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GoTo継続は棄民政策。菅政権は旅行や外食どころでない普通の国民を殺す気だ

菅首相と小池都知事との話し合いの結果、東京発着分については一部自粛要請が出されたものの、取りやめになるどころか来年のゴールデンウィークまでの延長論さえ出ているGoToトラベル。新型コロナの新規感染者数の推移データを見る限り、キャンペーンが感染を拡大させているのは明白のようにも感じられますが、政府はもはや新型コロナ抑制を諦めたのでしょうか。今回のメルマガ『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、GoToトラベルに期待を抱く国内スキー場とヨーロッパ各国のスキーリゾートの対応を比較するとともに、旅行や外食どころではない多くの人々への支援こそ優先されるべきと菅政権を強く批判しています。

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「Go To スキー場」は、もはや「Go To hell」状態

「Go To トラベル」に始まり「Go To イート」「Go To イベント」「Go To 商店街」と次々に打ち出される「Go To キャンペーン」は、安倍前政権による4月7日の「感染症の拡大が収束し国民の不安が払拭された後に実施する」という閣議決定など、まるで「無かったこと」のように強行され続けています。そして、今度は「Go To スキー場」という言葉が新聞の見出しに踊りました。

ちなみに、これは政府による新たなキャンペーンではなく、「Go To トラベル」の一環として、これからシーズンを迎える福島県内のスキー場に関するニュースを報じた読売新聞の造語です。しかし「Go To スキー場」という言葉に目が止まったあたしの脳裏には、原田知世さん主演の映画『私をスキーに連れてって』が浮かんでしまいました。

あたしが中学3年生の時に公開された『私をスキーに連れてって』(1987年)、高校2年生の時に公開された『彼女が水着にきがえたら』(1989年)、専門学校1年目の時に公開された『波の数だけ抱きしめて』(1991年)、あまりにも懐かしい「ホイチョイ3部作」ですが、TOKYO FM『あ、安部礼司』を聴くと当事を思い出します。ま、それはともかく、11月29日付の読売新聞の「Go To スキー場、3密対策は…ゴンドラ相乗り禁止・マスク着用」という記事によると、全国で新型コロナの感染拡大が続く中、福島県内の各スキー場は、対策に万全を期してシーズン本番に備えているとのこと。

具体的には、ゴンドラ内に換気用の扇風機を設置して、マスク着用で他グループとの相乗り禁止。レンタルウェアは1回の利用ごとに消毒。レストランは席数を減らしてテーブル上にアクリル板を設置。リフト券は対面販売による感染リスクを減らすため、事前に予約してクレジットカードで決済し、スマホ画面に表示されるQRコードを自動券売機にかざせば発券されるそうです。他にも、それぞれのスキー場が独自の対策を行っているだけでなく、様々なイベントを企画するなど、誘客のための工夫を凝らしているそうです。

昨シーズンは暖冬による雪不足で、例年より1カ月近くもオープンが遅れたスキー場も多かったため、各地のスキー場は今シーズンに懸けていました。そこで、新型コロナです。どこのスキー場も必死になるのは分かります。それに、何と言っても日本は総理大臣が「感染防止」より「Go To トラベル」に比重を置いています。どれほど感染が拡大しても「Go To トラベル」にブレーキを掛ける気持ちなどミジンもなく、もはや「Go To hell」状態。それなら、各地のスキー場は政府の方針に便乗するに決まっています。

それでは、ヨーロッパの国々はどうでしょうか?フランスのマクロン大統領は11月24日の声明で、フランス国内のすべてのスキーリゾートについて、少なくともクリスマスから新年に掛けての期間が終わるまでは「リフトを稼働させることは不可能だ」と述べました。ドイツのメルケル首相とイタリアのコンテ首相は、新型コロナの感染拡大を抑えるために、ヨーロッパのすべてのスキーリゾートを1月末まで閉鎖するように各国に求めています。もしも、この要求が通れば、ピレネー山脈北部の数々のスキー場を始め、多くのスキーリゾートが大きな打撃を受けます。

一方、EU加盟国であるオーストリアは、ドイツ政府からロックダウンを継続するように圧力が掛かっているにも関わらず、12月半ばに現在の2回目のロックダウンが終了したら、すぐに国内のスキー場をオープンすると主張しています。サンアントン、レッヒ、ツュルスなどのアールベルク地方のスキーリゾートは、ロックダウン終了後、通常より3週間遅れで12月17日にオープンする予定だそうです。同じくEU加盟国であるブルガリアも、オーストリアと同様にドイツからのスキーリゾート閉鎖の呼びかけを拒否したと報じられました。

EU加盟国ではないスイスも、国内のスキー場のオープンに前向きです。すでに、ツェルマット、サースフェー、ヴェルビエ、エンゲルベルク、アンデルマットを含む多くのスキーリゾートで少数のリフトを試験的に運行しており、12月5日以降の完全なオープンに向けて準備を進めています。また、スウェーデンのスキーリゾートもオープンされています。そして、スペインやスロベニアなどスキーリゾートを持つ他の国々は、まだ明確な方針は示していませんが、それぞれの国の政府が現在の感染状況と経済との板挟みに苦しみながら、方針を模索しているようです。

