プロ直伝!マンションの売り時・買い時の見極め方

2020.10.30
by tututu
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2008年のリーマンショックにより市場は冷え込み地価も大きな影響を受けましたが、その後、東京オリンピックによる再開発需要やアベノミクスによるインバウンド効果により都心を中心に地価は大きく上昇しています。

この間に都心でマンションを売買した人の中には短期間で大きな利益を挙げた方も少なくありません。

もちろん、住むためのマンションを求めている方は短期間での売買を望んでいないかもしれませんが、それにしてもできるだけお得に購入したいという点は間違いないはずです。

本記事では、不動産市場に長く関わる筆者の視点で、マンションの売り時と買い時の見極めについてご紹介していきたいと思います。

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都心を中心に中古マンション市場が活発

日本では欧米に比べて新築物件に住みたい意欲が高く、中古マンション市場より新築マンション市場の方が活発です。

こうした中、東京都においては2016年から3年間、中古マンションの販売戸数が新築マンションの供給戸数を上回ったとして話題になっています。

東日本不動産流通機構(東日本レインズ)による「首都圏不動産流通市場の動向」と不動産経済研究所による「首都圏マンション市場動向」の2016年から2019年のデータを比較してみると、以下の通りです。

不動産図①

ちなみに、その前のデータを見てみると、以下のようになっています。

不動産図②

この逆転現象は都市再開発やインバウンド需要を背景にした地価やマンション価格の上昇により新築マンションの価格が高止まりしてしまったことが原因です。

新築マンションが手を出せないほど高価になってしまったため、中古マンションを買い求める人が増えたと考えられます。

マンションの売却を考えている人にとって、この状況は追い風だといえるでしょう。

逆に、マンションの購入を考えている人にとっては、新築マンションにせよ中古マンションにせよやや厳しい状況だといえます。

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新型コロナウイルスでマンション市場はどう動く?

2020年に入り新型コロナウイルスが世界中を襲いました。

日本のマンション市場は新型コロナウイルスに、どのような影響を受けるのでしょうか?

先程と同じく不動産経済研究所の首都圏マンション市場動向を見てみると、2020年上半期(1~6月)の新築マンションの供給戸数は7,497戸と前年同月比より44.2%の減となっています

もともと供給戸数を減らしていた新築マンションですが、新型コロナウイルスによりさらに下降したと考えられるでしょう。

ただし、新築マンションの平均価格は6,668万円と過去最高です。

必ずしも明確なデータがあるわけではありませんが、上記のデータから見ると、価格の高い新築マンションはコロナ禍においても供給戸数があまり減らず、価格の低い新築マンションの供給戸数が減ったことで、供給戸数が減り、平均価格が高くなったと想定できます。

一方、東日本レインズのデータによると中古マンションの販売戸数は以下のように推移しています。

不動産図③

緊急事態宣言の出た4月や5月は大きな落ち込みが見られますが、その後は回復傾向にあり、8月には反動もあり前年同月比+18%にまで上昇していることが分かります。

経済ショックに強い住宅

実は、居住用の施設は経済ショックに強いと言われています。

これは、不況になったとしても住む場所は必要だからです。

特に新型コロナウイルスではステイホームが求められ、家にいることが多くなり家族と過ごす時間が増えたといった理由から新しく住宅を買い求めるという方もいらっしゃいます。

もちろん、今後コロナ禍による影響が続き、失業率が大幅に増加するなどすると、状況は変わってくる可能性は高いですが、現状ではマンション市場への影響は限定的と見てよいでしょう。

今後マンション市場に影響が及ぶことが考えられる出来事

マンションの売り時、買い時を判断するにあたり今後、マンション市場に影響を与える可能性がある出来事について確認してみたいと思います。

マンション市場にプラスの要因をもたらす出来事

まず、プラス要因としては以下のような出来事があります。

  • 2025年開催予定の大阪万博
  • 2027年のリニアモーター開業

エリアの限定される出来事ではありますが、大阪万博の開催されるエリアやリニアモーターの開通するエリアにおいては都市開発が進み、マンション市場にはプラスとなる可能性が高いでしょう。

該当するエリア周辺でマンションを所有している場合は、まだマンションを保有し続けていた方がよいといえます。

マンション市場にマイナスの要因をもたらす出来事

次に、マンション市場にマイナスの要因をもたらす可能性のある出来事としては以下のようなことがあります。

  • 2022年の生産緑地問題
  • 2025年の団塊世代問題

それぞれ見ていきましょう。

生産緑地問題とは

生産緑地問題とは、1992年に生産緑地に指定された30年後にあたる2022年に生産緑地の指定が解除され、市場に土地が流れることで不動産価格が暴落すると予想されている問題です。

生産緑地法では一定の条件を満たす土地について、指定を受けると固定資産税や相続税の大幅な減額を受けられるというもので、指定期間中は農地等から宅地に転用できず、売買できません。

生産緑地の指定が解除されることで固定資産税は高くなり、また該当の土地が売却可能になるため一気に売りに出す人が増えるというわけです。

生産緑地はその半数以上が関東地方で指定されており、東京都など生産緑地の多いエリアにおいては、特に影響が多いものと予想されます。

団塊世代問題とは

2025年の団塊世代問題とは、人口ボリュームの大きい団塊世代が2025年に一斉に後期高齢者になるという問題のことです。

これにより医療や介護の問題が一気に噴出し、日本の経済に大きなダメージが及ぶということが予想されています。

また、2025年には東京都の人口がピークに達することが想定されています。

日本全国の人口はすでに減少状態にありますが、2025年には東京都においても人口が減少し始めると予想され、マンション需要低下から、マンション価格が下がることが予想されているのです。

ずばりマンションの売り時・買い時はいつ?

以上、マンションに関するデータをお伝えしてきました。

マンションを売却したい、または購入したいと思っている方は、本記事でご紹介したようにさまざまなデータを見ながら判断することをおすすめします。

例えば、東京都で生産緑地の多いエリアにマンションを所有している方であれば、2022年より前にマンションを売却した方がお得になる可能性があります。

一方、大阪でマンションの購入を考えているという方は、大阪万博に向けて再開発が見込まれる2025年以降に購入を検討することでお得に購入できる可能性が高まるといえるでしょう。

まとめ

マンションの売り時や買い時についてさまざまなデータを元にお伝えしました。

マンションの売り時や買い時については本記事でご紹介した通り、データを元に判断することをおすすめします。

新型コロナウイルスにより先行きが不透明な時期ではありますが、こうしたときこそ、よりしっかりと調査するとよいでしょう。

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【著者紹介】

逆瀬川 勇造

合同会社7pockets 代表社員

明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より不動産会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。2018年より独立し、不動産を中心としたフリーライターとして活動を開始。現在合同会社7pockets 代表社員も務める。

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