米国「不法移民問題」」今までの流れ
そもそもの米国の不法移民問題の今までの流れを説明しましょう。
最初にトランプが大統領選にでてきた時に「国境の壁」を強く主張していたのはご存知のとおりです。そこでよく使われた言葉に「 キャッチ・アンド・リリース 」があります。
「キャッチ・アンド・リリース」とは釣りの用語です。捕まえた魚を逃がしてやる事です。
同じ事が米国国境で起こっていたのです。例えば中南米からの不法移民が密入国しようとして国境警備局に捕まったとします。国境外に追放されるのが普通だと思うでしょう。 しかしオバマ政権時代は、捕まった人がその場で「難民申請」することにより入国することを許可されていたのです。
難民申請とは「人種、宗教、国籍、特定の社会的集団や政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがある」人ができるものです。 不法移民の多くは、経済的な豊かさをもとめて米国に来ているので、この「難民」に該当しない人が多いのです。
しかし、キャッチ・アンド・リリース政策では、米国側は難民申請の文言を言われたら入国を認めて「×月×日に米国の××裁判所に来なさい。そこで難民の資格があるかどうかを審査するから」といって釈放せざるをえなかったのです。
その不法移民が、定められた日に裁判所に来ることはまずありません。そのまま米国内に消えるのです。
移民したいなら正式な書類を提出しろ
2015年、これに真っ向から反論する形で大統領選に登場したのがトランプだったのです。「合法移民はよいが、不法移民はダメだ。移民したいなら正式な書類を提出しろ。また難民申請は正式な国境検問所に来てしろ。密入国しようとして、捕まったら『私は難民申請します』なんてのはダメだ。それを認めているから犯罪者、レイプ犯や麻薬の密売業者まで不法入国しているのだ」 というのが彼の主張でした。それが米国民の大きな支持を得て当選したのです。
理解できると思いませんか?
私もトランプは性格的に嫌いです。しかし、この主張自体は理解しえます。しかし、この主張に焦点をあてる米国の大手マスコミは少なかったのです。この論点を取り上げること自体が、トランプに利するという判断があったためでしょう。「トランプがメキシコ人は犯罪者、レイプ犯だ!と言った」といった、揚げ足取り報道がメインでした。 トランプはジャイアンのような悪役顔ですし、親族は白人ばかりです。言葉も悪いので、ひどい反移民主義者、差別主義者という印象をあたえることは極めて簡単でした。
しかし、YouTubeで聞く彼の演説や著作とマスコミの報道を比べると、印象操作は度を越していました。実際には「メキシコからの不法入国者の大多数は、真面目に働きたい善良な人々だという事は知っている。しかしながら、中にはこういった犯罪者もいるのだ」と配慮をもった言い方をしているのです。
米国人ならば彼の著作を読み、オリジナルの演説を聞いて、マスコミ報道の印象操作の度合いが分かります。「トランプの言葉使いもヒドイが、CNNの印象操作はもっとひどいな」と思う米国人が多数います。
しかし、日本人でそこまでやる人はほとんどいないでしょう。なぜトランプが支持され続けるのだ? と不思議に思って当然です。
日本のマスコミが伝えない海外報道の読み解き方とポイントを解説する大学教授・大澤裕さん新創刊メルマガの詳細・ご登録はコチラから