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Hand holding Credit card on Japanese food in restaurant. Use credit card to pay for food. Shopping concept.

「延滞など“事故歴”あったらNG」はもう古い。次世代クレジットカードの審査はここまで進化している

かつては、延滞や債務整理の過去があると審査に落ちるのが当たり前だったクレジットカードですが、今はそんな審査基準も少しづつ変化してきているようです。メルマガ『倒産危機は自力で乗り越えられる!』 by 吉田猫次郎』の著者で事業再生コンサルタント、作家、CTP認定事業再生士の顔を持つ吉田猫次郎さんは、そんな次世代型クレジットカードの新たな審査方法や、今まで諸事情により新規のクレカを作ることができなかった人にも希望の光が見えるような、新しいサービスを紹介しています。

一昔前では考えられない審査基準。次世代クレジットカードは何が違う?

AIと消費者信用(個人向けのクレジットや貸金業など)は、とても相性が良いように思います(逆に、機械に頼らずに人間の感情で与信判断してしまうと、違法金利や過剰貸付の原因になりやすいし、後で遺恨をのこすことにもなりなねないし…)。

私自身、過去に多重債務に陥った経験があるわけですが、当時の心境を思い出しても、無理して親切に貸してくれる相手ほど債務額が膨れ上がって迷惑をかけてしまいがちで、機械的に貸してくれたところのほうが傷が浅かったように思います

さて本題です。

近年は機械による審査がどんどん進んでいることはご承知のとおりかと思います。クレジットカードの申込方法はスマホが主流になりました。必要事項を入力し、本人確認書類をスマホの写真で送ると、早ければ1時間弱で審査結果が出ます。この短い時間のうちに、カード会社が信用情報機関(CICとJICC)に照会をかけて、事故歴や過剰借入などの履歴がないかどうかを調べ、あとは社内審査で、職業や年収、居住歴、勤続年数などをもとに、カード発行の可否や限度額を決めていきます。

ただ、いくら審査のシステムが効率化されても、「減点法」のような審査基準は、10年前、20年前とほとんど変わりませんでした。CICに照会して、過去の債務整理歴や長期延滞歴(いわゆる事故歴・異動情報)が判明すれば、基本的に審査はNGでした(例外的に、AMEXのように、債務整理歴のあるような人であっても高収入などプラス要因があれば総合判断でカード発行してくれる会社もありましたが、あそこは多分にアメリカ的なので…)。

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クレカの審査基準に大きな変化。時代は減点法から加点法へ

ところで、皆さんは「クレジットヒストリー」という言葉をご存知でしょうか?直訳的にいえば、「信用の積み上げ」「加点法」のようなものです。

たとえば、クレジットカードやローンを一度も使用したことのない人は、クレジットヒストリーが何もありません。スコアをつけるとしたら「0」でしょう。たまに公務員や上場会社の方がカード審査や住宅ローン審査に落ちるのは、これが原因であることが多いです。クレジットヒストリー無し。スコア0。こういう状態の方のことを、ネットスラングで「スーパーホワイト」よも呼びます。

スーパーホワイトな人がなぜ落とされやすいかというと、履歴がなく、情報が少ないからです。「実在する人物なのだろうか?」「偽名を使っているのでは?」などと疑われることもありえますから。

我が国のカード与信においては、最初の貸すか貸さないかの審査は「減点法」によるところが大きく(債務整理歴があるとダメとか)、一度カードを発行された後の増枠審査では「クレジットヒストリー」による加点が次第に大きくなる…と、そんな様子でした。昔から。

2018年には、「J SCORE」というAIスコアレンディングによる貸金業者が誕生しました。みずほ銀行とソフトバンクの共同出資です。スマホやパソコンで、職業、年収、家族構成、住居属性、果ては好きな食べ物、学歴、趣味などを片っ端から入力すると、「あなたのスコアは1,000点中800点です」といったようにスコアが表示され、そのスコアに応じて貸出限度額が0~何百万円と変動していく、そんな面白いシステムでした。

しかしこのJ SCOREも、「減点法」が根底にあるとは感じました。貸すか貸さないかの初期判断はやはりCICやJICCの信用情報そこに事故歴があれば貸さないという点では従来と変わりませんでした。

しかし、時代はどんどん変化していきます。2021年頃からは、CICの信用情報は参考程度にとどめ、それよりも加点法で貸すか貸さないかを柔軟に判断するところが次第に増えてきました。

例えばメルカリのメルカード、投資とクレジットの融合のようなpoolクレカ、リクルートのairペイなど。これらは過去の金融履歴云々よりも、自社のサービス(メルカリならメルカリの利用頻度や評価数)が融資の可否を決めるポイントで、中には債務整理歴があるのに審査に通ったという声も少なくありませんでした。時代は少しずつ、減点法よりも加点法に移っているのかもしれません。

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限度額は10万円まで。審査基準が面白い「次世代クレカ」とは?

そしてもう1社、面白い会社があります。2021年9月からサービス開始した次世代クレカ「Nudge」(ナッジ)です。ナッジの面白いのは、限度額が10万円までであり、その分、申込情報がかなり簡略化されており、AI審査も相まって、審査基準が大きく異なる点にあると思います。

もう少し詳しく解説すると、ナッジは、

しかし、このNudgeも開発途上な面もあるようで、たとえば、一度審査に落ちた人は、他のカード会社なら少し間を開けて敗者復活ができますが、ナッジの場合、二度と再申し込みできないようになっています。今後の改善に期待したいところですね。

長くなりましたが、このように、クレジットカードもどんどん変わってきています。一昔前みたいに「一度失敗したら最低5年間はカードが作れない」という事はなくなりつつあります。敗者復活して、また新たに信用を積み上げることができるようになってきているのです。

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image by: Shutterstock.com

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事業再生コンサルタント。認定事業再生士(CTP)。特に倒産寸前の中小企業、零細企業、自営業の自力再生(のサポート)を最も得意としています。著書『震災後に倒産しない法』(サンマーク出版)、『借金なんかで死ぬな!』(朝日新聞出版)、『連帯保証人 なってみたらすごかった でもまだ手はある』(ワニブックスPLUS新書)、『ブラックリストなんて怖くない』(宝島社)、『働けません。』(三五館)ほか多数。1968年東京生。乙女座A型。趣味は自転車、魚釣り等。無類のネコ好き。

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【著者】 吉田猫次郎 【月額】 ¥528/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 10日・20日・30日 発行予定

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