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Moscow, Russia, February 2023, Russia president Vladimir putin in meeting

24時間の緊迫。プーチンを追い詰めた「プリゴジンの乱」一部始終

公然とロシア軍幹部への批判発言を繰り返していた、民間軍事会社ワグナーの創始者プリゴジン氏。6月23日、ついに武装蜂起を宣言するもわずか1日で兵を退く結果となりました。ロシア国内で今、何が起きているのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、ウクライナ戦争の最新の戦況と、プリゴジン氏によるクーデターの一部始終を紹介。その上で、プーチン政権の「寿命」とこの戦争の行方を予測しています。

ウクライナ軍が苦戦、ロシアはクーデターの季節。戦争はもうすぐ終わるのか?

ウ軍は、本格的な攻勢のフェーズに入ったが、バフムト、ドネツク州西部、ザポリージャ州で前進できず、前哨ロ軍陣地を抜けていない。このままであると、ロ軍防衛線にも達しないで停滞すると、占領地のロシア化が進む可能性もある。

これを防ぐには、ある程度の速度での反撃が必要であるが、現状は前進できないである。この現状をどう見るかだ。

クピャンスク・クレミンナ方面

ロ軍は、ザポリージャ州での停滞で、余裕が出てきて、クレミンナやクピャンスクで、攻勢をかけ始めた。ウ軍の攻撃が弱いことで、ロ軍の攻撃戦力が捻出できたような形である。

クピャンスク方面では、シンキフカやビルシャナ付近で、ロ軍が攻撃で、ウ軍は防戦しているが、押されている。ロ軍の大部隊が攻撃しいているようである。ウ軍の増援をこちらに向かわせようとしている。

クレミンナ方面では、ディブロバ近郊にロ軍が攻撃して、ウ軍陣地の一部を奪っている。ここでも砲撃と空爆が開戦以来初めての規模であり、すごいとウ軍中隊長が述べている。その他にセレブリャンスクの森にもロ軍は攻撃しているが、こちらは撃退された。

この攻撃では、囚人兵主体のストームZ突撃隊を使ったが、壊滅的な損害を出している。バフムトではストームZ突撃隊を解散したが、クレミンア方面では使っているようだ。しかし、壊滅した可能性もある。

この方面でのロ軍の大規模攻勢をウ軍が止めることができるか、どうかも焦点の1つになったようである。ここのロ軍はロシア領土から近く補給に問題がなく、攻撃しやすいことがある。

ロ軍の物量に、ウ軍の質が勝てるかどうかでしょうね。

バフムト方面

ウ軍はバフムト北西郊外で、M03号線をヘルソン州からの最強ロ軍増援部隊でウ軍から取り戻しているが、この最強ロ軍空挺部隊は、国内治安維持に回されたようであり、ロ軍はバフムトで攻撃しなくなった。ウ軍は、M03号線近くまで攻撃し奪還した。

ウ軍は、トボボバシュリフカ、ベルキウカやヤヒドネ、市内南で攻撃している。ウ軍への抵抗が大きく和らいだようである。ロシア国内でクーデターが起き、バフムトの最強部隊がいなくなったことによる。

バフムト南西のウ軍独立第24突撃大隊と第3突撃旅団はクリシチウカ方向に攻撃しているが、まだクリシチウカを占領できずにいる。

ウ軍はクデュミウカの西側で反撃して、運河の西側からロ軍を排除した。

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ザポリージャ州

ザポリージャ州の戦況は、策動地順に東側からベルカノボシルカ軸、プリアポール軸、オリヒウ軸、カムヤンスク軸に分けて述べていく

ベルカノボシルカ軸

東側のノボマイロスクやノボドネツクにウ軍が攻撃中であるが、前進できずにいる

中央のウロジョイナとスタロマイオルスクをウ軍は攻略中である。ロ軍は、スタロマイオルスクの西を抜けて、マキーイウカに逆襲をしてきたが、ウ軍に撃退されている。

中央のリビノピリを正面と南東側でウ軍は攻撃をしているが、正面を突破できたようである。

西側のプリュトネ付近でウ軍は攻撃してるが、前進できずである。

ロ軍は、前哨陣地でも予備兵力を出して、防衛したり逆襲を行っている。本来なら第1防衛線後方にいるべき予備兵力を前に出して、ロシア占領地を少しも奪還されないようにしている。

