店舗運営で売り上げに直結してくるのが「接客力」です。当然、これを向上させていきたいと思う経営者が多いはずです。 では、そのために何をすべきでしょうか。今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』の著者で経営コンサルタントの梅本泰則さんは、一つの方法としてロールプレイングを挙げ、詳しく解説しています。
ロールプレイングで接客力向上
1.接客力を上げる方法
接客力を向上させたいと思っているお店は多いです。あなたのお店は、接客力が高い方ですが、まだまだ十分ではないということでしたね。
どうしたら、今より接客力が上がるでしょうか。先輩スタッフの接客法に学ぶという方法もあります。従業員を接客セミナーに参加させて訓練する、という手もあります。
とはいえ、見よう見まねや座学だけでは、なかなか成果につながりません。
そこで、一つ良い方法をご紹介します。ロールプレイングという方法です。これは、高い金を払って行う研修ではありません。あなたのお店の中でもできます。
ロールプレイングは、何人かが役割(ロール)を分け、演じる(プレイング)というものです。
接客でいえば、2人が販売員とお客様に分かれて、それぞれの役を演じます。演じる時間は、10分程度で構いません。たったそれだけのことで、効果的な接客訓練になります。たとえば、こんな効果が表れるようです。
・接客の実践力が身につく
・座学で学んだ接客方法を確かめられる
・お客様のニーズが発見できる
・参加者の気づきが共有できる
・それぞれの参加者が成長できる
・個々の課題が発見できる
それならば、ぜひ、やってみたいですね。では、そのやり方を説明します。
2.ロールプレイングのやり方
ロールプレイングは、店内で行っても良いですが、出来ればセミナールームのような場所が良いです。参加人数は、20人くらいまでにします。場所が用意できたら、いよいよロールプレイングの始まりです。
いえ、その前に、まだやることがあります。それは、参加者に接客の基本を確認しておくことです。この確認作業は、上司の方が行います。例えば、次のようなことです。
・接客基本用語
・お客様へ声をかけるタイミング
・お客様への商品の勧め方
・お客様に満足していただく方法
・お客様との関係の作り方
・クレームの対処法
この確認作業は、必ず行いましょう。基本を頭に入れておいたうえで行うと、より実践力が身につきます。
このロールプレイングは、2人1組で行っても良いですが、3人1組にした方が、効果が高いです。そこで、3人1組で話を進めます。
仮に15人の参加者ならば、グループは5つです。どのグループに入るかは、くじ引きで決めます。3人のそれぞれの役目は、販売員、お客様、オブザーバーです。これもくじ引きで決めます。
実は、オブザーバー役を設定するのがミソです。プレイをするのは2人ですが、オブザーバーを入れることで、客観的な眼が入ります。
オブザーバーは、2人の接客のやり取りを見て、気がついたことを後から指摘しなければなりません。つまり、ロールプレイングが終わったら、オブザーバーは、接客役の良かったことや、不足していることをフィードバックします。
これが、3人1組で行うことの意味です。
3.設定とフィードバック
3人の役割が分かりました。しかし、まだやっておくことがあります。それは、場面設定や目的を決めることです。
場面設定では、どんなお客様かを決めます。例えば、初めてのお客様か、常連のお客様かといったことです。年齢や性別も決めておきます。演ずるうえで、お客様のタイプも設定しておくと良いでしょう。例えば、不愛想な人とか、値段にうるさい人とか、やけに商品知識のある人とか、いろんな設定ができます。
お客様の目的も設定しておきましょう。例えば、子供用の野球用品を探しに来たとか、新しいランニングシューズを買いに来た、というように。
さて、設定が出来たら、いよいよロールプレイングの始まりです。実施時間は10分とします。10分間で、お客様に買ってもらうところまで行くことを、意識しなければなりません。その間、オブザーバーは、気がついた点をメモします。
販売実演が終わったら、3人で意見交換です。最初に、「良かった点」をあげます。例えば、
・笑顔での接客が好感を持てた
・商品説明が分かりやすく、お客様が買う気になった
というように。続いて、「さらに、こうすると良い点」をあげます。例えば、
・お客様に値切られたときの対応を用意しておく
・もう少しお客様の話に耳を傾けられると良い
といったように。これで、ロールプレイングの1回目が終了です。
2回目は、3人の役割を交代して行います。10分が経ったら、同じように意見交換です。そして、3回目に移ります。3回目が終了したら、今回のロールプレイングは完了です。
いかがでしょう。このロールプレイングは、結構盛り上がります。何組かが集まって行うと、多くの声が部屋中を飛び交うからです。グループダイナミクス(集団力学)のようなものが生まれてきて、高揚感があります。
あなたのお店でも、このようなロールプレイングを実践されてはいかがでしょう。
■今日のツボ■
・ロールプレイングは、接客力を高めるのに役立つ
・「お客様」「販売員」「オブザーバー」の3人一組で行うと良い
・3人が役割を交代しながら、お互いの気づきを意見交換する
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