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なぜ、韓国民主党は李在明のためだけに「党憲法を改正」するのか?

韓国民主党において党憲法が改正されることになりました。この変更は現在、多くの問題で起訴されそうになっている元大統領立候補者の李在明氏を守るためのものとのことですが、いったい今後、韓国はどうなってしまうのでしょうか。韓国在住歴30年を超える日本人著者が発行するメルマガ『 キムチパワー 』の中で詳しく紹介しています。

民主党、党憲を防弾用に変更

韓国民主党が8月16日、党憲法改正で党代表職務停止基準を「起訴」から「1審裁判禁錮以上有罪判決」に変更した。これは有力な党代表候補である李在明(イ・ジェミョン)議員のための「防弾用」という評価だ。

現在、李議員は大庄洞(デジャンドン)特恵および不正など10個余りの疑惑で検察と警察の捜査を受けており、このうち一部の疑惑は、李議員起訴が避けられないという展望が法曹界から出ている。

もしこのようになれば李在明が捜査と関連して検察と警察に召還されたり裁判のために法廷に出席しなければならない「司法リスク」を民主党が抱え込むことになる。

「わたしは起訴されてしまう身です」と大向こう相手に堂々と宣言しているみたいな出来事なので、こんな露骨なことを平気でやれる李在明が羨ましいくらいだ。これも彼の実力の範囲だから。

李在明と関連した検察捜査は「大庄洞事件」と「弁護士費用の代納疑惑」など大きく二つに分けられる。昨年9月に始まった大庄洞事件の捜査は、現政権に入って捜査チームが全員入れ替えられ、検察が事実上全面的な再捜査を行っている。

李在明は城南市長時代、最終決裁権者として大庄洞開発事業で民間開発業者である火天大有(ファチョンデユ)側に少なくとも1,827億ウォンの特恵を得させたという疑惑を受けている。

城南都市開発公社は2015年5月、大庄洞事業で「超過利益還収条項」が脱落した事業協約書を作成したが、李在明がこの過程に関与し結果的に城南市に損害を与えたというもの。

ソウル中央地検は最近、城南都市開発公社の前・現職関係者などを召還して調査し、李在明の疑惑を具体的に確認している。また、2018年李在明の公職選挙法違反事件を引き受けた弁護人たちがサンバンウルグループから転換社債などで巨額の受任料を代納したという弁護士費代納疑惑も検察が捜査中だ。水原(スウォン)地検はサンバンウルグループの横領・背任疑惑と弁護士費代納疑惑の関連性に注目し、最高検察庁から検事を派遣され捜査チームを拡大している。

警察も、柏ヒョン洞(ペクヒョンドン)特恵疑惑、城南FC不法後援金疑惑、京畿住宅都市公社(GH)合宿所疑惑、李議員の妻=金ヘギョン氏の法人カード流用疑惑などを捜査している。

京畿南部警察庁は「法人カード疑惑」と関連して9日被疑者身分であるキム氏に出席要求書を送った。警察は、李議員の法人カード流用関連性も調べているという。柏ヒョン洞事件と関連しては、2006年に李議員の城南市長選挙の選挙対策本部長を務めた金インソプ氏が、柏ヒョン洞事業敷地を「自然緑地」から「準住居地用途変更」に4段階引き上げるのに影響力を行使した後、計70億ウォンを受け取ったという疑惑が提起されている。検事出身の弁護士は「李議員が用途変更に関与したのかも捜査対象」と話した。

法曹界では李在明関連疑惑の中で大庄洞特恵・不正、法人カード流用など一部は検察が起訴する可能性が高いという展望が出てきている。部長判事出身のある弁護士は「大庄洞特恵・不正などは起訴されるならば禁錮以上の刑が宣告されるほかはない重大な事案」と話した。

このため、李在明側が捜査過程で出席に応じなかったり、起訴された後は裁判を遅らせる可能性があるという指摘も出ている。2024年の国会議員総選挙で公認権を行使するためには、1審裁判の判決宣告をできるだけ遅らせる必要性があるということだ。

検察出身のある弁護士は「検察が提示したすべての証拠に対して被告人が『証拠採択に同意できない』とすれば、裁判所が証人を一人ずつ法廷に呼び順に陳述を聞かなければならない」とし「文在寅政府青瓦台の蔚山市長選挙介入裁判もこのような方式で裁判が遅延し、2年6か月を超えても1審判決さえ下されていない状況」と話した。

李在明が今年6月の国会議員当選で「不逮捕特権」を得た(国会議員になると不逮捕の特権が生じる)のに続き、今回党代表になれば「防弾装置」が完成するという分析も出ている。

ある法曹人は「政府が李議員に対する逮捕同意案を国会に提出しても、これまで明らかにされなかった明白な容疑が新たに出ない以上、民主党が過半数議席(169議席)を持つ国会構造上、李在明に対する逮捕同意案が可決される可能性はほとんどないと見るべきだ」と述べた。

検察が野党第1党代表を呼んで調べるというのは、かなりの政治的負担を覚悟せざるを得ないという話も出ている。大統領が尹錫悦で法務部長官が韓東勳(ハン・ドンフン)というこの絶好の時期に李在明の罪状があからさまにできないとすると、たぶん永遠に無理だ。検察・警察には全力を挙げてがんばってほしいところだ。

(無料メルマガ『キムチパワー』2022年8月19日号)

image by: Shutterstock.com

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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