1年の締めくくりである12月は、何かと仕事が忙しくなる月。クリスマスや年末、そしてお正月に向けての準備などのイベントや作業も増えてきますよね。
そんな慌ただしい時期の恒例行事といえば、忘年会。
忘年会では、日ごろから仲良くしている友人から普段飲みに行かないような職場の人まで、さまざまな人とコミュニケーションが取れる場。
忘年会をきっかけに距離を縮められたら良いのですが、なかには嫌な印象を残してしまうこともあるようです。
そこで今回は、忘年会での個人的NGマナーや思い出、飲み会に対する本音を取材。良い部下って?上司のこんな態度が素敵だった…などなど、同世代でも、意外な考え方の違いが見えてきました。
参加メンバー
- カレン
- 某銀行の受付窓口で働く20代女性。グラスワイン1杯で酔えるほどお酒は弱いが、飲み会は大好き。ちなみに男運はマイナス。
- ヨウ
- 女社会で生きてきた30代女性。お酒は日本酒一択。夫と深夜3時まで飲酒し、イベントに遅刻した過去をもつ。
- アベ
- 出版業界で男性に囲まれながら営業をする30代女性。お酒はレモンサワーしか飲めない。
- 編集K
- 将来を考え、最近ビールをやめた20代女性。悲しいほどに、永遠に酔えない。今回のライターです。
「それ本当に要る?」と思う、飲み会マナー
外せないお刺身の盛り合わせ/image by:編集部
編集K:もうすぐ忘年会の時期ですけど、毎年何か気をつけていることってありますか?
アベ:最初の1杯目は絶対にビール。瓶の場合は、ラベルを上にして注ぐこと。
ヨウ:さすが営業さん…!私は、別にラベルを下にして注がれても何とも思わないけどね。
編集K:私も以前勤めていた会社で上司にそう教えられました。銘柄がわかるようにとか何とか…。
アベ:正直、上司への気遣いがどうとかじゃなくて、「常識ないな」って思われるのが嫌でずっとラベルを上にしてきたなぁ。
編集K:すごくわかります。多分、上司の方も銘柄じゃなくて、常識的なところを見ているんだろうなって思ってました。
ヨウ:いや、全然見てない(笑)。ただ、それは社内の飲み会の場合ね。やっぱり、取引先の人がいる場では、そういう”昔ながら”の常識も気にした方が良いと思うな。
カレン:あと、ビールがなくなる前に注げっていう…。
アベ:正解なんだろうけど、私は正直やめてほしいなって思うときもある。「いいよいいよ」っていっても、どうしても冗談みたいに捉えられちゃって結局苦手なお酒を注がれる…(笑)。
編集K:気遣いのつもりが逆に困らせている可能性もあるんですね。私たちは「マナーだから」ではなくて、ひとりひとりにあった”おもてなし”をすると思った方が良いのかも…。
私たちが「知っておいた方が良い」と思ったマナー
遠慮を知らないカレンさんと編集Kのホタテが到着/image by:編集部
編集K:ほかにも知っておいた方が良いと思うマナーはありますか?
アベ:基本だけど、”上座下座問題”。
一同:あ〜!
アベ:1回、新入社員の子がいちばん奥の席に座ったことがあって、そのときは空気が凍った(笑)。
ヨウ:心が狭いけど、確かにそれはちょっとモヤモヤするかも(笑)。
編集K:でも、新入社員のときは上司の隣、2年目からは裏方に徹するみたいな暗黙のルールありませんでした?
ヨウ:あったあった。
アベ:私のところはなかったかも。
カレン:私、新入社員のころからずっと絶対に上司の横に座ってますよ!
ヨウ:えっカレンちゃんもしかして…。
カレン:出世狙いとかそういういやらしい理由じゃないですよ!私、銀行で働いているんですけど、同じ支店のメンバーは上司付き合いが少し苦手で。上司と話すときは緊張しちゃって楽しませる自信がないらしくて。毎回、話せる私が上司の話を聞いて、みんなに回しているんです。
編集K:完全にMCの立ち位置。でも、それだと毎回上司の人としか話せなくないですか?せっかく支店のメンバー全員集合してるんですよね?
カレン:そうなの。だからいつもモヤモヤしていて。はじめはみんなで話すんだけど、徐々にちいさいグループになって話し始めるでしょ?上司の話は楽しいし、タメになるんだけどちょっと寂しい。
編集K:席は基本的に年功序列。でも、その場の空気によることもある、と。食事の注文はどうですか?
ヨウ:別に誰が注文したって良いと思う。「若手が全部注文を取りなさい」ってところは、いま少ないんじゃない?
カレン:私の会社は、逆に上司が全部注文してくれますね。「これ美味しいから食べてほしい!」って。この前はノドグロのお刺身を初めて食べた。
アベ:良い上司〜!
