MAG2 NEWS MENU

中国や北朝鮮ではない。日本に経済資源リスクをもたらす「真犯人」

隣国からの脅威ばかりが強調されがちな我が国ですが、経済資源におけるリスクに関しては、国民の「ある姿勢」が高めてしまっている面もあるようです。今回のメルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』ではジャーナリスト・作家として活躍中の宇田川敬介さんが、「資源は海外から買えば済む」という日本人の認識を問題視し、その理由を具体的かつ平易に解説。さらに経済の基盤である資源の輸入経路を知ろうともしない点に対して、「致命傷」という強い言葉を用い警鐘を鳴らしています。

世界の今が分かる、宇田川敬介さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ!

 

ウクライナ情勢を見て思う「我が国は生きのこれるのか?」 日本のリスク・経済資源編

日本のリスクということで、今まで、北朝鮮、中国、ロシアということを見てきました。

【関連】ロシアからの「核」だけじゃない。日本が抱える“兵器以外の北朝鮮リスク”とは
【関連】日本人が中国に対して抱く“勘違い”が「最大の中国リスク」という皮肉
【関連】すでに戦争状態。日本は今ロシアに軍事侵攻されてもおかしくない

実際に、これらの国々に関しては、ニュースなどで、連日日本周辺での軍事演習や領海侵犯などを行っているので、改めて書かなくても、様々なリスクがあることを、皆さん自身がご存じであるというように思うのです。

例えば北朝鮮に関して、今年になって17回もミサイルの実験と称して、日本海にミサイルを飛ばしてしまっていては、当然に日本人の多くはリスクがあると思うものです。

北朝鮮の場合は、北朝鮮の国土から東側、つまりは日本の方向に向かってミサイルが出てくることになるので、当然日本の領海または領土が危険にさらされます。

日本の場合、このように兵器による危機があった場合は、ある程度危険があるというように認識します。

日本人の多くは兵器を見たことはないので、その兵器が襲ってくるというと、これまでの戦争映像などによって「自分がそのようになる」というような想像をします。

中には「自分が」ではなく「自分の身近な人が」というようなことを考える人が少なくないのですが、少なくとも「マスコミ報道」や「資料映像」での悲惨な戦争結果しか見えていないので、戦いを忌避する考え方が出てきています。

そのようなことから、軍備による威圧にすぐに屈する人が少なくなく、その為に、国論がおかしくなるというような感じになります。

戦争そのものがどのようになるのか、負ければどのようになるのか、占領され主権が無くなった場合にどのようなことが起きるのか、もっと言えば、「奴隷として生きる」ということがどういうことなのか、そのことが見えていないということになります。

その為に「戦わずして奴隷になる道」を選ぶ人が少なくないのではないでしょうか。

「戦わずして奴隷になる道」を選びながら、「自由と権利を主張する」というあまりにもおかしな状況を「おかしい」と思えない日本人が、実は最もリスクであるということがみえます。

まさに、そのことが、最も大きな問題になってきているのではないでしょうか。

そのことが「平時」から出てきていますので、領海に迫ってきていたり、不法侵入して来たりする国に対して「経済は別」としてしまって、国の事を考えない。

そのことの方が大きな問題なのではないかと思うのです。

要するに、「外国が危険」「外国のリスク」ということを言いながら、一方で、実はそれらは「平和ボケで経済は身勝手で自分だけ稼げばよいと思っている日本人のリスク」であるということが言えるのかもしれません。

もっと強い言い方をすれば、「日本国のリスクは日本人の中の身勝手と平和ボケ」ということが言えるのかもしれません。

世界の今が分かる、宇田川敬介さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ!

 

さて、その「経済」ですが、それは安泰なのでしょうか。

そこで日本のリスクのうちで経済に関するリスクを考えてみましょう。

まず、日本は、約150年前まで(本当はもう少し前に開国していますが)鎖国をしていました。

江戸時代の鎖国は、完全な鎖国ではなく、オランダと韓国と中国(清)とのみ貿易はしていましたし、またその海の部分を長崎に限るというようなことをしていました。

今から考えれば、後に林子平が「海国兵談」で語りますが、海はどの国ともつながっているので、そのようなことを行っても意味がないのですが、しかし、江戸幕府はそのようなことを決めていたのです。

