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危機から一変。年商12億円のクリーニング店を救った「おせっかい」

生活スタイルの変化に洗濯機や衣料品の進化も加わり、クリーニング店の「日常使い」が激変した昨今にあって、全国に13万人の会員を抱え、年商12億円を達成したという宅配クリーニングをご存知でしょうか。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、一度は廃業の危機に陥りながらも全国展開に活路を見出したクリーニング店の「復活の秘密」を紹介。その鍵となったのは、顧客が望んだ以上のサービスを提供する「おせっかい」でした。

“おせっかい”で急成長!会員13万人の宅配クリーニング

自宅で洗濯できない衣類は、近所にひっそりと佇むクリーニング屋さんに持ち込みますよね。コートやジャケットなどの季節もの。サラリーマンなら、Yシャツを頻繁に出しているのではないでしょうか。

この日常的な光景・習慣が、いま変わりつつあります。

洗濯機の高性能化やファストファッションの定着、形状記憶のYシャツなどの出現によって、クリーニング屋さんを利用する人が激減しています。その結果、町のクリーニング屋さんが消滅危機にあります。

兵庫県西脇市にあるクリーニング屋さんも存続が危ぶまれる状態に陥りました。元々、兵庫県内に10店舗展開していたのですが、この状態が続けば倒産。そこで、新たなチャレンジをすることに。

「全国展開」。

と言っても、ネットや電話で依頼を受ける、宅配クリーニングです。地域での依頼が少なくなったのなら、全国のお客さまを相手にすれば良い、となったのです。ネットや電話で申し込めば、専用のバッグが送られてきて、そこに衣類を詰め込み、送り返すというもの。宅配業者に取りに来てもらうか、コンビニに持ち込むだけです。

クリーニングの依頼には、定額制のコース設定があります。

あらゆる洗濯物に対応しています。また、「コース外」として、ウェディングドレスや民族衣装など、特殊なものもクリーニングしています。お客さまのさまざまな要望に応えてくれるのです。その結果、年商12億円を達成。クリーニングの依頼は、多い日で1日1万7,000着。会員数は約13万人にも及んだのです。

しかし、宅配クリーニングの会社は他にもあります。なぜ、この会社がここまで成長できたのでしょうか。

その秘密は、“おせっかい”にあります。お客さまが望んだ以上のサービスを提供しているのです。

たとえば、ウール製品などの毛玉取りやほつれたところの修理、緩んだボタンをつけ直す、などです。ボタンつけでは、糸を400種類、ボタンを1,000種類用意し、どんな服にでも対応できるようにしています。これらの“おせっかい”をすべて無料で行っているのです。また、依頼にはなかったシミを発見すれば、これも熟練の職人によって、シミ抜きを行います。これも無料。

定額制でお得な上、こうした“おせっかい”もしてくれるのですから、ファン・リピーターが増えるのも納得です。

無料の“おせっかい”は、これだけではありません。驚きのサービスで、圧倒的な差をつけています。クリーニングを依頼した衣類を最大20点、最長12ヵ月間預かってくれるのです。こちらも無料です。

季節ものをクリーニングしたら、後はタンスやクローゼットに収納しますが、場所を取ります。30~40代のマンション世帯では、スペースに余裕がないので、着ない時期の衣類を預かってくれるのは、非常に有難いのです。しかも無料となれば、この会社を利用しないはずはありません。

まさに、至れり尽くせり。素晴らしい“おせっかい”です。

ここで働く職人は言います。「届いた時のお客さまが喜ぶ顔を想像すると嬉しい」。直接は見えないお客さまの笑顔を糧に、ここの職人は、毎日毎日“おせっかい”を焼いているのです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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