。ミネラルが多いとかそういう話もありますが、煮物を作れば根菜類などの野菜に含まれるミネラルのほうが圧倒的に多いので、誤差の範囲です。故にこれらの糖の利用は「おいしいかどうかで使い分けることが重要なのです。

液糖

ガムシロップ、コーンシロップなどと呼ばれるもので、デンプンを加水分解することで糖の連なりである炭水化物を糖にブチブチ切って作った科学のチカラで生まれた糖です。以前はソフトドリンクに2割近く含まれていたので甘いドリンクをガブのみすると血糖値が爆上がりして健康に悪い代表みたいな扱いを受けていました。

実際に毎日飲むと当然体に悪いのですが、それはさておき、料理の面で考えると、すでに溶けた糖なので、非常に料理への浸透が強く、また果糖フルクトースが多いので強い甘みを感じます。ジャムを作るときなどにこれをベースに煮込むと非常に自然な「おいしい甘み」になり、三杯酢作りや、ベシャメルソース作りなどにも重宝します。実は種類がいっぱいあるのですが、そこは無視して1本台所においておくと便利です。

果糖

ちょっとマニアックなスーパーに行くと売っているスクラロース果糖だけで構成されている砂糖。果糖はブドウ糖やショ糖に比べて20~30%甘みが強いのが特徴で、強い甘みが感じられて、スっと消えるちょっと特異な甘みを持ちます。上白糖に比べて倍以上の価格がするので、あえてこれを選んで買う理由はないのですが、梅酒などの糖分によって味が大幅に変わるタイプのものに使うと恐るべき美味しさを発揮します。

またティーシュガーとして出すと、だいたいの人は「あれ?」っと気づくレベルで魔力のある甘さがあります。果糖は脂肪になりやすい糖でもあり単一の糖の長期的な摂取はちょっとリスクが不明瞭なので、上白糖の代わりに使うのはちょっとオススメしない感じです。ただ上手く使うと料理の味は際立ちます。

てんさい糖

サトウダイコンやシュガービーツなどと呼ばれる寒冷地で育てられる甘みの強い根菜から作られる糖でショ糖より甘みがマイルドで独特の風味を持ちます。ミネラルが残っているのでどうのこうの…と言う話はそもそも栄養素は食材からとるものなので誤差の範囲です(笑)。

調味料として考えると、砂糖よりも甘みが控えめなため、使用量が増えてしまって無駄にカロリーが多くなるので、ジャム作りなどには向いていません。よって、煮込み料理などに控えめな甘みを付けるのに向いています

オリゴ糖

先のいろいろな糖類が連なった状態の糖で、甘みを感じるが人間がそのまま栄養素として利用しにくい(出来ない場合もある)ので、血糖値を上げたくない人が使うなど利用法は様々。ただし、砂糖の代わりに全部使うとどえらい量を使うことになり、また価格も安くないのでその辺はお好み。腸内細菌にとってはごちそうなので人によってはおなかの調子がよくなったり、また悪くなったりする。

それ以外にも、キシリトールやエリスリトールなどの糖はありますが、料理という観点からすれば、どうでもいいので、放置しておきます。

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image by: Shutterstock.com

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シリーズ15万部以上の不謹慎理系書「アリエナイ理科ノ教科書」著者。別名義で「本当にコワい? 食べものの正体」「薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬 」などを上梓。学術誌から成人誌面という極めて広い媒体で連載多数。

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【著者】 くられ 【発行周期】 週刊

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