良い部下、嫌な部下
編集K:私たちのようなまだ新卒から間もない世代からすると、「良い部下だな」「嫌な部下だな」と思われるポイントが気になります。
ヨウ:私、本当にそういうマナー的なものって気にならないんだよね。強いていうなら、さっき話した上座・下座くらいかな。サラダを取り分けるとか、お酌してもらったら必ずひと口飲んでから置くとか…どうでも良くない?気を使われすぎたら逆に疲れちゃうかも(笑)。
アベ:働いているなかでは気づかない、その人のキャラクターを知ることができるのも飲み会の利点だったりするのに、ずっとかしこまられてもね。
編集K:なんだか意外です…!アベさんの会社はマナーに厳しいと聞いたんですけど、そんななかで生き抜いてきた術をぜひ教えてください。
アベ:検索してすぐ出てくるような基本的なマナーは、絶対。まだ話に出てきていないものだと、はしゃぎすぎない。
一同:(笑)
アベ:自分は脇役なんだと思って、ひたすら盛り上げに徹すること。盛り上げときくと、自分が笑いを取ろうと頑張っちゃう人がいるけど、そういうことじゃない。そんなに自分を安売りしなくて良いのにって、下の世代を見ていて思うよ。
編集K:若手は気負いすぎ?
ヨウ:そうだね。もっと肩の力を抜いて、楽しむ気持ちで参加すれば良いと思う。
忘れられない、嫌だった忘年会
image by:Unsplash
編集K:忘年会、嫌だった思い出はありますか?
アベ:飲むと手が出る上司が、半年前の鬱憤を爆発させたときかな。
ヨウ:うわ、それは最悪…暴力は絶対NGだよね。
アベ:ウチの会社、社内にいるときはジャケットもネクタイもしなくて良い会社で。でも、なぜか1年目の若手だけは真夏でもジャケットとネクタイを絶対に着用しなくちゃいけないという暗黙のルールがあって。
カレン:なんかそういうの…”古い”ですね。
アベ:私もそう思ってたんだけど、みんな何もいえずに守ってた。でも、会社の方針もあって、おととし入ってきた代からガラッと変わったのね。
編集K:嫌な予感がする…。
アベ:それを知らなかった上司が、年末に夏場のことを掘り返してきて「お前はネクタイひとつもつけられないのか」って激怒。手は出る、足は出るで大変で。
ヨウ:酔って周りに迷惑をかける人は、本当にお酒を控えてほしいね…。
アベ:いつもは厳重注意で終わってたんだけど、ここでやっと問題になって退職処分。あの年の忘年会は絶対に忘れられないなぁ。
カレン:暴力も嫌だけど、言葉の暴力も嫌。とくにリアルな下ネタは聞きたくない。笑わせようとしてくれてるのかもしれないけど、正直愛想笑いもできないときもあります。
ヨウ:わかる。「それ、もうセクハラですよ」って思うよね。後輩を持つようになった私たちの世代も、そういうのは気をつけていかないとなと思う。
忘年会で「好感度が上がる」上司の振る舞いとは?
編集K:逆に、忘年会の良い思い出はありますか?
ヨウ:あるある。仕事はできるし頼りになるからと、すごく慕われていた上司がいて。場を盛り上げてくれる感じの人で「この人がいたら忘年会も楽しいな」って思えるような上司だったんだけど。1次会の途中で「妻と娘がいるから…」って抜けて帰っていったのね。
編集K:何ですかその素敵な上司。歩く好感度ですか?仕事人間というわけでなく、ちゃんと家族を大切にしている姿も垣間見えると、さらに尊敬しちゃいますよね。
ヨウ:まさにね。それで、お会計のときになって気づいたんだけど、代金をすべて支払ってくれていたの。
アベ:で、できる男だ…!
ヨウ:そのスマートさがかっこよくて、さらに人気になっちゃって。2カ月後のバレンタインはチョコレートでデスクが隠れてたよ(笑)。
編集K:そういうのサラッとできる人って、あまりいないですもんね。
カレン:チョコレートといえば、去年部長がゴディバの2個入りチョコを「1年間お疲れ。来年もよろしくね」って全員に渡してくれました。
編集K:最高すぎる。飲んだあとはラーメンかチョコって決まってるし。
ヨウ:決まってない決まってない。アベさんが素敵だなと思ったのは?
アベ:私はお酒が苦手なんだけど、営業部ということもあってガブガブ飲む空気になったりするのね。そのときに隣に座っていた先輩がすっとソフトドリンクに替えてくれて。
カレン:えっやだかっこいい。本当にそんなことあるんですね。恋が始まりそう。もう好き。
アベ:その先輩はお酒が好きだけど弱いって話してたから「わかってくれたんだなぁ」って嬉しくて。それでふと横を見たら、すり替えてくれたアルコールを飲んでベロベロになってた。
ヨウ:それは…気を使ってくれたのは嬉しいけど、冷めるな。お酒は無理せず楽しむのがいちばんだよ。
会社の飲み会について、みんなの本音は…?
