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英で中国人外交官がデモ参加者を殴打。浮き彫りになった中国の本質

10月16日にイギリスの中国領事館関係者により引き起こされた、にわかに信じがたい事件。もはや彼らの傍若無人ぶりに歯止めをかけるのは困難なようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、この事件を取り上げ他国の主権を踏みにじる中国を強く批判。その上で、「自分だけは何をやっても許されるという身勝手な姿勢こそが中華思想」としてその危険性を訴えるとともに、日本人に対しても警戒を呼びかけています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年10月19日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。 

【中国】他国の主権を平気で踏みにじる中国のメンタリティ

イギリスの中国領事館でデモ、参加者が殴られる 敷地内に引きずり込まれ

10月16日、イギリス・マンチェスターの中国領事館前で、香港の民主化を求めるデモが行われている最中、領事館から出てきた男たちにデモ参加者が領事館敷地内に引きずりこまれ、殴打されるという事件が発生しました。

記事によれば、領事館から少なくとも8人の男性が出てきて、デモ参加者が掲げていた習近平のポスターを破壊、それを制止しようとしたデモ参加者の男性を領事館の敷地に無理やり連れていき、殴打したとのこと。これらの男たちの何人かは、ヘルメットと防弾チョッキを着用していました。殴打された男性は、イギリス警察や他の抗議者の助けによって、敷地外に出ることができたそうです。

他国で領事館関係者が公然と暴力行為を行ったことに、イギリスでは大きな批判が起こっています。与党・保守党のイアン・ダンカン・スミス元党首は、イギリス政府に対して、中国の大使に全面的謝罪を要求し、関与した人物を中国へ相関すべきだとツイッターで述べました。

また、イギリス議会外交委員会のアリシア・カーンズ委員長も、殴打が事実であれば、中国の外交官は起訴され、国外追放されると批判。「対中政策に関する列国議会連盟」(IPAC)の創設者でもある保守党のルーク・デ・プルフォード議長は、「この事件はイギリスの親共産主義者がいかに傍若無人かを示しており、イギリス政府は法律に則って、このならず者集団のリーダーを罰するべきだ」と激しく非難しました。

在英港人諷習近平 遭拖入中國領事館毆打

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一方、中国外交部の王文斌報道官は、中国大使館の職員は国際外交協定に従って行動していると述べ、また、マンチェスターの中国総領事館は、デモ参加者は「香港独立派」の小集団であり、集会は「無許可」であり、国家元首を侮辱する写真を掲げていたと主張し、謝罪するどころか、居直る始末です。

たとえいくら習近平を侮辱する写真であったとしても、他国で違法な暴力行為を行うことは許されません。

だいたい、これまで中国や韓国の反日デモでは、日本国首相の写真を侮辱的に扱い、さらには日本の国旗を焼くといった行動が繰り返されてきました。

中国で反日デモ 写真特集

今回の中国の言い分が通るなら、こうした行為に対して、日本の外交官が中国人を殴打してもいいことになります。もちろん、そんなことをされれば、中国政府も黙ってはいないでしょうし、節度と良識のある日本の外交官がそうした暴挙に出るはずもありません。

このような自分だけは何をやっても許されるという身勝手な姿勢こそが中華思想なのです。コロナ流行以前、世界各地で中国人観光客の傍若無人ぶりが話題になったことがありましたが、この事件からは、一般民間人のみならず、国を代表する外交官にまで、中華思想が浸透していることがわかります。

この事件の余波はアメリカにも及んでいます。アメリカ上院外交委員会の筆頭理事であるジム・リッシュ上院議員は、この事件を「恥ずべきこと」とし、外国政府による他国での暴力行使という脅威だと述べています。また、共和党のマーシャ・ブラックバーン上院議員は、アメリカは中国共産党の人道に反する犯罪に抗議する人々とともに立ち上がるべきだと主張、さらにアメリカ国家アジア研究局の上級研究員であるナデージュ・ロラン氏は、もしもこの件で中国領事館側が何の罰も受けなければ、同様の行為が再び起こるだろうと懸念を示しています。

中國駐英領事館打人惹怒英美!英召見中官員 美議員轟「可恥」

これは、日本にとっても他人事ではありません。日本の中国大使館や領事館で、同様の暴力行為が行われる可能性があるからです。

2002年には、中国・瀋陽の日本総領事館に駆け込んできた北朝鮮脱北者に対し、中国の公安局が総領事館の敷地内に入って引きずり出すという事件がありました。言うまでもなく、大使館や総領事館の敷地は設置国の国内という位置づけですから、中国公安局は日本敷地内に無断で入って乱暴狼藉を働いたことになり、大きな国際問題に発展しました。

在瀋陽総領事館事件

今回のイギリスでの事件は、他国の領土内で、中国当局者が当該国の法律を無視して乱暴を働いたという点で、国家主権を揺るがす大問題であるのです。

しかも、中国は国防動員法や国家情報法を制定しており、在外外国人を動員することが可能になっています。国防動員法は、中国政府が有事だと認定した際に、海外にいる中国人に対して軍事動員できるというもので、いわば、在外中国人に他国への攻撃行為を命じるものです。また、国家情報法は有事・平時を問わず、中国政府への情報工作活動を義務付けるものです。

日本人は中国人を動員する2法の怖さを知らない

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加えて、香港国家安全維持法では、海外で香港の民主活動を支持する外国人に対して、中国政府が処罰対象と認定することができるとされています。これらの法律は、他国の国家主権を侵害する、非常に危険なものです。

香港の外でも外国人でも処罰 「国安法」に不安広がる

つまり、これらの法律からも、中国は他国の国家主権を軽んじているということがわかります。だからこそ、今回のイギリスのような事件が起こるわけです。

これまで私は「中国は強盗国家でならず者国家だ」と主張してきました。そういうとよく「ヘイトだ」などと批判されることも少なくありませんでした。しかし現在では、各国の政治家までもが中国を「ならず者国家」と批判するようになっています。

これまで親中路線だったドイツでも、中国との関係見直しが行われており、ドイツの諜報部長は、中国が重要なインフラへの出資を政治的利益のために利用する可能性がある述べ、連邦憲法保護局のトーマス・ハルデンワング局長も、重要なインフラへの出資は中国に門戸を開き、ドイツの世論を揺るがしかねないと警告しています。ドイツのアナレナ・バーボック外相は、ドイツは近年ロシアとの関係で犯した過ちを中国との関係で繰り返さないようにしなければならないと強調しています。

欧米は中国が豊かになれば、民主化が進むと考え、WTOをはじめ、国際社会への参入を認めてきましたが、現在ではそれが間違いだったと認識するようになりました。ようやく中国の本質がわかってきたのだと思います。

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