当然、そのようなことで海を守れるはずがありません。

そのことからペリーが来て、開国することになります。

鎖国の利点は、外国の文化などが入らないので、独自の文化の醸成ができることと、外国と組んで政権を転覆することや余計な思想が入らないことであると思います。

もちろんそのこと以外にも様々なことがあるのですが、しかし、それ以外の事といっても、鎖国を決める人々の感覚はそのようになるのではないかと思います。

それに対して鎖国のデメリットは、もちろん情報や文化の寸断ということでしょう。

当然、そのことによって文化が遅れ、後進国になってしまうということになるのです。

日本は、そのことから「文明開化」をおこない、そしてかなり急速に発展を遂げたのですが、そのことから資源戦争に敗れ、最終的には植民地戦争に巻き込まれるということになります。

さて、日本は資源のない国なのでしょうか。

実際に石油は新潟の一部で産出されるだけであるとされています。

しかし、「銅」「石炭」などは、基本的には日本の様々なところで採れますし、また天然ガスも非常に多く採取されます。

温泉があるということは、当然、温泉と思に天然ガス(メタンガス)が出てきますので、そのガスを有効利用をすればよいということになるのです。

実際に、以前千葉県や東京の渋谷で、天然ガスが施設に充満し、ガスの爆発事件が起きています。

東京の渋谷の真ん中でそのような事故が起きたということが、意外のように思うかもしれませんが、関東ローム層の下には植物腐食泉があり、渋谷は古くから「鉱泉」が出ることで有名でしたから、当然にそのようなガスなども出てきたと思います。

沖縄などの一部ではそのガスを集めて、資源化しているのですが、残念ながら、日本全体にはそれができているという状況ではないのです。

これは「コストが合わない」ということからであり、資源化が難しいということよりも「商用になりにくい」ということが大きな問題になっているということになります。

つまり「国家の資源」ということを全く考えない、「経済の身勝手」が大きな問題のひとつ目になっています。

そのうえで「資源は買えば入ってくる」という認識でしょう。

つまり、「相手国との関係」「シーレーンの防衛」など全く考えていないということが、もう一つの問題になります。

日本において「シーレーン防衛」などといって、本来であれば、経済界が最も真剣に考えなければならない状況であるはずなのに、日本の経済界は自分の事ではないと思っているというのが最も違和感を感じるところです。

日本の場合、多くが中東、それもアラビア半島周辺から石油の90%近くが輸入されています。

まずはこのことをすぐに答えられる人がどれくらいいるのでしょうか。

世界の今が分かる、宇田川敬介さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ!

 

そのうえで、そこから積み出して日本に石油が到着するまで約90日かかるということも皆さんはご存じでしょうか。

つまり、日本の石油というのは、原油の場合は現在の90日前の相場(厳密には通常は取引日の前3カ月の平均ということになるので6カ月前から4カ月前までの相場の平均ありますが)で取引しています。

そして軽油などは、同様にシンガポールの90日前の相場で取引しているということになるのです。

しかし、なぜか日本のガソリン価格は、現在の相場に左右されており、また、その現在の相場に連動しているのです。

そして、そのようになって「史上最高値」という異様なエネルギー価格の高騰を招きながら、結局「石油商社」などが史上最高益を挙げるということになります。

値段が高くなっているので売り上げが高くなるということはなんとなく理解できますが、なぜ利益が上がるのでしょうか。

これは不思議な現象です。

それなのに、日本国民は何も文句を言わないのです。

さて、自分たちの経済の基盤である資源が、どこからきて、どのようなところを通って来るのかわかっていないというのは、ある意味で致命傷です。

外交や政治は関係がない、産油国の情勢やその途中の国々の状況が全く見えていない。

それでいながら、経済的なことばかり話をしているというような状況で、知らないにもかかわらず身勝手なことを言って、守ってもらえると思っている。

政府を批判しながら、そのまま何かがあればその批判した政府に守ってもらえると思っているということがおかしいのです。

シーレーンの途中の国、例えばスリランカが国債を払えずにデフォルトしていることや、インド洋が中東・インド・中国などでかなり危険な状況になっているということなどは全く日本人はわかっていないのです。

マラッカ海峡の海賊の事も、また南シナ海における中国の覇権主義の問題によって軍事演習が絶えない状態にあっているということ、そのような中を通らないと日本の資源は、いや、石油は確保できないでいるのです。

(メルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』2022年5月23日号より一部抜粋。続きはご登録の上、お楽しみください。初月無料です)

世界の今が分かる、宇田川敬介さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ!

 

image by: Shutterstock.com

宇田川敬介この著者の記事一覧

今回は有料で日本の裏側に迫りたいと思います。普段は意識したことのない内容や、どうしてこうなるの?というような話を様々な角度からお話ししてゆこうと思います。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料で読んでみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話 』

【著者】 宇田川敬介 【月額】 ¥440/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 月曜日(年末年始を除く) 発行予定

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け