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モナカの中にタケノコが?ふるさと納税にもおすすめ、京都のこだわり名物和菓子「誕生秘話」

ふるさと納税の返礼品に選定されるほどの人気を博している、京都の「竹の子最中」をご存知でしょうか。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では、そんな名物和菓子を生んだエピソードと、そのこだわりについて紹介しています。(この記事は音声でもお聞きいただけます。

竹の子入り最中?地元愛が生んだ、名物和菓子!

京都府長岡京市。菓子処「喜久春」。

このお店に、ふるさと納税の返礼品にも選定されている「竹の子最中」があります。

名前から察すると、竹の子のカタチをした皮に餡子が入っているのだろうかと考えますが、その予想は半分正解で、半分不正解です。

竹の子のカタチをした皮に餡子が入っているのですが、さらに「竹の子の甘露煮」が入っているのです。

竹の子ご飯や木の芽和えに使われる、本物の竹の子です。

和菓子に竹の子?と驚いてしまいますが、40年近く前に誕生し、いまも売れ続けているのです。

発想は斬新ですが、なぜ、和菓子に竹の子を入れたのでしょうか。

創業者の西山喜久治さんは、自身が生まれ育った長岡京市には、名物と言われるものがなく、そのことを憂いていました。

そこで、名物がないのなら、自分で作ってやろう。お土産として認めてもらえるようなものを作ろうと考えたのです。

目をつけたのは、長岡京市で300年以上前から盛んに栽培されていた竹の子。

えぐみがなく、肉厚でやわらか。日本一と称されるほどの名産地なのです。

この竹の子を最中に入れることを思いついたのです。

しかし、すぐには完成せず、試作から完成まで、3年の月日が掛かりました。

まず、竹の子を和菓子の素材として使うには、どうすれば良いのか。

試行錯誤を繰り返した結果、氷砂糖で作った蜜に3日間漬け込むこととなりました。

ここまで手間を掛けて、最中に合う竹の子に仕上げたのです。

さらに、餡子と皮にも並々ならぬこだわりが。

餡子の小豆は、最高級品である「丹羽大納言」を使っているのですが、砂糖の量で、また試行錯誤。

お土産として日持ちをさせるには、砂糖を多くしなければなりません。

しかし、砂糖が多いと、小豆の素材としての良さが失なわれてしまいます。

砂糖を少なくすると、水分が出て、皮も湿り、日持ちしなくなります。

もっとも適した割合を探り出し、賞味期限1週間という、現在の商品に辿り着きました。

皮もパリパリ感を損なわないようなものを探し、石川県産の「新大正もち米」という、最中用の高級もち米を使うことに。

こうした苦労の末に、長岡京市の名物と言われる「竹の子最中」が誕生したのです。

この商品は、全国菓子大博覧会で「総裁賞」を受賞し、生みの親である西山さんは、産業発展に貢献した人を表彰する、「京都府 現代の名工」にも選ばれています。

和菓子職人として、伝統技術へのこだわりを持ちながらも、固定観念を捨てた斬新なアイデアで、新しい名物を作り出しました。

伝統を守るだけでは、進歩はありません。

新しい発想を取り込んでこそ、お客さまに飽きられない商品・味が生まれるのです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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