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兄・姉ばかりを叱る親が、弟・妹の未来までも潰すことになる理由

兄弟姉妹を育児中の方は皆さん、「愛情を分け隔てることなく注ぐ」ことを意識されているものですが、なかなか理想通りにいかないのが子育ての常ですよね。今回、無料メルマガ『幸せなお母さんになる為の子育て』の著者・パピーいしがみさんに寄せられたのは、3歳差の姉妹のお母さんからの相談。喧嘩の後、長女が母親を無視するようになったというお悩みでしたが…、話を掘り下げると、そこには長女の「積もり積もった思い」がありました。

無視されてイライラ

こんばんは。パピーいしがみです。

今日は、2人姉妹の長女さんを叱った後、長女さんがお母さんを無視するようになってしまい、すごく雰囲気が悪くなってしまって、今後どうしたらよいか?とご相談を頂いた内容をご紹介したいと思います。

相談を頂いた方は、6歳と3歳の娘さんがいらっしゃるオモティさん。オモティさんからは、このようなご相談を頂いていました。

初めてご相談させて頂きます。オモティと申します。私が今、悩んでいますのは長女から「お母さんは私ばっかり怒る」と言われ、それから長女が私を無視するようになって、私もその態度にイライラして家庭内がとてもトゲトゲしている事です。

 

3日ぐらい前になります。6歳の長女が3歳の妹とケンカになりました。ケンカはそんなに珍しい事ではないのですが、姉がたまたま蹴った足が妹のお腹に当たってしまい、妹は息ができなくなってうずくまってしまいました。次女は声が出なくなり顔が青白くなりましたが10秒ほどしたら大声で火が付いたように泣き出しました。

 

すぐに救急車を…と思いましたが、早く帰ってきていた主人が「急所に入っただけだと思うからちょっと様子を見よう」と言ってそのうちに元気になったのでホッとしました。

 

私は長女に「何やってるの、こんな小さい子に本気になったら危ない事は分かるでしょ!」と言って怒りました。気付かないうちに手が出ていて長女の頬を叩いてしまっていました。とっさの事とは言え「あ、しまった」と思った時はすでに遅く、長女は「お母さんは私ばっかり怒る」「何で私ばっかり…」と言って布団をかぶって大泣き。

 

叩いてしまった事は悪かった、謝ろうと思って、長女と話し合おうとしましたが「あっちいって」「話したくない」と言われ、その後もずっとそのまま泣き続け、その日は夕食も取らず眠ってしまいました。翌朝「昨日は叩いてゴメンね」と言おうと思ったのですが、私の事は完全に無視。「おはよう」も言わず、何もしゃべらず、ご飯だけ食べて学校に行きました。

 

確かに長女には叱ることが多かったかと思います。ですが、こちらが謝ろうとしても無視をされ、扉を力任せに閉めたり、朝から不機嫌な態度を取られると、私もイラッとします。

 

今日で4日目ですが、娘も不機嫌ですし、私もその態度に腹が立っていて、会話らしい会話はありません。家の中もギスギスしていて、このままではいけないなと思うのですが、話しかけようとしても無視をする長女に腹立たしいですし、謝ろうとしても、なんだかご機嫌を取っているようでできません。

 

かといってこのまま放っておいては良くないという事は分かります。ただ…どういうきっかけでどう言ったらいいのか…。やはり私から謝った方がいいのでしょうか?(そうすべきだとは思うのですが)だとしたら、その時の対応の仕方を教えて頂きたく思います。よろしくお願いします。

 

このようなメールを頂きましたが、今回の対応の仕方よりも、どうして今回、長女さんがこんな態度を取ったのか?