しかし、この予備兵力がなくなると、第1防御線へのウ軍攻撃時には予備兵力がなく、対応できないことになる。

どうも、プーチンの命令が軍幹部に出て、ロシア支配地を一寸でもウ軍に渡すなであろうとみる。プーチンが戦術に口を出していることで、前哨陣地での防御と逆襲を行うことになったようである。

フリアポール軸

フリアポールでのウ軍は本格的な攻撃に出ている。ここも、あまり、1週間前と変わりがない。ウ軍は状況を発表していない。ロ軍事ブロガーも述べていないので、詳細は分からない。

オリヒウ軸

東のノボカルピウカとノボポクロフスクをウ軍が攻撃しているが、前進できていない。この付近では第47と第44独立砲兵旅団がロ軍砲兵を壊滅したり、ロ軍装備を破壊している。

中央のロボティネで、ウ軍は一部ロ軍陣地を突破して、前進している。このロボティネでもロ軍の大規模な逆襲があり、それをウ軍砲撃隊と戦車隊が防戦して、ロ軍の戦車3両、装甲車5台を破壊して、撃退させた。ここでもロ軍は予備兵力を使って逆襲している。

カムヤンスク軸

カムヤンスクでは、南にあるピアトハーティキーをウ軍は奪還して、次に南ジェレビヤンキーに向かって攻撃している。

しかし、この攻撃をロ軍はジェレビヤンキー方向から逆襲に出てきたが、ウ軍に捕捉されて、大きな損害を出して撃退されている。

このため、ジェレビヤンキーはロ軍が保持している。

ヘルソン州方面

ドニプロ川の洪水も引き始めて、ウ軍は特殊部隊を渡河させて、ロ軍を小規模攻撃している。ロ軍は洪水で流された前哨陣地の構築をすることになるが、それをウ軍特殊部隊に邪魔されている。

前回、ポトーン橋を掛けて、重量の軽いトラックや兵員を渡河させているとしたが、ロ軍ブロガーの誤報のようですね。

ウ軍特殊部隊の渡河は今週から徐々に始めているようだ。

ヘルソン州とザポリージャ州とクリミアのロ軍部隊は、コレラや腸チフス、赤痢などで200人ほどが病死したようである。ロ軍の発表では、ウ軍が病原菌をばら撒いたからだと言うが、洪水で飲料水の補給ができずに、汚い洪水の水を飲んだのが原因のようである。

24日に、ウ軍は戦車を含めドニプロ川を渡河し、ヘルソン正面から攻撃を開始した。ここが本命の攻撃軸になったようだ。

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クリミア方面

クリミアとヘルソン州を結ぶチョンガル橋を「ストームシャドー」で破壊して、道路の大きな穴が開いて、道路の通行ができなくなった。

その前に、クリミアのヘオドシアで、パルチザンが鉄道線路を破壊して、貨物列車の運行ができずに、トラック輸送に切り替えていたが、その主要な道路も橋の破壊で通行ができなくなっている。

しかし、クリミアとヘルソン州を結ぶ道路が2つあるので、残り1つで運ぶことはできる。

その他方面

リシシャンスク方面では、ロ軍はビロホリフカに攻撃したが、撃退されている。反対に、ウ軍がロズドリフカに攻撃をして、ロ軍陣地を一部取っている。

アウディーイウカ方面で、ロ軍は要塞、セベルネ、プレボマイスケを攻撃したが、撃退されている。逆にウ軍はクラスノホリフカとカミヤンカを攻撃して、少し前進した。

2014年以来、ロ軍に占領されていたウクライナ領土を奪還した初めてのケースがクラスノホリフカの一部地域だという。ウ軍が欧米兵器で優位になってきた。

マリンカでは、ロ軍が攻撃したが、ウ軍が逆襲してロ軍を押し戻した。他にも、この地域で、ロ軍はポビエダ、ノボミハイリフカ、ボハレダラに攻撃したが、ウ軍に撃退されている。

トクマク、メリトポリ、マリウポリで複数回の爆発が毎日のように続いている。特に、トクマクでは、ロ軍第19自動車化狙撃師団の司令部がHIMARSで攻撃されて、多数の死傷者が出たようである。

