1995年に女優の鷲尾いさ子と結婚し、今も「エビオス」などのCMやテレビ・映画で活躍する俳優、仲村トオル。40歳以上には「ビーバップ・ハイスクール」「あぶない刑事」でおなじみですが、人気絶頂時の当時、彼が結婚前に交際していた「ある人気女優」とのスクープを狙っていたのが芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さん。もう少しでスクープが、という過去の「苦い思い出」を語ります。
28年前のモノクロ写真が蘇らせる、ある人気女優と仲村トオル“籠城事件”
今や人気作品には絶対に欠かせない存在になっている仲村トオル。
『FRIDAY DIGITAL』が掲載した写真に目が釘付けになってしまいました。
結婚会見の写真が5点と、仲村が運転する車の後部座席から降り、ドアを閉めた瞬間の鷲尾いさ子の写真が1点…時代を感じさせるこのモノクロームなカットは、ほぼほぼ同じ角度で何度となく私の肉眼で目撃していたシーンでもあったからです。
車内が見えないように黒いフィルムを貼ったこの国産車が何周したでしょうか、2人の住む住宅街をグルグル回り目の前に現れた時に、「来た来た! 逃すなよ!」と若いカメラマンを鼓舞させた自分が突然現実に戻ってきたような感覚を覚えました。
当時は“さすが売れっ子役者は乗る車も違うねぇ…”と思っていた気がするのですが、今こうして見てみると“あれ…こんなんだっけ”と感じます。
記事では当時の仲村の恋愛事情にも触れていますが、私の見立ては鷲尾ではなく、ある作品で共演した女優との結婚でした。
これは芸能取材をする側の勝手な憶測と論理からですが、取材対象との因縁が深ければ深い程、取材を抜きにしたときは知らず知らずのうちにそのタレントを応援してしまっているケースが少なくないのです。
被害者が加害者に対して好意的な感情を抱くストックホルム症候群という心理障害がありますが、敵対していたとしても相手と同じ時間を多く過ごすうちに、相手に感情移入してしまうのかもしれません。
逆に言えば、長期間取材を続けてきた対象者がどうしても好きになれない人物だったりしたら、そのタレントの非常に近い立場の人間も同じような感情を抱きつつ、仕事だと割り切って一緒にいるしかないと我慢しているんだろうな…とも感じます。
これは決して、あの有名な歌舞伎役者を指しての発言ではありませんので…。
私が仲村の結婚相手と見立てていた人気女優の取材で、深く印象に残っているのは彼女のマンションでの“籠城事件”です。
仲村がこの女優のマンションに人知れず(私以外は)忍び込んだまでは良かったのですが、そのマンションから出てくる姿を捉えようと私や応援で呼んだ同僚記者、カメラマンたちが全ての出口を押さえ、袋のネズミにしたのです。
おそらく仲村なりこの女優も、周りで起きている不穏な空気を感じ取ったのでしょう、彼等は実に半日以上に渡って全く動きを見せませんでした。
「これから仕事があるのにどうしよう、外に出れば必ず撮られてしまうし」
「事務所とマネージャーに相談して助けてもらおうか」
「そんなことしたら、何社も集まる大事になってしまう」
2人の室内での会話が聞こえてくるようでした。
鷲尾は2013年に難病を発症したと言われており、仲村が夫、父、そして母親の役割まで仕事を続けながら対応していると言われています。
家族を守るためなら、某CMで見られるようにあんな岩場の上で、スーツ姿のまま踊る事もいとわないというわけです。
眉間にシワを寄せたシリアスで真面目な仲村もいいのですが、私なぞは『あぶない刑事』を彷彿とさせるちょっとお茶目な仲村もお似合いのキャラだと思うのですが…。
あの女優と交際が続いていたら、この籠城事件をスクープした記事が結婚への足場になっていたかも…なんて思ってしまいます。
この仲村の車から降りた鷲尾の写真を撮られたばっかりに、2人は急遽、この写真がスキャンダルとして報じられる前に“結婚会見”を開く破目になったとも記事には書いてあります。
もし私の見立て通りに事が進んでいたら、仲村の結婚は私のスクープになったのに…ちょっと悔しい思いまで蘇ってしまいました。
プロフィール:芋澤貞雄
1956年、北海道生まれ。米国でテレビ・映画のコーディネーター業を経て、女性週刊誌などで30年以上、芸能を中心に取材。代表的スクープは「直撃! 松田聖子、ニューヨークの恋人」「眞子妃、エジンバラで初めてのクリスマス」。現在も幅広く取材を続ける。https://twitter.com/ImozawaSadao
記事提供:芸能ジャーナリスト・芋澤貞雄の「本日モ反省ノ色ナシ」
image by : Kitto official web