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統一教会「名称変更」認証と、警察への「政治の圧力」時期がピタリ一致の不気味

共同通信のアンケートにより、衆参合わせて712人の国会議員中、旧統一教会と何らかの関わりがあった議員が106人に上ることが判明しました。その8割が自民党所属議員であり、改めて同党と旧統一教会の浅からぬ関係性が証明される形となったわけですが、今後この問題はどのような推移をたどることになるのでしょうか。今回のメルマガ『 uttiiジャーナル uttiiジャーナル 』では著者でジャーナリストの内田誠さんが、「広告塔問題」「名称変更問題」を改めて検証しつつ解説。さらに内閣改造及び党役員人事の人選に対する疑問と、この先内閣が「非常な危機」を迎えるとの予測を記しています。

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旧統一教会と関係ある議員100名超の衝撃:「デモくらジオ」(8月12日)から

冒頭でお話申し上げたいのは、一つは組閣のことがあるのですが、だいぶ変な感じになっていますね。自民党あるいは政権に詳しいジャーナリストの話も、結果として自民党を中心に100人くらいが旧統一教会との関わりを持っていたのではないかというふうに言われています。100人ですよ。衆参併せて700数十人ですよね。

そのうち100人に旧統一教会ないしその関連団体との関係が具体的にあったのではないかと言われている。これから、国会は衆参で一日ずつになるのですかね、閉会中審査の形でその一部がもしかしたら明らかになるかもしれませんが、ただ、とても不安に感じるのはですね、例えば肝心な質問を野党議員がしても、それに対して政府の方からは「回答を差し控える」とかね、そういう話になっていくのではないかという懸念がありますね。

ポイントはいくつもあって、本当にいくつもありますけれど、一つは議員が祝電を出したり挨拶をしたり、秘書を派遣したり、あるいはただ「名前を貸したり」して…。結局、議員というのは選挙によって選ばれた人たちですから、その人たちの賛同がある、その人たちも同じ方向を向いてくれている、ということになると、例えばその統一教会系の団体が催した何らかの大会とか催し物とか、そういうところに集まってきた人たち、そのなかには統一教会に入信したばかりの人もいるでしょうしベテランのかたもあるかもしれない、あるいはそれとは全然関係なく、統一教会の催しだとは全く知らずに来た人もいるかもしれませんね。その人たちに対して、議員さんはこんなふうに言ってくれているんですよと、まあ、ある種のお墨付きを与える。

最も甚だしいのは亡くなった安倍元総理がUPFという団体の大会のようなところにビデオメッセージを送ると。そこでその、文鮮明さんの奥さんであって、今、平和連合というのですか、UPFという団体の総裁である奥さんに対してですね、大変評価していると、特に団体が家族に高い価値を置いていることを評価するというふうなことを言った。これなどはそこにもし初めて来たような人だったら「すごいなあ」と思うでしょう。加えてトランプ前大統領のコメントもビデオか何かであった。そのような形で使われる。しかし、その団体の、これは語弊があるかもしれませんが、真の姿であるところ統一教会。まあ、関連団体の一つに過ぎないと言われるかもしれませんが、おそらくはその中心的な役割を担っている統一教会の霊感商法とか信じがたいほどの献金であるとか、そのような問題が裏側についている訳ですよね。結局、そういう広告塔の役割を果たしてしまっていたということについての問題がある。

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それからもう一つ大きいのは、名称変更を巡るちょっとよく分からない話ですね。そこにはいくつも話の筋があるのだと思いますけれど。当時、文科省の幹部であった前川喜平さんが、自分がノーと言っているものがイエスという結論になったのだとすれば、それは政治の力なくしては考えられないということを仰っている。政治の力で統一教会が望む方向の承認がなされた、名称変更ということについての承認がなされた。それはかなり後になってからになりますが、そもそもその話が最初に出てきたのは97年だそうですね。そのときに相談があってそれに対して「申請をしないでくれ」というふうに…。実態が変わらないのに名前を変えるのはまずいですよということだったんでしょうね。

これって、ピンとくる話がありませんか。

ちょっと前に、テレビ朝日のモーニングショーに有田芳生さんが出演されたときに出た話。ここでも確かご紹介したと思いますけれど。95年にサリン事件があり、オウム真理教が摘発をされるわけですけれど、その少しあとの97年にこの話があるじゃないですか。で、95年のオウム事件の後で有田さんが警察幹部に呼ばれて講演をやった、そのときに「次は統一教会を摘発する」と警察が言っていたけれども、結局、その後摘発は行われなかった。その理由を聞いたら、「政治の圧力」が掛かったので、つまり政治家から摘発、取り締まりを辞めるように圧力が掛かり、警察がやろうとしていたことが出来なかったと。そういう話でしたよね。これ、霊感商法の問題がクローズアップされてきたときに、統一教会が97年に名称を変更しようとした。この動機は単純に、統一教会内部から出たものなのか、あるいは誰かのアドバイスがあったのか分かりませんが、それがずーっと「ノー」と言われてきた。で、安倍政権下でそれが認められた、そのときの文科大臣が下村博文さん、そういう話ですね。