ウ軍は、ヘルソン州ヘニチェスクにあるロシア軍の集中地域スグヴァルディアの基地に対して、ストームシャドー4発で攻撃したようである。

ロ軍の弾薬庫、司令部、武器庫が次々と破壊されているようである。このため、前線への補給が滞っている。ロ軍の消耗が、ウ軍の消耗より多いことが分かる。

それもロ軍兵はウクライナという外国で消耗して死んでいくことに割り切れなさを感じているはずである。特に下級将校は身の危険が多く、部下の不満も直接感じているので、なおさらだ。

反対に、ロ軍は、ウクライナ全土に対して毎日、ミサイル、ドローン、砲撃などで、攻撃してウクライナ国民を死傷させている。

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ウクライナの状況

現在の戦況を西側諸国の当局者らは、ウ軍の反転攻勢は初期段階においてはさほど成功しておらず、ロ軍は西側の予想を上回る能力を示しているとの見方を示した。

ゼレンスキー大統領も、反攻の進展が「望んでいたよりも遅い」ことを認めたが、「反攻をハリウッド映画のように考え、すぐに結果を期待する人がいるが、そういうものではない」と指摘。このままゆっくりと攻勢を続けるとした。

ウ軍シルスキー将軍も、「誰もが即座に、そして一度に偉大な勝利を収めたいと思っている。我々もそうだ。しかし、このプロセスには時間がかかることを覚悟しなければならない。なぜなら、両陣営には多くの戦力が集結し、多くの資材があり、多くの障害物が設けられているからだ。われわれの主力部隊はまだ戦闘に参加しておらず、今は敵の防衛網の弱いところを探っているところだ」と述べたが、この状況なのであろう。

前哨陣地にロ軍は後方にいるべき予備兵力を使い、ウ軍の前進を止めているので、そのうちに予備兵がなくなり、どこかで穴が開くことになる。その上、ロシア国内でクーデターが発生している。

その状況で、ウクライナの復興について議論する「ウクライナ復興会議」が6月21~22日、ロンドンであったが、参加国から表明されたウクライナ支援は総額600億ドル(8兆5,700億円)に達したという。

この他にロシア資産凍結で差し押さえた資金がウクライナ復興に充当されることになる。こちらは、50兆円以上の規模になる。

戦後を見据えた計画を作る段階になっている。

ブダノフ情報局長は、ロシア内工作員を使って、ワグナー軍との関係を構築していた可能性がある。ウ軍とワグナー軍は一回ロ軍抜きの被拘束者交換をしているので、独自チャンネルは確立していたようだ。

ブダノフ氏は、現在のロシアの情勢につき「私はそれをゲームだとか、見せ物だとか、フェイクだとは呼ばない。それは全くもってそういうものではない。それは完全に現実的な対立であり、彼らもそれを隠していない。プリゴジンは、より多くの真実を語っている。ロ国防省はより多くの嘘を語っている。それは真実対嘘の対決なのだ」と発言した。

どうも、ワグナー軍の動きは、ウ軍のドニプロ川渡河作戦と連動している。偶然同じ時期ではない。ブダノフが仕掛けたようなきがする。ワグナー軍がスティンガーミサイルを大量に持っているが、それをブダノフ氏が提供した可能性を感じる。

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ロシアの状況

プリゴジンは「ロ軍はザポリージャとヘルソンの前線で後退している。ウ軍はロ軍を押し返している」とした。プーチンは最近「ウ軍は壊滅的な損失を受け、戦闘は小康状態になっている」と発言して、プリゴジンの発言とは相反するものになっている。

また、プリゴジンは「2月24日に起きたことは日常茶飯事にすぎない。国防省は国民と大統領を欺こうとし、ウクライナからとんでもない侵攻があり、北大西洋条約機構(NATO)全体でロシアを攻撃することを計画していると説明していた」という。

さらに「戦争はショイグ国防相が元帥に昇格するために必要だった。ウクライナを非武装化し、非ナチ化するためには必要ではなかった」と強調した。

そして、プリゴジンは、戦争ではロシアで最も有能とされる部隊を含む何万人もの若い命が不必要に犠牲になったとし、「われわれは自らの血を浴びている。時間は過ぎ去っていくばかりだ」また、「我々はウクライナの占領地を多数失っている。死傷者数はロ軍が発表している数の3~4倍だ。1日に最大1,000人が死傷している。」とも述べている。

