居酒屋のはずなのに、なぜか炒飯を頼む人が続出……そんなお店が話題となっています。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者、佐藤きよあきさんは「非常に珍しい業態」として、開店前から行列になる居酒屋の理由を明らかにしています。
炒飯をアテに酒を飲む!?炒飯・天津飯・皿台湾専門居酒屋とは?
炒飯が爆売れしている居酒屋さんがあります。
酒のアテになる料理が揃っているのに、なぜか炒飯の注文が一番多くなっているのです。
元々は酒屋さんで、「角打ち(立ち飲み)」を営んでいましたが、いまの店主の代になって、炒飯を提供するようになりました。
なぜ、角打ちで炒飯なのでしょうか。
そこには深い理由はなく、ただただ店主の趣味で取り入れただけなのです。
店主は炒飯マニアと言われるほどで、有名店を食べ歩き、2年以上を掛けて、独学でオリジナルの炒飯を創り出したのです。
これをお客さまに食べてもらいたいという思いから、角打ちのメニューとして出したのです。
飲み屋さんで炒飯、という奇抜とも言えるメニューは、不思議と大ウケし、瞬く間に人気店となっていきました。
酒のアテとしても成立する味なのかもしれませんが、それ以前に、とにかく美味しいということなのです。
お店のある地域はオフィス街で、会社帰りの一杯を楽しむ場所でしたが、そこに美味しい炒飯が登場し、両方を求めるサラリーマンが押し寄せるようになったのです。
その結果、炒飯をアテに酒を飲む人が出てきたのです。
その後、天津飯と皿台湾がメニューに加わり、こちらのファンも増えていきました。
皿台湾とは、名古屋にある台湾料理のカリスマとも言われるお店のオリジナルで、汁なし台湾ラーメンのことです。
店主が、このお店の皿台湾に惚れ込み、弟子入りし、販売の許可を得たものです。
販売を許されたのは3人のみで、本家を入れて、日本で4店舗しか売られていません。
この貴重なメニューが加わったことで、メイン料理の幅が広がり、「炒飯・天津飯・皿台湾専門居酒屋」の看板を掲げることとなったのです。
非常に珍しい業態です。驚きがあります。面白さがあります。興味を持ってしまいます。
他にはない存在なので、メディアにも取り上げられるでしょう。
毎日、夕方の開店前から行列ができています。
週3日だけのランチ営業では、炒飯と天津飯のみの提供ですが、こちらも行列となっています。
お店は古く、テーブルはビールケースで作っているような、まったく飾り気のない雰囲気ですが、お客さまに愛されている、大繁盛店なのです。
酒屋さんから始まった家業ですが、角打ちを経て、炒飯専門の居酒屋という、他にはない唯一無二のお店へと変貌しました。
これは、店主の柔軟な発想から生まれたものです。
酒屋だから、居酒屋だから、という固い頭では、誕生しなかったお店です。
やりたいことをやっただけなのかもしれませんが、やってしまう勇気を持っていたことが、功を奏したのです。
いま、世の中は恐ろしい速さで激変しています。
古いものや伝統を守ることは大切ですが、時代に合わせた柔軟な対応も忘れることはできないのです。
難しく考えることはありません。楽しいことを選択すれば良いのです。
image by: Shutterstock.com