何かと苦労の多い管理職という仕事。特に、「組織(部下)が動いてくれない」といった悩みはつきものです。無料メルマガ『サラリーマンで年収1000万円を目指せ。』の著者・佐藤しょうおんさんは、今回の記事で、上司として部下に指示を出す前に考えてほしいことについて語っています。
組織は簡単には動かない
管理職になると、チームや組織を動かすという役割が与えられるわけですが、大抵の人はここで大きく挫折するんですよね。つまり、
■ 上司が指示を出せば、組織はすぐに動くだろう
って考えてしまうということで、そして実際にはあなたが想像したようには動いてくれないということです。ここでウッキー!となるわけですが、組織なんてモノはあなたの思い通りに動かないのが当然なんですよ。
組織の動き方、働き方、ビヘイビアって、その環境に適応しているモノで、つまりそれはそれで最適化されているんですよ。人間はバカじゃありませんから、自分にとって損になるような動きはしないんです。
例えば、そこの社員がみなさんダラダラと時間を掛けて仕事をする、そんな会社だと、そこでシャキシャキと仕事を終わらせるのは得策じゃないってことですよ。自分だけサクサクと仕事を終わらせたら、間違いなく次の仕事を振られて、しかもその仕事をやっても加点評価されないということになったりします。他の社員は、それが分かっているから、極力ゆっくり、文句を言われない程度にダラダラと仕事をする(それがこの環境では最適なビヘイビアとなる)のです。
その時に、
■ もっとサクサクと手早く仕事を終わらせるように
と指示したって彼らの動きが速くなるわけがないんです。だって速くやりたくない理由がまだ残っているんですから。それはつまり、
● 速く仕事をやった人にプラスとなる要素を追加してあげる
ということですよ。仕事を早く終わらせたら良いことかあると分かれば、彼らは自動的に速く手を動かしますよ。それがその環境に於ける最適化ということなんですから。
ですから、上司として指示を出す、組織を動かすということをやる前に、
● なぜ現状のようなやり方をみなさんはやっているのか?
なぜこれが彼らにとって最適なビヘイビアなのか?を考えて、その環境を変えるような施策を打つ必要があるんです。
管理職としてあなたが望むような動きをしたらトクをするよ、という環境を作ってあげたら、彼らは自動的にその環境に最適となる動きをするんです。
そのあたり、人間って非常に敏感ですし、やり方を変えた方がトクをすると分かったら、あっという間に変えますから。クチを酸っぱくして何度も言う必要なんてありません。
仕事のやり方、手順、マインドは、それが形成されるに足る理由があるんです。そしてそれは多くの場合、上司に理由があるんです。部下は適応しているだけなんです。それに気付かず、ガミガミ怒ったら反発を食らうだけなんですよ。
しかもそれが企業文化と呼べるくらいまでに定着してしまうと(それはつまりかなり長期間に亘って環境が変わっていないということです)、社長が代わったくらいじゃ直らないですから。組織が年功序列で、縦のライン(係長→課長→部長という縦の役職のこと)が同じ価値観、ビヘイビアで行動するようになると、これはほとんど治癒が不可能になります。
こういうの、日系企業に多いですから、転職の際にはご注意下さい。たとえあなたが部長とか、執行役員みたいな役職で入社しても、直らないと思います。ハッキリ言って労多くして功少なしになる可能性が高いので、そういう環境に近づかない方が良いと思います。特に外資系企業で働いていた人は、このマインドギャップは耐えきれないはずですからね。
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