これは何かあるでしょ。

どうして名称変更が認証されたのかについての資料を出させたら、黒塗りだったということですけれど。その部分が分かってくれば具体的にどういうことだったのかハッキリしてくるでしょうし、それがそこに関わった官僚に変なプレッシャーにならなければ良いがと思いますけれど。政治家か官僚の上の方の方、当時の前川喜平さんよりもさらに上の方、こういうところにこれまで拒否していた名称変更に対する事務手続き、それを進めたことについて何らかの理由が見いだされれば、それには非常に大きな政治的な意味を持つのではないでしょうか。

そういうことがあって、これはあの、80%以上の国民が、世論調査の結果ですけれど、80%以上の人たちが解明は十分ではないと考えているようですよね。どうやら。となると、これは発足したばかりの新しい岸田政権。相当なピンチじゃないでしょうか。こういう人を大臣にしたんだねという派手さは今度の内閣にはなくて、野党の批判の仕方が良いかどうか分かりませんけれど、少なくとも統一教会の問題で、統一教会に関わらない人だけで内閣を作るわけにはいかなかった。

ただ、岸田さんは統一教会と少しでも絡んだ人を排除するということではなく、自分の力でどういう関係があったかを明らかにし、それを公開し、公表し、これ以降は関係を絶つということが確約できた人だけで内閣を作ると。一回祝電出したらダメですよ、ではなくて、こういう祝電を出していました、こんな会費を払っていました、こういう選挙応援をしてもらいました、秘書がそういう人でした、そんな話ですよね。全部明らかにした上で、ということですよね。

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でもそれって、全く不十分ですよね。

現に、経済再生担当大臣のところでは、留任になった山極大臣は統一教会との関係をハッキリさせず、留任が決まってからこれこれこういう関係がありましたということを、いわば「後出し」で出してきたと。これ、まさに、話が済んでいないのに大臣にしてしまったわけですよね。ですから岸田さんの言っている原則も実は守られていなかったということですよ。どういうことか…。岸田さんは統一教会およびその関連団体との関係を調査し、公表し、二度とそのような関係を結ばないという約束をした人だけで内閣を作ると言ったのだから。山極さんに関しては調査中のまま留任させてしまった。現に、関係はあったわけですよね。これはやっぱり岸田さんがそこをどう考えるかは是非野党の皆さんに追及してほしいところです。

まあ、しかし、一日二日でハッキリするような話ではなさそうですね。政治家との関係もそうですが、これが万が一官僚組織とも関係があったというようなことになってくると、大騒ぎになりますね。そうなったときに国会での追及が、しかもなされないというようなことになると、そのことに対する国民・有権者の不満というものは澱(おり)のように溜まっていってですね、これから3年間(国政)選挙がないと言われていますが、その間に何らかの政治的な危機が招来する可能性だってあるわけですし、さらにいえば新しい資本主義とも、それこそ聞こえの良いことはおっしゃっていましたけれど、それがどうも実現しないということになってきて、物価高が続き…。そのときに内閣は非常な危機を迎えるのではないでしょうか。そんな気がしております。どちらにしても、この統一教会の問題を払拭するということが非常に大きな課題だった今回の組閣および自民党役員人事、これに岸田さんは今のところ成功していない。これはまずいですよね。

言ってしまえば、広告塔の話と名称変更の話、その先にもう一つありますよね。もうSNS上ではその話で持ちきりになっているようですが、「こども家庭庁」の名称の由来。「こども庁」のはずがなぜか「家庭」が入った。そこに自民党の保守派、宗教右派とはいいませんが自民党の保守派、あるいは自民党の外にいる保守派のところから力が加わってそのような名前になったのではないかと。このことはもっと前から言われていたことですけれど、そこにこの統一教会と関連団体の意向がもしかしたら反映された面はあったのか、なかったのか。そういうところについての調査、追及があり得ますね。

それだけではないですよ。国際勝共連合というイデオロギー団体のことから言えば、憲法改正を求め、ジェンダーの問題、選択的夫婦別姓制や同性婚に対する反対を、国際勝共連合などはしているようですけれども、自民党のそうした主張と軌を一にしていることについて何かあるのかないのか、それも知りたくなってきますね。なぜなら、旧統一教会とその関連団体の人たちが自民党の選挙応援をし、自民党の数々の議員から行事の際に祝電をもらい、メッセージをいただき、選挙の時には直接に票を回してもらったという人もいましたね。安倍さんにお願いしたという話。それが今回はもらえないので立候補を断念した人がいましたね。そこまで深く関わっている団体と自民党与党の政策との奇妙な一致があるのかもしれない。そのようなところを考えたくなりますね。

(『 uttiiジャーナル uttiiジャーナル 』2022年8月14日号より一部抜粋。全てお読みになりたい方は ご登録 ご登録 ください)

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image by: 首相官邸

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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