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黒タイツ禁止という「ブラック校則」に立ち向かう生徒たちの闘い

生まれながらの髪の色を染めさせたり、女生徒のポニーテールや白の下着以外の着用を禁止するなど、世の中には、理不尽な校則が存在する。こうした、いわゆる「ブラック校則」とよばれているものは、常にネットを騒がせているが、いま日本のネット上で議論になっているのが、寒冷地にある高校の「ベージュ色のタイツに限って認める」という校則だ。この問題は、12月10日放送のNHKおはよう日本」で放送されたことがきっかけで話題になった。


氷点下の中、寒さを我慢しながら登校

NHKが取材した高校「県立斐太高校」があるのは、岐阜市から北に約100キロのところ、飛騨の山々に囲まれた高山市。冬には気温が氷点下となり、積雪は数十センチにも達する地域だ。この高校の生徒が変えたいと訴えるブラック校則は、「ベージュ色以外のタイツ禁止」というもの。

生徒手帳には「白いソックスの下にベージュのストッキングをはいてもいい」「ベージュのタイツとスラックスを防寒用に着用してもよい」との記載が。これについて女生徒は「ストッキングじゃ寒いし、タイツは見た目が不自然。スラックスは、取扱店にあったとしても1着1万円ほどする」といい「黒タイツの着用OK」を訴えていた。実際、この学校では多くの生徒が氷点下の中、寒さを我慢しながら登校していた。

黒タイツにこだわる「本当の理由」

生徒たちが「黒タイツ着用」を訴え続けるのは、見た目や健康、経済的負担などの他にもあった。その理由は、理不尽さを訴える生徒に対して、この校則がある意味を説明できない学校側の姿勢への不信感だ。というのも、生徒たちは幾度か校則変更を訴えてきた。

1度目は学校で見かけないスラックスの実態調査である。調査では、大半の生徒がスラックスの記述があることを知らなかったと判明。そして、驚くべきことに高校近くの制服取り扱い店には販売されていないことがわかったのだ。この調査結果を学校に提出したが、「(ベージュのタイツを)嫌だからはきたくないは、主観の問題」とし、却下した。生徒が「黒がいい」と思うことが「主観の問題」であるならば、学校側の「ベージュがいい」と思うことも主観の問題なのではないか。

2度目の調査

生徒会は、諦めなかった。2回目に取ったアンケートは生徒や保護者に向けたものである。内容は、黒タイツの是非や出身中学で黒タイツが認められていたかなど。これには、1300人ほどの回答が得られたという。賛成は9割近く。中学では1校をのぞいて黒タイツが認められていた。回答の中には、保護者からの「体を思いやっていただきたい」という切なる声もあったという。

2ヶ月後、学校から返ってきたのは、またしても「NO」だった。「見た目については主観の問題」「防寒対策には、ベージュのタイツもある」という理由からだ。校長いわく「紺のセーラー服、紺のスカート。そして白のソックス。これが斐太高校の制服ですよというふうにずっと見てきたし、見られてきた」「周囲の高校は、紺だったり黒のタイツだったりするので、それとの区別」。これを覆すほどの意見が出てこなかったからだという。

私たちの意見って何なんだろう

これらの回答に対し、生徒たちは「納得いかないし、憤りを感じた」「私たちの意見って何なんだろう」ともらす。そして、最後の望みを保護者会や卒業生を交えた会議に託した。これまでの闘いの記録と思いを述べ、黒タイツの着用は全会一致で容認された。これによって学校側は手のひらを返す。「当然重く受け止めたい」「ベージュである必要性はないからOK」。

世の中に溢れる「ブラック校則」

「こういうもの」という曖昧な認識で変えられなかったり、「保護者や同窓会の意見」で180度変わる校則。この高校以外にも、世の中にはブラック校則が溢れている。今回の件について日本のネット上では「まだこんな校則あったんだ」と驚きの声があがっている。






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image by: Shutterstock

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