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元朝日新聞校閲センター長が教える、ビジネス文章に最も必要なこと

会社や役所などが自らホームページやSNSなどを運営する時代。手のこんだ企画や商品の説明だけでなく、簡単なお知らせでも、どう書いたら伝わるのか悩むことはないでしょうか。今回のメルマガ『前田安正の「マジ文アカデミー」』では、著者で朝日新聞の校閲センター長を務めていた前田安正さんが、「“さっと読んで、すっと理解できる”文章こそがビジネスシーンにおける名文」とレクチャー。難解なことばや言い回しで読み手の時間を奪わないように、文章力を磨くことが必要だと伝えています。

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読み手の時間を奪ってはいけない

企業や自治体の広報文の研修やコンサルティングをする機会が増えてきました。最近は広報文だけでなく、プロジェクターに投影する資料やホームページの監修などの依頼も多くなってきました。

いずれも、伝えたい内容がうまく相手に理解されないということが課題です。いまは、リモートでの打ち合わせやプレゼンテーションが増えてきました。その資料が読みにくくてわからない、とクライアントから指摘されるのだそうです。

すると、その原因は資料のデザインにあるのではないか、と「見せ方」を変えようと考えます。資料やプレゼンテーションのテンプレートをつくったり、フォントの大きさを変えたりします。もちろん「見せ方」は重要なポイントです。

ところが、資料の「文章力」が機能していないのではないか、ということに思いがいたらない場合があるのです。文章力の課題を聞くと、

魅力的な文章を書きたい
表現力をつけたい
資料にキャッチーな見出しをつけたい

というものが多いのです。それも文章力の重要な要素です。しかし、本当に大切なことは

読み手がさっと読んで、すっと理解できること

なのです。

時間を左右する文章力

読み手の存在を忘れて書いた文章は、相手の時間を奪うことになります。読み手も何とか内容を把握しようとしますが、読み進めることができないのです。5分で読める文章を10分かけても内容が理解できない、となれば、読み手の時間を無駄にしてしまいます。こうした文章が10本あれば、読み手の時間を50分余分に奪うことになります。

筆者の文章を点検する上司にかかる時間的な負荷は、それ以上に違いありません。また、わかりにくい文章は誤解を生み、大きなトラブルのもとになります。時間をかけてつくった文章がもとでトラブルを引き起こすということは、危機管理ができていない、というレッテルを貼られてしまうからです。時間の損失だけでなく信用の問題にもなります。

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先ずは今までの文化を壊す

いったん作られた組織の文化を壊すことは、意識の変化を伴います。そのため、それを壊したくない、壊すことが不安だ、という変化への精神的な抵抗があります。

何をどう直したらいいのか、という基準がわからないことも不安を増殖させる原因になります。社会人になってから、学生時代のツケが回ってきます。

わかりやすい文章は子どもっぽいと思う意識も、精神的な抵抗の一つです。難しいことばを使うことが大人の文章だという思い込みにつながります。

冒頭に書いたように、「魅力的」「表現力」「キャッチーな」ということばが、文章の課題に含まれているのは、精神的な抵抗によるものなのです。

しかし、さっと読んですーっとわかる文章こそが、ビジネスシーンにおける名文なのです。文章の書き方は、組織の変革にもつながる問題だということを意識すべきだろうと強く思うのです。

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image by: Shutterstock.com

前田安正この著者の記事一覧

未來交創株式会社代表取締役/文筆家 朝日新聞 元校閲センター長・用語幹事 早稲田大学卒業、事業構想大学院大学修了 十数年にわたり、漢字や日本語に関するコラム「漢字んな話」「漢話字典」「ことばのたまゆら」を始め、時代を映すことばエッセイ「あのとき」を朝日新聞に連載。2019年に未來交創を立ち上げ、ビジネスの在り方を文章・ことばから見る新たなコンサルティングを展開。大学のキャリアセミナー、企業・自治体の広報研修に多数出講、テレビ・ラジオ・雑誌などメディアにも登場している。 《著書》 『マジ文章書けないんだけど』(21年4月現在9.4万部、大和書房)、『きっちり!恥ずかしくない!文章が書ける』(すばる舎/朝日文庫)、『漢字んな話』(三省堂)など多数。

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【著者】 前田安正 【月額】 ¥660/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 5日・15日・25日

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