わくわくを体験できる場所、テーマパーク。そんなわくわく感を味わえる「ファミレス」が凄いと話題となっています。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者、佐藤きよあきさんが紹介するのは、山口県で人気のあるファミリーレストラン「いろり山賊」です。いったい何が凄いというのでしょうか?
ファミレスを巨大化したら、大人気テーマパークが誕生した!!
「テーマパーク」。
それは、日常を離れ、ひとときのワクワク・ドキドキを楽しむ場所。
地域の人はもとより、遠くからもたくさんの人が集まり、しばし幸せな時間を過ごします。
山口県岩国市の山奥に、そんな施設があります。
山道を車で走っていると、突如ド派手な空間が目の前に現れます。
かなりの数の鯉のぼりが泳いでいたり、七夕飾りがズラリと並んでいたり。
城のような建物や茅葺き屋根の古民家などが並び、和風の庭園には、提灯がたくさんぶら下がっています。
お祭り会場のようにも見えます。
江戸時代をモチーフにしたテーマパークなのか?
それとも、民俗村なのか?
かなり巨大な施設なので、知らない人には見当もつかないのではないのでしょうか。
ここは、見ためからは想像もできないのですが、ファミリーレストランなのです。
『いろり山賊』。
「山賊が食べるような豪快な料理を食べてもらいたい」という思いから、名づけられました。
ここの名物は、若鶏をいろりの炭火で焼いた「山賊焼」。
鮭、昆布、梅の入った、普通の2、3倍はある爆弾型おにぎり「山賊むすび」。
肉とわかめとねぎをのせ、出汁を効かせた「山賊うどん」。
ほとんどのお客さまが、これらを注文します。
他にも、川魚料理や皇牛(すめらぎぎゅう)を使った料理、宴会コース、喫茶、各種弁当や草もち・おはぎなどのテイクアウトなどがあります。
週末ともなると、1、2時間の行列ができるほどなのですが、なぜ、そこまで人気があるのでしょうか。
名物の「山賊焼」や「山賊むすび」を目当てにやって来る人がほとんどなのですが、それだけで、これほどの行列ができるとは考えられません。
その秘密は、この施設そのものにあったのです。
山の斜面に建つ、城や古民家。
敷地内には、川や池、滝、水車、神社などがあります。
いろりのある食事スペースもありますが、ほとんどは屋外の縁台のようなところに、赤い毛氈(もうせん)を敷いた席を利用します。
冬には、この場所にコタツが置かれます。
何とも風情のある食事処なのです。
席の近辺には、赤い提灯が。
また、季節ごとの演出がお客さまを楽しませています。
節分や雛祭り、花祭り、端午の節句、七夕祭り、秋祭り……。
このお店のオリジナルである「父と母に感謝する週間」などというイベントもあります。
言わば、一年中がお祭り騒ぎなのです。
盛り上げるために、笛や太鼓の音が聞こえてくることもあります。
ここは、ただ美味しいものを食べに来る場所ではなく、いつ来ても心躍る、特別感のある場所なのです。
山奥ということもあり、わざわざ出掛けるので、旅行気分も味わえます。
山口県民にとって、「山賊焼」や「山賊むすび」は、もはやソウルフードとなっており、この施設は、特別な日に出掛けて行く、大切な場所になっています。
隣の広島県民にも、ドライブがてら食べに行く人が多く、馴染み深い場所になっています。
飲食店としては、非常に珍しいタイプです。
「お店の演出」というレベルではなく、まさにテーマパークを作っているようです。
ビジネスセンスと言うのか、人を惹きつける術を熟知しているのではないでしょうか。
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