話が盛り上がり、2軒目に移動 image by:編集部
編集K:最近では、部下が上司の誘いを断るのも、めずしくなくなってきました。それに対してみなさんはどうですか?
カレン:よばれたら絶対にいきます。だって楽しいじゃないですか。私、社内の飲み会、結構好きですよ!
編集K:私もわりと好きなんですよね。年功序列が厳しい会社に勤めたことがないからかもしれないですけど。
アベ:私はほとんど断るかな。飲み会の時間は業務外。つまり、プライベートの時間だよね。なんで社外でも”仕事の人たち”と飲まないといけないのか…。
編集K:ずいぶんドライですね(笑)。やっぱりお酒を普段から飲む人と飲まない人で感覚が違うのかな。
ヨウ:私もどちらかというと、アベさん派。極力飲み会は避けたいなと思っちゃうかも。プライベートもあるし。
アベ:別に仲が悪いわけでも、嫌いなわけでもないんだけど、なんとなく心が落ちつかないんだよね。よく、「おいしいところに飲みに連れてって”あげる”よ」と誘ってくれる上司がいるけど、それなら家で安い発泡酒飲みたいなって感じです。
カレン:えぇ〜みんなで生ビール飲みましょうよ〜!
編集K:日ごろの飲み会は嫌というおふたりですが、忘年会もやっぱり嫌?
アベ:正直嫌だけど、さすがに1年に1回のお疲れ会みたいなものだし、仕方ないと思うかな。だから、絶対1次会で終わらせたい。
ヨウ:わかる。私も絶対に1次会で帰る。
編集K:2次会に行かないコツとかあるんですか?
ヨウ:「明日朝早いので帰ります」とか。
アベ:私の後輩は「寒暖差アレルギーなので帰ります」とか「このあと違う忘年会があって…」とかいう子もいたよ(笑)。
編集K:忘年会のハシゴは逆に失礼ですね(笑)!
アベ:清々しかったけどね(笑)。
部下が発する”帰りたいサイン”
アベ:”帰りたいサイン”を出しているのに、「もう1軒いくぞ〜!」っていわれること、ない?
ヨウ:ある。
編集K:”帰りたいサイン”って具体的にどういったものですか?
ヨウ:盛り上げている人だったり、部課長以外の人が少しずつ話さなくなる。
カレン:地獄だ。
アベ:あと、忘年会の終了時間が迫るにつれ、ドリンクが進まなくなる。
編集K:ラストオーダーとかじゃなくて、ですか?
アベ:私たちのなかには、ラストオーダーの前の”真のラストオーダー”があるの。ラストオーダーすら頼まないことで、もうじゅうぶんだと訴えかける。
編集K:私、ラストオーダーは欲張って2杯とか頼んじゃうな…。
カレン:私も…。
楽しい忘年会にするには?
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編集K:忘年会が好きという方も、行きたくないという方もいると思います。どちらであれ「(どうせいくなら)楽しい忘年会にしたいな」と思っているはずですよね。楽しむために何か心がけていることとかありますか?
アベ:私、目的を決めてゲーム感覚で参加してる。
ヨウ:ゲーム?
アベ:たとえば、周囲の人の良いところを3つずつ探すとか。「この悩みを解決する」とか。
カレン:良いところ探し、良いですね!
アベ:ちょっと苦手だなと思っていた人も、「あっなんだ良いところあるじゃん」って好きになる。
編集K:会社の飲み会らしく、有意義な飲み会ですね。ヨウさんは今までどうしてたんですか?
ヨウ:私は上司の人と仲が良かったから、”0次会”で楽しく飲んでから参加してたよ。ほどよく酔ってるから、1次会も楽しめる。
アベ:そっか、最終日ってほとんど業務も終わってるもんね(笑)
飲み会マナーのNGラインは、環境や人によって異なるもの。そのため、よほど見極められていない限りは、基本的なマナーは守っておいた方がいいかもしれませんね。
飲み会に関しては、同世代でもさまざまな意見があることが、今回わかりました。もちろん、無理していく必要はありませんが、普段話さないような人ともコミュニケーションが取れる貴重な場であることは間違いありません。
どうしても外せない忘年会があるのなら、今年はゲーム感覚で楽しんてみたり、上司や同僚の意外な一面を探しだしてみたりと目標を定めて、前向きな気持ちで参加してみてはいかがでしょうか。
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- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
- 初出:2019年12月6日/by them