プリゴジンは、この戦争を止めようとしているように見える。そうしないとロシアの滅亡に繋がるとみているようである。

この認識を持っていないプーチンでは、戦争をやめることができないし、取り巻きも本当の戦争の状況を言えないようである。プーチンが自分に都合の悪い情報が出てくると、怒ることで、誰も本当の情報を上げることができないからだ。

このため、とうとう、ロシアの情報機関「連邦保安庁」(FSB)は23日、ワグナー軍の創設者エフゲニー・プリゴジンの発言が、武装反乱の扇動に該当する疑いがあるとした。

そして、FSB部隊がワグナー軍部隊の拠点をミサイル攻撃し、多くの隊員が死亡したことで、プリゴジンは、「この国の軍上層部がもたらす害悪は制止されなければいけない」と、クーデターを始める。

そして、モスクワでは、戦車などが配備されて国家機関等重要施設の警備が強化され、モスクワで「要塞」計画が実行されいる。警察と救急隊員が集結しているが、ワグナー軍阻止の指令を受けたFSB治安部隊の半数は戦闘を拒否している。

プーチンは「いかなる国内混乱も我が国の国家としての致命的な脅威となる。私たちの行動は厳しいものになるだろう。意図的に裏切りの道に進み、武装反乱を準備した者は皆、避けられない懲罰を受けるだろう。軍と他の治安機関は必要な命令を受けている」と述べ、完全にプリゴジンを切り捨てた。

これに対して、ワグナー軍報道は、「ゴミ(プーチン)は間違った選択をした。それは彼にとってさらに悪いことだ。間もなく新しい大統領が誕生するだろう」と、現状認識ができないプーチンを揶揄したが、これで内戦が確定した。

しかし、ウ軍の攻勢が続く中でロ軍は、防御戦闘で一定の戦果を出してきたが、プーチンの内戦確定で、作戦の前提が変わる。ザポリージャ州の防衛線を現状のまま維持しながら、ワグナー軍に対して攻勢をとることは、軍事的に不可能だ。

このため、ロ政府は、反乱鎮圧のため十分な兵力が割けず、カザフスタンに軍の派遣を要請した所「露の内政問題である」として拒否された。

そのため、プーチンは、国内の治安回復を優先して、高練度のロ軍空挺部隊を抽出することになった。

最初、ワグナー軍は、ウクライナにいたが、ノヴォシャフチンスカヤ国境検問所を越えたが、FSB国境警備隊は、この国境検問所に、ワグナー軍の隊列を通過させるよう命じた。

そして、ロシアに入り、ロストフ・ナ・ドヌーでの最初の攻撃が起こり、ワグナー軍兵力は2万5,000人である。

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ロストフ-モスクワ間の高速道路上で、モスクワに向かっていたワグナー軍は、ロストフからボロネジまで来ているが、ボロネジの180人のロ軍兵がワグナー軍の行動を妨害しないことに同意し、武器を置いた。そして、リペツク州に到達。モスクワまでは、もう少しである。

このモスクワに向かっているワグナー軍の車両は、数えてみると72台以上の車両があり、100以上になる可能性がある。大部隊である。

戦車などの重装備で練度の高いワグナー軍に少数のFSB治安維持部隊は負ける。軽武装のチェチェン軍も敵ではないが、カディロフ首長は、ワグナー軍と戦うためにチェチェン部隊を派遣したと。

しかし、ワグナー軍に対抗できるのは、高練度で重装備のロ軍空挺部隊であるが、今は、すべて最前線でウ軍と対峙して動けない。

このロ軍空挺部隊のどれだけが、ワグナー軍と戦うのかということになる。どうも、バフムトに展開する最強のロ軍空挺部隊を国内治安維持に回すようである。バフムトの戦力が落ちている。

モスクワが危ないと、政権幹部やメドベージェフは、家族とともにモスクワから避難したようであり、プーチンは、ヴァルダイの邸宅の地下壕に隠れているという。

このため、FSB国家親衛隊は、モスクワ近郊のオカ川にかかるすべての橋を爆破する準備をしたようだ。

それと、ワグナー軍に向けてロ軍特別航空作戦が開始されたが、ワグナー軍を攻撃した3機の戦闘ヘリを撃墜し、結局、ロ軍は戦闘ヘリなど7機が撃墜され、パイロット15人が死亡した。

