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ペロシ訪台の余波。「1つの中国」という“踏み絵”を迫られる台湾芸能界

中国を激怒させ、東アジア情勢に少なからぬ影響を与えたペロシ米下院議長の台湾訪問。その余波は思わぬところにまで広がっているようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では著者で台湾出身の評論家・黄文雄さんが、中国でも活動する台湾や香港の芸能人たちが、ペロシ氏訪台後に中国人ネットユーザーから「踏み絵」を迫られている実態を紹介。この流れは今後も強くなると予測した上で、チャイナリスク回避法考案の重要性を訴えています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年8月10日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。 

【台湾】「ペロシ・ショック」で中国に踏み絵を迫られる台湾芸能界

台湾芸能人「1つの中国」微博で相次ぎ表明 ペロシ氏訪台に中国猛反発で

ペロシ米下院議長の訪台による波紋、いわゆる「ペロシ・ショック」は、様々な方面に影響を及ぼし、中国の軍事行動を正当化する口実にも利用されていますが、エンターテインメント業界にも大きく広がっています。

冒頭のニュースでは、ナナ(欧陽娜娜)、レイニー・ヤン(楊丞琳)、アンバー・クォ(郭采潔)など、台湾の芸能界で第一線で活躍する人たちが、自身のSNSで「中国はひとつだ」というハッシュタグを付けたと報道されています。

一方で、全く関係のない投稿さえも無理やりに政治的な問題にされてしまっています。以下、報道を一部引用します。

女性グループ「S.H.E」のメンバー、ヒビ・ティエン(田馥甄)のアカウントが炎上している。やり玉に挙げられたのは、2日に投稿したパスタを食べる写真で、ペロシ氏がイタリア系米国人であることから「ペロシ氏の訪台を支持している」として中国人ネットユーザーの怒りを買ったとみられる。この投稿はすでに削除された。

台湾芸能人「1つの中国」微博で相次ぎ表明 ペロシ氏訪台に中国猛反発で

政治的なことに巻き込まれたくない芸能人は沈黙を保ったり、自身のSNSを閉鎖したりしていますが、沈黙さえも中国側からネットで叩かれてしまっています。以下、報道を一部引用します。

台湾出身の女性3人組アイドルグループ「S.H.E」のメンバー・田馥甄(ヒビ・ティエン)や台湾の人気男性アイドルグループ「飛輪海」のメンバーの炎亜綸(イェン・ヤールン)は、一つの中国原則を支持する発言を行わなかったため、炎上した。

台湾アイドルが“1つの中国”拒否で炎上! いずれは日本の芸能人にも「踏み絵」

台湾の芸能人が「ひとつの中国」を支持するかどうかの踏み絵を踏まされるのは今に始まったことではありません。台湾人に限らず、中国人や中国系韓国人など、中国と少しでも関係のある芸能人は、この踏み絵を踏まなければならない状況にあります。

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かつては、中国の実力派女優ヴィッキー・チャオ(趙薇)が、何らかの政治的圧力を受けて芸能界から消えました。理由はいろいろ囁かれていますが、アリババグループの創業者ジャック・マーと親交があったことが大きかったと言われています。

中国政府に目をつけられた人物は、徹底的に叩かれ再起不能にされます。中華圏の人々はその恐ろしさを知っているからこそ、形だけでも「ひとつの中国」を支持するような行動を取るのでしょう。

香港の雨傘革命に参加した香港のポップス界のスター、デニス・ホー(何韵詩)は、中国大陸での活動を「封殺」されたため、「収入の8割を失った」とのことです。

中国に逆らえない台湾・香港の芸能人が追い込まれる「政治的な踏み絵」

彼女はその後台湾に渡り、台湾のメタルバンドでボーカルを担当すると同時に議員でもあるフィレディ・リム(林昶佐)とセッションをしたり、活動の場を台湾に移しています。

中国に媚びたい芸能人は、これ幸いに自身の政治的立場をアピールしています。中国国籍のK-POPアイドル「NCT」、「WayV」のメンバー「ウィンウィン」は、

SNSに「#一つの中国」というハッシュタグと共に中国CCTVニュース番組のキャプチャ画像をアップ。画像には大きな漢字で「中国」と書かれており、その上に「台湾」が小さく描かれています。

NCT、WayVウィンウィン「一つの中国」支持投稿….台湾情勢緊張で

台湾、香港、中国という中華圏の芸能界は、かつては盛んに交流があり、未熟な中国のエンタテインメントを台湾や香港の関係者が支えるかわりに、大規模な中国市場を共有するというような現象もありました。

しかし、政治状況が変わった今となっては、中国での芸能活動をしたい人はまず踏み絵を踏むことを強要されます。避けて通れば、避けたことを非難され、中国での活動は不可能でしょう。

こうした事態は、早晩やってくるだろうとは思っていました。ペロシ氏の訪台は、その機運を表面化させたきっかけにすぎません。これからは、芸能界関係者もさらなる慎重な行動が求められることでしょう。ただし先週も述べましたが、今回のことは中国との付き合い方を変えるいいチャンスでもあります。

タイ、香港、台湾、ミャンマー、インドの若者たちによる民主化、反中国の連帯「ミルクティー同盟」などを意識して、新たな海外市場を目指すということも、チャイナリスクを避けるために考えるべきだと思います。

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