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習近平の来日拒否なら「新型肺炎は日本の陰謀」の嘘が流れる理由

SNS等で新型肺炎に関する出所不明のデマが拡散している日本ですが、中国では政府や党幹部が流言飛語を発することも少なくないようです。台湾出身の評論家・黄文雄さんは今回、自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、CIAの調査により判明した驚くべき事実を紹介。さらに、習近平国家主席の国賓来日を日本が拒否した場合に予想される「中国によるフェイクニュース」の内容を記すとともに、安倍官邸がつけるべき「政治のケジメ」を提示しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2020年2月26日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【中国】新型肺炎でフェイクニュースが蔓延、『韓非子』の時代から何も変わっていない中国

新型肺炎のフェイクニュース蔓延に苦慮 「1,000人の中国人到着」「駅閉鎖」

新型コロナウイルスの感染は拡大する一方です。皆様も充分に用心してお過ごしになっていらっしゃると存じます。伝染病の拡大は人々を不安に陥れます。そんな時に限って、残念ながら、人々の不安を煽るためのデマが蔓延するのも過去の例から分かっています。エボラ出血熱やSARSのときもそうでした。伝染病のパニックに乗じてデマが拡散されることを「インフォデミック」と言われているようです。

フェイクニュースやデマは伝染病が流行しているときと選挙前に大流行します。2020年1月の台湾の国政選挙の際も、中国によるフェイクニュースに警戒するよう台湾当局は注意喚起をしていました。実際、2016年のアメリカ大統領選挙のときは、フェイクニュースが拡大し、ついには発砲事件に至ってしまった「ビザゲート」事件があります。

陰謀論の舞台にされた米ピザ店で男発砲 独自捜査しようと

誰かがネットでつぶやいた一言、たかが一言が雪だるま式に巨大化して人々が扇動されると、最悪の場合は死者を出してしまう可能性もあるのです。フェイクニュースとは、実に恐ろしいものなのです。

今回の新型コロナについても、今まさに本当にさまざまなデマが飛び交っています。例えば、今回の新型コロナの拡散はワクチン開発に取り組んでいるビル・ゲイツの陰謀といった陰謀説。バナナを食べると感染する、ニンニクを食べるとウイルスが消滅する、漢方薬が有効などといった、飲食物に関係するデマ。ペナン島に1,000人の中国人が到着した、新型コロナで治療中だった男性が死亡した、などという人に関するデマ、などなど枚挙に暇がありません。

新型肺炎のフェイクニュース蔓延に苦慮 「1000人の中国人到着」「駅閉鎖」
新型肺炎・デマ拡散大パニック(上)大量フェイクの「インフォデミック」発生

デマは信じなければいいと言ってしまえばそれまでですが、問題は、人間というのは真実よりもデマを信じる傾向にあるようです。そして、デマは実際のウイルスよりも感染力が強いということ。

新型コロナウイルス:デマの氾濫は感染拡大を悪化させてしまう

デマが広がることで最も恐ろしいのは、人々が嘘の情報をもとに感染対策を講じることで、逆に感染が広がってしまうことです。ネット社会の現代では、情報の洪水から逃げることはできません。中国のように、どれだけ政府が情報統制をしても、ネットを通じてどんな情報も漏れてしまいます。中国では皆が必死になればなるほど、ネットのデマを信じてバナナが全く売れなくなったり、漢方薬が売り切れたりといった珍現象が後を絶ちません。

さらに人々が不安になると、社会全体が不穏な雰囲気になり、人々をイライラさせます。マスクを買い求める列の人が、割り込みなどのちょっとしたことを理由に流血沙汰を起こしたりするのは、そのせいでしょう。

今は人々の冷静さが重要です。そして正しい情報が重要です。正しい情報を得るためには、情報の発信元をよく精査する必要があります。ネットなどで個人が発信する情報は根拠がないことも多いため、吟味が必要です。政府からの通達、あるいは大手メディアによるきちんとした取材や医療機関からの情報など、きちんと根拠が示されている情報であることを確認することが重要です。

闇雲に怖がるのではなく、正しく怖がる冷静さを忘れないようにすれば、感染を防ぐ確率も高まります。

そもそも中国社会は、人間不信で政府や家族や隣人よりも流言飛語を信用する文化を持っています。そしてその人間不信から生まれた中国人のメンタリティやエトスが「疑心暗鬼」の心性です。

『韓非子』は、このような人々を管理するためには償(アメ)と罪(ムチ)が必要だと説いています。韓非はイタリアのマキャベリよりも2,000年近くも前に、このようなことを説いていました。

武漢の人々が新型コロナウイルスが蔓延するなかで、政府の公式見解よりもフェイクニュースを信用しているということは、『韓非子』の時代から中国社会は何も変わっていないということです。

さらに、中国の流言飛語は政府や党幹部から発しているものも少なくありません。アメリカのCIAが調査したところによると、中国のハッカー対策部隊が人民解放軍の内部にあり、フェイクニュースの配信センターが中国政府内にあるということを突き止めたそうです。

つまり、中国政府による組織的犯行ということが明らかにされたのです。中国人は政府のこうした内情は推して知るべしといったところで、政府がいくら「真実らしい」ことを言っても信じないのは当然です。国民が政府を信じないので、中国政府は外国に対してフェイクニュースを外交の武器として使うようになりました。台湾でも流言飛語は多く、そうした情報は「鳥龍消息(ウーロン情報)」と呼んで分別しています。

武漢発新型コロナウイルスについては、果たしてパンデミックになるか、あるいは流行に止まるのかまだ分かりませんが、世界中が不安に陥っているのは確かです。

中国は、今回の感染症はアメリカの陰謀だとして反米感情を煽っていますが、それがうまくいかなければ、今度は日本陰謀に転嫁するかもしれません。例えば、日本が習近平の訪日を拒否したりしたら、日本陰謀説のフェイクニュースを本気で流すことでしょう。民衆の不満を反日に向けるということは、これまでも中国で何度も繰り返されてきたことです。

中国から発した新型肺炎がアジア、欧米、アフリカ、イスラム世界へと拡散してパンデミックとなれば、中国のカタストロフィに発展するかもしれません。日本はここで政治のケジメとして中国を遮断するべきでしょう。

image by: Shutterstock.com

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2020年2月26日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。

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