ワグナー軍はウ軍から奪ったとされるスティンガーミサイルなどの防空兵器を帯同してモスクワに向かっている。しかし、量が多すぎの感じがする。

ロ軍下級将校の多くは、命令を拒否するか、公然とワグナーを支持するかになった。このため、ほとんど、何の抵抗もなく、ロストフの南部軍管区司令部、警察署、FSB事務所、市庁舎をワグナー軍が占拠した。

ウ軍と戦う下級将校も、犠牲が多くて、無意味な戦争にいや気がさしていることがわかる。ロ軍上層部の命令を拒否し始めている。どうも、プリゴジンは、下級将校の気持ちを察して、意見を述べてきたようだ。このため、ワグナー軍は一糸乱れずに行動をしているし、ロ軍下級将校も靡くことになる。

この状況で、前総司令官のスロヴィキンが、ワグナー軍に同調して動き出した兵士達に兵舎に戻るよう呼びかけている。やはり、多くのロ軍部隊がプリゴジン指揮下に入っているようだ。

しかし、スロヴィキンの発言とは逆で、ロ軍部隊車列がアゾフからロストフに向かって転進し、プリゴジン側についたようだ。続々と、プリゴジン側にロ軍が寝返っている。囚人部隊であるストームZ突撃部隊もワグナー軍に参加するとした。

一方、ショイグ国防相など上層部は、隠れていて、現実との接触を完全に失っている。プリゴジンはショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長を拘束するためモスクワに向かうとした。

ロストフ・ナ・ドヌーをワグナー軍が押さえたが、ここには南部戦線でウ軍の反攻への防御戦闘に従事するロシア第58連合軍司令部と、ウクライナ戦線全体のロ統合軍集団の司令部が置かれている。しかし、この軍司令部は通常通り業務を行っており、ワグナー軍は業務に干渉しないという。しかし、内戦確定で、ワグナー軍はロストフ・ナ・ドヌー市内の中心部に地雷を敷設しはじめた。

一方、バフムトから来たロ軍空挺部隊の反撃が始まった模様で、住民がロストフ街から避難している。

このため、ウクライナ東部のルガンスクに展開するワグナー軍も撤退して、ロストフのワグナー軍に合流した。ウクライナ東部から優秀な大量の戦力がなくなったことになる。

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プーチンはベラルーシのルカシェンコと協議し、ワグネルの武装蜂起への対応について議論し、両首脳は共同で問題解決にあたることで合意したという。

その後、ルカシェンコとプリゴジンが交渉して、クーデター停止の条件を詰めたが、焦点はジョイグ国防相とゲラシモフ総参謀長の辞任であろう。ロシア国営メディアによると、ワグナー軍のモスクワ首都への進撃を阻止するために、現国防相のショイグと陸軍参謀総長のゲラシモフの交代を含むロシア国防省の指導部の大幅な変更が合意されたと報じらた。

その結果、プリゴジンは、モスクワに向かう兵の引き揚げを表明した。そして、ペスコフ大統領報道官は、プリゴジンの刑事事件は取り下げられ、プリゴジンはベラルーシに出国すると述べた。

ワグナー軍は、ロストフからも撤退した。野営地に戻るようである。

このクーデターで、マリャル国防次官は「我が軍は本日、複数の方面(オリホボ・ワシリフカ、バフムト、ボフダニフカ、ヤヒドネ、クリシチフカ、クルディウミフカ)で同時に攻勢を開始した。彼らは全方位で地形を奪うことに成功した」とした。東部のロ軍空挺部隊とワグナー軍がいなくなり、戦力が大きく削減されているから、そうなる。

これで、プーチン政権の寿命は非常に短くなったことになる。プーチンへの求心力は大きく傷ついたことは間違いないし、ロ軍下級将校も戦争にいや気がさしていることが、証明されたことになる。

その結果、ウロ戦争も、もうすぐに終わる。ロ軍はウクライナ領土から撤退することになる。ロ軍の厭戦気分が戦争を続けられないレベルだからだ。

さあ、どうなりますか?

(『国際戦略コラム有料版』2023年6月26日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by:Naga11 / Shutterstock.com

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【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

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