ロシアのプーチン大統領が、ドキュメンタリー番組で告白した「意外な事実」。その意図を探るのはメルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』著者で国際政治経済学者の浜田和幸さんです。プーチン大統領は、いったいなぜ今になって「思い出したくない衝撃の過去」を語ったのでしょうか?
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プーチン大統領は1990年代、タクシー運転手で生活費を稼いでいた
ぶっちゃけ、新型コロナウィルスの急拡大でモスクワを離れて安全なソチの別荘で執務を続けているといわれるプーチン大統領ですが、ロシアで12月12日に放送された「ロシア:最新の歴史」と題するドキュメンタリー番組で意外な告白をしました。
何を語ったかといえば、「思い出したくないが、自分はソ連が崩壊した直後、生活苦からタクシーの運転手をして現金を稼がなければならなかった」というのです。
実は、1990年代にはロシアにはタクシー会社はほとんど存在していませんでした。
当時、町を走るタクシーの大半は自家用車や公用車を使って現金を稼ぐ雲助に他なりません。
驚いたことに、救急車までタクシー代わりに使われていたものです。
彼らは「ボンビラ」(爆撃機)と呼ばれていました。
筆者もモスクワをたびたび訪問しましたが、「タクシーに乗る時は用心するように。値段は乗る前にしっかり交渉して決めておくように。運転手意外に人が乗っている車には絶対に乗らないこと」とアドバイスを受けたものです。
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さて、プーチン大統領ですが、今回の告白で何を訴えたかったのでしょうか?
そのヒントは次の言葉に隠されています。
プーチン大統領曰く「ソ連が崩壊したことは経済的な苦しみを多くの国民に与えた。ロシアの歴史にとって同じような悲劇を繰り返してはならない」。
従来から彼は旧ソ連邦の復活を悲願として訴えてきているのです。
15の共和国に分裂したことで、政治的にも経済的にも大国としての威厳もパワーもそがれてしまったというのが彼の本音と思われます。
そんなプーチン大統領にとって、旧ソ連時代から「最大の穀倉地帯」と呼ばれ、広大な領土を誇るウクライナが西側寄りになり、NATOへの加入まで模索しているような現状は許しがたいはずです。
ここ数週間の動きは一触即発の感がします。
なぜなら、ロシアはウクライナとの国境地帯に9万人を超える軍隊を結集させているからです。
そうした現状を分析すれば、プーチン大統領の告白は「ウクライナへの最後通牒」のようにも聞こえます。
要は、「もう一度、一緒になって、大国の座を取り戻そうぜ。間違っても西側の一員になるなどと思うなよ。万が一、そうなれば、お前たちの運命はどうなるか分かるだろうな」と恫喝しているわけです。
ぶっちゃけ、KGB出身のプーチン大統領は「旧ソ連邦の復活」はロシアの歴史を正常化させ、自らが終身皇帝の座に就く道につながると信じているに違いありません。
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image by: Frederic Legrand – COMEO / Shutterstock.com