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世襲政治家から国を取り戻せ。日本を救う「江戸の長屋システム」とは

先日掲載の「岸田首相『分配主義』の目玉になるか?貴族制の再創設が日本を救う理由」では、日本国憲法の制定により我が国において廃止となった貴族制の再導入が、今後の日本を救うことになるとの持論を展開した、日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さん。津田さんは自身のメルマガ『国際戦略コラム有料版』で今回、その論をさらに進め、貴族のランク決定において「社会貢献度」が重視されるシステム構築を提案するとともに、その具体的な評価方法等を提示しています。

【関連】岸田首相「分配主義」の目玉になるか?貴族制の再創設が日本を救う理由

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新しい資本主義での価値観の変更

前回は、貴族制の復活で、名誉と地位を分配することを提案したが、この根本にあるのが、人生の意義や価値観の変更である。

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今までは、政治権力や金融資本主義の下で、権力をとることや金儲けをして、権力奪取や大きな金融資産を残すことが、人生の意義や人生の価値とした社会であったが、権力やお金以外の社会貢献度の大きさが、価値を持つ社会になるように、価値観の変更を行うことである。

この手段として、貴族制を作り、社会貢献度という尺度で貴族のランクが決まるようにすることで、皆が社会貢献を人生の目標にできるようにして、日本社会を明るくする必要がある。お金や権力だけの評価基準からの脱却が必要になっている。

社会貢献の仕方は、高額の税金を納めることや慈善団体に寄付することや新陳代謝を促進する社会の仕組みや技術を開発することや事業化することなど、多岐にわたる。この尺度を作り、皆がこの尺度に納得するような基準を作ることが重要である。

安倍政権の時のような、首相のお友達だけが、得をする仕組みにならないように、首相のお友達を名誉から排除することも重要である。権力のある者やその周辺の人たちは、名誉にあずかれないようにする。権力を持つか、名誉を持つかの1つしか追及できないことが必要である。

首相は、権力を失った後には貴族になれるようにして、報いることである。議員や大臣など権力をとる段階にある人たちも貴族なれないようにする。勿論、首相を通じて権力を行使する、首相のお友達も排除しないといけない。

お金や権力だけの基準から、社会貢献度の基準に社会の評価システムを変更することである。これで新自由主義的資本主義の根本が崩壊するし、ボランティアを正当に評価する仕組みができる。

人生の評価基準を変えることで、経済成長だけの基準で社会を評価しないようになると期待したいし、それがないと、日本の貧困化は悲劇的なことになる。

一番、期待が大きいのが、江戸時代の商家の裏にある裏長屋と同じようなことを企業や資産家に期待する。貴族という名誉を与える大きな目的は、貧困化した若者たちの世話であろう。

表にある商家は、裏長屋を貧乏人に安い家賃で貸し、かつ、長屋の住人の世話をすることが重要であった。警察力がないので、裏長屋の住人が、略奪する暴徒に、世話になっているこの商家は、襲わないでくれと嘆願することになる。しかし、現在は、このようなことはないので、その代わりに名誉を与えるのだ。

今後、日本全体が貧困化すると、人口の40%程度の人たちは、極度な貧困になり、家も持てなく、結婚もできないことになる。この世話は、国だけではできない。多くの資産家と企業が参加しないと、無理である。貧困で苦しむ人数も多い。多くの篤志家が必要になる。

国は予算的にも、年金や生活保護の仕組みを維持するだけで手一杯なはずで、若者の世話はできないし、多岐にわたるので、多くの参加者が必要なのである。

家だけではなく、仕事の世話も必要である。このため、企業の出番であり、資産家の寄付が必要であり、NPOや財団法人、社団法人などの仕組みで対応するしかない。

今は、資産家が資産を残すために財団法人を作るが、真剣に社会貢献しているわけではない。このため、現状は、中途半端な状態になっている。

地方行政

国の軽量化のテーマに戻ると、次の改革は地方行政であろう。

道の整備も上下水道の整備も、使用料金や住民税を上げられる状況ではなく、費用対効果でどうするのかが重要になる。市民生活防衛のためには、効率的な行政が必要になっている。

また、住民税の税収を増やすためにも、住民を増やすことが重要で、そのための施策や企画が重要になる。要するに、企業経営と同じようなセンスが必要ということだ。

政治的な思想より、地域住民の利便性を高める実務が重要であり、今の政党中心の行政のトップより、その街の企業や企業集団が行政を直接行えるような仕組みにすれば、企業人事と行政人事の交流ができて、経営感覚のよい行政ができることになる。

流山市の「母になるなら流山」という宣伝を、当初、市職員は大きく反対したというが、その宣伝の通りに保育園を拡充し、育児の意見を聞き、利便性を高めたことで、若い家族と子供達が増えて、流山市の人口は大きく増えたという。

これは、市長が経営コンサルタント出身者であったことで、そのような企画ができたのだ。経営感覚が地方行政に必要になり、企業経営と同じようなセンスが重要になっているのだ。

武蔵野市のような仮想敵国の短期滞在外国人も住民投票できる制度を作るような政治信条からゴリ押しするような市長がいらないはずである。そのような政治的なことを中心に行い、経営的センスがない人は必要としないはず。思想的な紛争を起こすのは、市民にも迷惑である。

江戸時代は、町の行政は、武士ではなく、町人が行い、村の行政は庄屋が行っていた。武士は、村全体の年貢を取り立てるだけである。この仕組みを現代に活用した方が良い。安い行政ができる。

しかし、行政で企業の暴利が起きる可能性もあるので、警戒は必要であり、中央政府の監査体制と市民などの選挙で、企業の暴利を防ぐ仕組みは必要である。当初は、企業城下町と言われる都市から徐々に進める必要はある。

逆に、行政機関が企業を営むことができるようにする。人口増加させるために、村の産業を作る必要があり、村長を社長した企業があってもよいはずだ。特に中山間部の村は林業に活路を見出すしかない。この中心になれるのは、村役場しかないからである。

日本のグランドデザイン変更の手段

このように見ていくと、国の権力の中心が、太平洋戦争前は軍人であり、戦後は官僚となり、小泉改革で政治家になり、今後は企業経営経験者と資産家になるような気がする。

2世3世政治家の世の中を見る目が低く、かつ人間としての器量が低いことで、日本の貧困化と政治の私物化を引き起こしている。これを解消するためには、当面は行政に、経営者や資産家の参加が必要になっているようだ。

もう1つ、衰退する軽量国家日本のグランドデザインを考える必要があるが、今までの既得権益者に権益を放棄させるためには、それ相当なことをしないと、政治的に持たないので、それを名誉や地位を代償に与えて、我慢してもらうという考えた方でもよいはず。武士を明治後、貴族にしたようにである。

ということで、中小企業の統合が必要になっている。本格的なDXやIT化に対応できないので、資本統合をして体力を付けていくことで、生産性も向上できる。この統合でも権利放棄した経営者を貴族にするなどの代替処置にも使える。

大企業が中小企業を統合する方向でもよいが、下請けという考え方を放棄させていく必要がある。この改革でも社会改革になるので、実行する大企業経営者にも名誉を与えることである。

最低賃金を年5%程度上げて、日本の生産性を上げるようにと、デービッド・アトキンソン氏は言うが、その方向性は正しいが、日本の既得権益者の抵抗をどうかわすかが政治的な問題である。

このような問題でも、貴族制度を利用でき、次の日本の変革をスムーズに行う手段として、利用することである。

さあ、どうなりますか?

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image by: mastapiece / Shutterstock.com

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