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見えてきた文在寅の末路。政界入りを決意した元検事総長の使命感

先日掲載の「文在寅の憂鬱。元検事総長の政界登場で迫る投獄と“死の気配”」でもお伝えしたとおり、大統領選への出馬を決心したとされる、文在寅氏と「犬猿の仲」の尹錫悦元検察総長。これまで表立った動きは控えていたように見受けられた尹氏でしたが、水面下では着々と政界進出の準備を進めていたようです。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、現地での報道内容を詳細に伝えるとともに、そこから明らかになった尹氏の人となりを紹介しています。

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追い詰められた絶体絶命の文在寅

韓米首脳会談のあと、文在寅氏は、5月26日に与野代表を青瓦台に呼んで午餐会をやった。野党代表らが文在寅に質問するのだが、文在寅はほとんど答えなかった。質問に対して答えないという選択がありうるのか。筆者は学会などで活動を行ってきたが質問に対して答えないというチョイスは、皆無だった。そんな無礼なことが許されるはずもない。しかし文在寅は、都合の悪いことはすぐにパスする性向をもっている。野党代表らの集まっている場においても、それが発揮された格好か。驚きだ。

とくに安哲秀(アン・チョルス)「国民の党」代表とのやりとりが象徴的だ。安哲秀は性格がこまかい。きちんと手帳にメモしてきて6、7個の質問をした。まず1つ目は、韓米共同声明を見ると完全に親米・反中になっているけれど、これって、平素の文政権の基調と全く違うようにみえるがこれはいったいどうなっているのかと質問をしたのだが、文在寅は何も答えず。2つ目。民主党は韓米首脳会談結果に協調の意志があるのかと質問。これにも文は答えず。3つ目。米の望むのは韓米関係の改善だけど、その具体的な方策はあるのかとの質問にも無応答。4つ目。「Quad(クアッド)」参加問題はどうなってるのかとの質問にも無応答。5つ目。習近平の訪韓問題は?にも無応答。6つ目。韓米軍事訓練問題は?このように続けざまに質問したのだが、文在寅からの返答はほとんどなかった。答えてくれたのが(他の代表らの質問も含めて)たったの2つで、習近平訪韓についてはその時期がまだ未定ということと、韓米軍事訓練についてはコロナのために今はできない。たったこの2つぽっきり。

いやあ、韓米首脳会談の成果を説明してくれるということできたのだけれど、1番目の質問くらいには答えて当たり前なんじゃないのか。これにすら答えナシというのは誠意がまったくないと言わざるを得ないと安哲秀代表はあきれてものも言えないといった風情。最後に別れる時に土産をくれたのだが、それは5色のストライプネクタイだった。与野党の統合を象徴するためのネクタイのようだが、野党からの質問には全く答えず「今回の韓米首脳会談は建国以来の大成功だった」などと自画自賛だけで終わった午餐会。まともな内容に裏打ちされていたらこんなプレゼントも意味もあろうが、なんの誠意もない中でもらったネクタイを、誰が喜んでつけるんでしょうかねと安哲秀は言うのだった。

前号(「文在寅の憂鬱。元検事総長の政界登場で迫る投獄と“死の気配”」)にも登場したパク・ヨンス特別検事。この人と張済元(ジャン・ジェウォン)議員(国民の党)および尹錫悦(ユン・ソンヨル)元総長は非常に仲のよい間柄だ。張済元議員も元検事。張済元議員は、尹錫悦元検察総長が辞表を出した後、彼と連絡を取ることを控えていたという。本人が水面下で静かに動いているのを知っていたからだ。変に連絡などして歩調を乱すことになったりすればそれこそ事だ、と考えたわけだ。

そんな中、5月24日月曜日に、尹錫悦氏のほうから電話してきたという。わたしはいよいよ政界に飛び込むだろう。足りないところは多いけど、張済元議員さん、手助けのほう、よろしく頼むと。張済元議員との電話で、「文政権は非常識なことがあまりにもおおい」「政権交代はなんとしてでも成し遂げねばならぬ」と文政権に対して強い批判をした。国政運営をこんなふうにやってはいけないのだと強い語調で語り、「政権は必ず交代せねばならぬ」としめたという。検察という組織を「無力の集団」にしたことに対して憤慨していたのかとの問いに、そうじゃない、そんな検察事態のみならず国政全般に関して(非常識ばかり)だと尹錫悦は言ったということだ。また別の5選の議員(国民の党)も、尹錫悦氏は、この政党が次も政権をとったら国の形がぼろぼろになる。必ず政権交代せねばならぬと言ったといい、ものすごい強烈な使命感をもっているとした。

尹錫悦氏は5月25日には、ユン・ヒスク議員と会った。ユン・ヒスク議員は米で経済学博士号をとって韓国のKDIで経済学の教授をしていて、この4月の選挙で議員となった人。すでに国会討論などで独特のキャラクターを発揮して韓国内ではかなり有名だ。尹錫悦のほうから電話して会い、食事して酒も飲んだようだ。ユン・ヒスク議員の書いた本をおもしろく読んだと尹錫悦は言い、「いっしょに政治をやろうじゃないか」と提案したという。「だったらまずあなたが国民の力に入ってください」とユン・ヒスク議員は答えたという。この一言からも、ユン・ヒスク議員の単刀直入さが読み取れるだろう。

ユン・ヒスク議員の見立てでは、尹錫悦氏が「国民の力」に入ることはもう既成事実のような感じがしたということで、お酒を飲みながらの話だったけど、尹錫悦氏は市場経済に関する造詣がものすごく深い人だと感じたという。さらにまた別の消息通が言うところによると、尹錫悦氏は法曹界の人間だが、経済に関してもかなり造詣が深いと語る。それは、尹錫悦氏の父親が経済学教授で子どものころから父のもっている経済書を読み漁ったからだという。フリードマン(経済学者)の視角をもって自由市場を推し進める哲学を明確にもっている。経済に関しては他の候補らと比較しても絶対に不足感はないはずだと、この消息通は語る。最近は尹錫悦氏は、科学技術や国防安保に関して集中的に勉強しているようだ。

中道派のイ・ジュンソク突風が巻き起こっている現在、尹錫悦元総長の「国民の力」合流はその時期の問題だけとなってきている。6月11日に国民の力の新代表選挙がある。ここで新代表が決まる。この新代表が尹錫悦氏に「うちの党にきてください」というだろう。尹錫悦氏はその通知をうけてすぐには入らないで多少時間差をおいて入党するだろう。7月ごろに入党となろう。

まだ大統領の出ていない忠清道(チュンチョンド)を故郷と認識しており、忠清道から初の大統領登場となるか。その可能性がますます高くなってきている。この意味でも国民の期待は大きい。メルマガ筆者も、今この忠清道に住んでいる。外国人には大統領の選挙権はないけれど、来年3月9日、妻についていって、選挙場の風景を楽しみたいと考えている。(無料メルマガ『キムチパワー』2021年6月3日号より一部抜粋)

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image by: 青瓦台 - Home | Facebook

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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