又、今後起きないようにするためにいろいろ考えることがありそうだな…と思って、私はこんな風にお返事しました。

オモティさん、こんにちは。パピーいしがみです。

 

長女さん、かなり不満が強いみたいです。そして意思の強いお子さんでもあるみたいですね。

 

オモティさんからは、今の長女さんへの対応の仕方をご相談頂いたのですが、私は今回の事を良いチャンスと考えて、いくつか思い返してみたり、長女さんの気持ちも考える必要があるのではないかな?と思うのです。

 

オモティさんは、今回、長女さんの頬を叩いてしまった、とそこに「悪かったなぁ」という思いはあるようですが、その前に長女さんの言っていた「お母さんは私ばっかり怒る」「何で私ばっかり…」はどうお考えになったでしょうか?

 

確かに今回、長女さんの頬を叩き、長女さんが布団をかぶって大泣きして、翌日からお母さんを無視した事を考えると、長女さんの頬を叩いたことが大きな原因のように感じるのですが、私は、今回の「頬を叩いた」は一つのきっかけであって、今までもずっと「叱られる時は自分ばかり」「どうしていつも自分ばかりが叱られるのか」という理不尽な積もり積もった不満があったんじゃないかな?と思うのですね。

 

長女さんが6歳、次女さんが3歳とすると…長女さんが3歳の時に次女さんが生まれて、自分がお母さんに甘えたい時には、次女さんがいるから我慢するしかなかったり、次女さんが成長してきて、遊び始めると自分のおもちゃを取られたり、ごっこ遊びをめちゃめちゃにされたり、又、それを妹に怒っている時に「仲良く遊びなさい」と叱られたり…。

 

もしかしたら長女さんにとって、そんな多くの不満が重なった結果、今回の「頬を叩かれた」事で爆発したのではなかったのかな?と思うのですね。

 

そして、長女さんにとって積もり積もった不満が今回の行動に表れているとしたら、今回の問題に対してだけ対処法をお伝えするよりも、今までの接し方や、こうなった原因は他になかったかな?と考えてみることが何より大事だと思うのです。

 

なので、どうでしょう?そのあたりを考えてみて、一度お返事くださいますか?それをお聞きしたうえで、対処の仕方についてご連絡をさせて頂きたいと思います。

このようにお返事してすぐに頂いたメールには「実は私も、過去からの恨みつらみがあるのかな?と感じていました」と書かれていました。

と言いますのは、3歳の時の長女さんは、赤ちゃんの次女さんを人形のように扱い、眠っているのに抱っこしようとしたり、まだ首が座っていないのに手を持って持ち上げようとして、その度にオモティさんはびっくりして「やめて!とか触らないで!と赤ちゃんを奪い、叱ったそうなのです。

他にも自分の歯ブラシを妹の口に突っ込んでしまったり、可愛がられる妹を嫉妬して、足を抓ってみたり、やっと昼寝をした妹をわざと起したり…、お母さんとしては「なんて意地悪なんだ!」という印象があって「近寄るな」「ちょっかいを出すな」「意地悪するな!」といつも怒っていたという事でした。

次女さんが大きくなっても、体格的に大きな長女さんが小さい妹を叩いたり蹴ったりしていると黙っておられず、どうしても妹に加担して、妹が泣けば理由がなんであれ長女さんを怒る…という事をしてきてしまっていた、との事でした。

ただ、この頃は、怒られた後に逆切れして相手を無視したり、不機嫌な態度を続け喋らなくなる、という事が多く、良くない状況では?と感じておられていたそうです。

でも1日たっても、2日たっても長女さんの態度は変わらない。長女さんのそんな態度にだんだんイライラしてきて「お前がそんな態度なら私だって歩み寄ってやるもんか!」とオモティさんご自身もわざと長女さんを突き離していたところがあったようでした。

そこでこんな風にお返事しました。

オモティさん、メール拝見しました。なるほど…やっぱり長女さんには積み重なった思いがあったみたいですね。

 

下の子が生まれる事で、どうしても上の子が怒られることが多くなったり、下の子への嫉妬で荒れたり、お母さんに甘えさせてもらえなくなって下の子を攻撃するという事は良くあります。又、3つ離れている事も有り、下の子を叩いたり、蹴ったりする姿を見て「下の子が可愛そう」とお感じになってしまったのもよく分かります。