ヨーロッパの多くのスキーリゾートは、EUがオープンを認めた時のために、販売されるチケットの制限、リフトの制限、施設内でのマスク着用、ソーシャルディスタンスの確保などを進めています。しかし、スキーリゾートの閉鎖を支持する有識者らは、すでに多くの病院が新型コロナの感染者の殺到により医療が逼迫(ひっぱく)しているため、さらにスキーによる負傷者が運び込まれることになったり、仮にスキーリゾートでクラスターが発生するようなことになれば、各国の医療は崩壊してしまうと警鐘を鳴らしています。

1つの国である日本の場合ですら、感染防止より経済を優先する国の方針と各自治体との間に軋轢が生じているのですから、27の国々の集合体であるEUが1つにまとまることは極めて困難でしょう。しかし、EUでは、もしもスキーリゾートが全面オープンした場合、有名なリゾートに周辺国からスキー客が殺到することも考えられるのです。

スキーを始めとしたウィンタースポーツが盛んなフランス南東部のアルプス山中にある高級リゾート、クールシュヴェルで高級ホテルを運営する旅行代理会社のディレクター、リチャード・ラム氏は、今回のマクロン大統領の声明について「すでに打撃を受けている我々の業界にとって、さらに追い打ちを掛ける大きな打撃です」と述べました。しかし、その一方で、もしもスキーリゾートが完全にオープンし、各国の人々に旅行を許可された場合、ラム氏は「feeding frenzy」を引き起こす危険性があるとも述べています。

「feeding frenzy」とは、直訳すると「狂乱を養う」という意味ですが、四字熟語の「狂乱索餌(きょうらんさくじ)」と同じ意味の英語の言い回しです。海中で1匹のサメがイルカなどに襲い掛かって大量の血が流れ出ると、周囲のサメが集まって来てそのイルカの肉を食いちぎり、さらに他のサメが集まって来て狂乱状態になることがあります。海を真っ赤に染めたイルカの血と、多くのサメが入り乱れている状況に興奮し、正しい判断ができなくなったサメたちは、満腹になってもイルカの肉を食いちぎり続けるのです。

1カ所に多くの人々が殺到することで、正しい判断ができなくなり、通常とは違った行動を取ってしまう。自分の意思とは関係なく、周囲と同じ行動を取ってしまう。バーゲンセールのワゴンに殺到した女性たちが洋服を奪い合う場面などに、この「feeding frenzy」という言い回しは使われます。バーゲンセールという狂乱状態によって正しい判断ができなくなり、周囲に流されて欲しくないものや必要ないものまで買ってしまう女性たち。これが「feeding frenzy」なのです。

多くの人々が長期休暇を取るクリスマスから新年に掛けてのこの時期に、各地のスキーリゾートがオープンして旅行が解禁されると、これまでずっと規制されてストレスが溜まっている人々はどのような行動を取るでしょうか?それをラム氏は危惧しているのです。実際、マクロン大統領の声明とは関係なく、国内の感染状況から、この冬の営業を諦めて全面休業にしたスキー場やホテルもあるのです。

しかし、EU加盟国の大半の人々は、こうした各国それぞれの方針や各スキーリゾートそれぞれの対応を冷めた目で見ています。それは、新型コロナによって生活が困窮している多くの人々にとって、家族で旅行に行くことなど夢のまた夢であり、こうした議論自体が自分とは無縁な雲の上の話だからです。報道によると、ほとんどの人々は「クリスマスも新年も自宅で家族と静かに過ごす」と言っているそうで、これは日本も同じだと思います。

日本の月別の新規感染者数の推移を見ると、7月22日に安倍晋三が「Go To トラベル」を強行した翌月の8月が「約3万2,100人」と過去最多を記録していました。そして、菅義偉が「Go To トラベル」を推進するとともに第2弾「Go To イート」や第3弾「Go To イベント」を強行した11月は「約4万7,700人」となり、過去最多を大幅に更新しました。

こうしたデータを見れば、日本医師会の中川俊男会長の「Go To トラベルによる人の移動が感染拡大のきっかけになったことは間違いない」という指摘もうなずけます。また、11月30日には、福岡県で行なわれた「Go To トラベル」によるバスの団体旅行でクラスターが発生し、参加者ら10人が感染したと報じられました。このように「Go To トラベル」が感染を拡大させているのは事実なのです。

しかし、それでも菅義偉は「Go To トラベルが感染拡大の原因だとするエビデンス(証拠)はない」などと強弁し、この感染拡大キャンペーンを続けているのです。その上、自民党の政調会長の下村博文は、11月30日、来年1月までの「Go To トラベル」を来年のゴールデンウイークまで延長するように菅義偉に提言しました。もちろん経済も大切ですが、経済のための政策が感染拡大を引き起こしてしまったら本末転倒です。そして、それ以前の問題として、何度も言うように、あたしは「旅行や外食どころではない多くの人々」への支援を優先すべきだと思います。

(『きっこのメルマガ』2020年12月2日号より一部抜粋・文中敬称略)

image by: 首相官邸

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