 

ただ「お姉ちゃんは意地悪」という考えや「妹が泣いたら理由がなんであれ長女さんを叱る」姿勢はやはり改めなければならないと思いますよ(^^)。そしてやはり「これはまずいな」と思うのが“気に入らないと逆切れして、相手を無視して、不機嫌な態度を取る”ってことです。

 

これがまかり通ってしまえば、自分から仲直りをするチャンスを失い、友達を失い続けるでしょうし、敵は増え続けます。するとどうしたって周りからは「扱いにくい」と思われますし、当然孤独にもなってしまいます。まだ小学校1年生のようですから、できるだけ早く仲直りができる方法を教えてほしいし、やはりそれはお母さんが見せてあげて欲しいです。

 

ただその前に、今、どうしてもやってしまっている「下の子をかばいがち」や「お姉ちゃんを叱りがち」というお母さんの姿勢を直してほしく思います。と言うのは、オモティさんがお感じのように、やはり原因はここにあって、どんなに仲直りを教えてあげても、いつも不満を抱えさせていたら、やはりその不満はくすぶり続け、何度も繰り返すからなんですね。

 

「小さい・弱い」とお考えの次女さんでも、親がかばい過ぎていると「私は何をやっても許される」と間違った認識を持つことになりますし、「自分が原因で相手を怒らせている」という事も学べません。ですから、姉妹喧嘩にすぐに介入したり、上の子を叱るのではなく、ちょっと離れて時間を置いたらどうなるか?を見てあげて欲しいのですね。そしてもし介入するのなら「原因はどちらにあるの?」「どうしてこうなったの?」のように公平に聞いてあげて欲しいのです。

 

又、原因が妹に有るのなら“きちんと妹も叱る”という事をしてほしく思います(ただ将来的には親が関与せず自分たちで解決することがベストです)。

 

私は「兄弟(姉妹)喧嘩は、すべき」だと思っています。それは自分の気持ちや考えを主張する練習になるからです。その「自分の気持ちや考えを主張する」って、自分を守るためにはとっても大切で、その練習ができるのは兄弟(姉妹)だからこそ♪なんですね。でも、せっかくのそんな良い環境を、親が壊しては、姉の為にも妹の為にもならないのです。

 

ですから、まずは「妹をかばわない」「姉だけを叱らない」をベースとして二人と同じように接することを目指してください。その上で、今回の長女さんとの解決法についてですが、長女さんがプリプリしている時に、お母さんが和ませようとしたり、謝ろうとするのは、子供の機嫌を取っているようですよね。ですからお母さんから無理してその機会を作ろうとしなくても結構です。

 

でも、どんなに気の強い子でも(小学生低学年なら)数日間、親と一言もしゃべらないのは、とても寂しく辛いものです。ですから、オモティさんとしては、常に長女さんの姿を見てあげて、本人から歩み寄ろうとして来たり、元気がないな、と感じた時に、寄り添うようにしてあげて欲しいのです。

 

そして長女さんもとげとげした態度がなくなったと感じたら、手を握ったり、肩を抱いたりして“ぬくもりを感じさせながら”「この前は叩いてゴメンね」と謝ってあげてください。そしてできれば「今まで、お姉ちゃんだからって、いろいろ怒っていたけど、それも悪かったなって思っているよ」という事も話してあげたら…と思います。

 

きっと今回の解決は、そんなに時間が掛からないとは思いますが、大事なのはその後の「これから」です。やはり大きな原因の一つに「私ばっかり怒られる」との理不尽な思いがあるのですから、そこの部分は、オモティさんが直していく必要のある事です。

 

妹の為、姉の為にも「妹をかばい、姉を叱る」を意識してやめる事。

 

もし叱りたくなったら「どうしてこうなっちゃったのかな?」のように、親が一方的に決めるのではなく、長女さんにも説明をする機会を与えて下さいね。

 

このお返事をした後、オモティさんからは「今回の事、解決しました」とお返事を頂きました。

どうやら長女さんも、お母さんと喋らないでいる事が苦痛だったようです。頂いたメールにはこのように書かれていました。

パピーさん、お返事ありがとうございました。

 

主人からも「長女を叱り過ぎ」と言われてはいたのですが、今までの事もあり素直に受け入れ、自分を直す事ができずにいました。

 

パピーさんから頂いたお返事に「親がかばい過ぎていると『私は何をやっても許される』と間違った認識を持つことになりますし、『自分が原因で相手を怒らせている』という事も学べません」と書かれていて、「これを良い機会」と捉えて、私自身、子供達への接し方を公平にするように努めてみます。

 

そして今回の長女とのギスギスした関係は、おかげさまで無事解決しました。

 

パピーさんからも「無理してその機会を作らなくてもよい」と言って頂けてホッとして、じゃあ長女の様子を見ながら、良いタイミングを見つけて謝るようにしよう…と考えていたところ、次女が「おねえちゃん、夜になるとしくしく泣いてるよ」と教えてくれました。

 

パピーさんが「数日間、親としゃべれないのは子供も辛いはず」と書いて下さったように、長女は私の前では強がっていたようですが、やはりさびしかったみたいです。ですから妹が眠ったころを見計らって長女に「今日は一緒に眠ろうか?」と言ってみたら、素直に「うん」と。

 

そして布団に入って手をつなぐと私の腕に顔を押し当てて涙を拭いていました。そこで「この前、叩いてゴメンね。痛かったでしょ。悪かったっけね」と言ったら、無言でコクリとうなづきました。

 

こんな時、いつもなら「でもあなたも悪いんだよ…」のように言ってしまいがちなのですが、それは我慢して「今まで、お姉ちゃんだからって、いろいろ我慢させてたよね。それも悪かったなって思ってるんだ。だからこうやって時々一緒に眠るのはどうかな?って思っているんだけどどう?」と聞くと、メソメソしながらコクリとうなづき、ほんの10分ほどでスヤスヤと寝息を立てました。

 

パピーさんが「手を握ったり、肩を抱いたりして“ぬくもりを感じさせながら”」と言ってくださったように、この「ぬくもり」がとても功を奏したと感じます。何をどう言ったら解ってくれるのか?といろいろ考えていましたが、長女に必要だったのは「言葉よりもぬくもり」だったのですね。

 

翌日、朝には「おはよう」の声掛けにも(照れて小さく)「おはよう」と答え、「行ってきます」と言って元気に学校に出かけました。学校から帰ってくると機嫌も良く、宿題をすぐに始め、音読をするその声も今までで一番張りがありました(^^)。

 

実はパピーさんが言われていた“気に入らないと逆切れして、相手を無視して、不機嫌な態度を取る”は、かつての私の姿でした。当時は、私はそんな態度をする方で、される側の気持ちを経験することがありませんでしたが、長女がこのようになって、どれだけ私が周りに嫌な雰囲気を振りまいていたか、が分かったように感じます。

 

私は、そんな長女の姿が気に入らず、お互いに反発をしていましたが、私と同じようにしてしまわないためにも、これから上手に「仲直り」ができるように、私がその姿を見せて行こうと思います。もちろん、姉妹に公平に接する事。そして「ぬくもり」を忘れずに。

 

今回は、どうもありがとうございました。

長女さんとの冷戦状態が解決したみたいでよかったです(^^)

言葉よりもぬくもり」、確かにそうだったと思います。“ぬくもり”って、皮膚上の感覚もありますが、それを感じた時は、心もちょっと暖かくなりますし、まさに「包まれている」と感じます。そしてその暖かさはきっと、お母さん自身の気持ちも癒してくれますから…ね♪

image by: Shutterstock.com

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【著者】 石神明生 【発行周期】 毎週日曜

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