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“200人以上と不倫”の驚愕。女性にも歴史にも愛された男カエサルのモテモテ逸話

有名な皇帝が多いローマ帝国ですが、なかには異色な人たちも多く存在したようです。今回のメルマガ『歴史時代作家 早見俊の無料メルマガ」』では時代小説の名手として知られる作家の早見俊さんがローマ帝国の異色皇帝3名のエピソードを紹介しています。

ローマ帝国の異色皇帝

ローマ帝国の礎を築いた英雄ユリウス・カエサルは女性にモテました。生涯で四人の女性(一人はクレオパトラ)と結婚し、星の数ほどの愛人を持ちました。愛人と派手な交際を続けたため、莫大な借金を背負いましたがさすがは大物、債権者に向かって金を返すには出世するしかないと居直ったとか。

カエサルが女性にモテたのは、お金をたくさん使ってくれたからだけではありません。また、彼は決してイケメンでもありませんでした。彼自身、容姿にコンプレックスを抱いていたのです。では、なぜモテたのかというと、非常にマメであったからでした。

せっせと手紙を書き、プレゼントを贈り、甘い言葉を囁くことを忘れませんでした。カエサルがいかにモテたかを示す言葉が残っています。「すべてのローマの女の夫、すべてのローマの男の妻」これは、彼が同性愛者でもあったことを伝えています。

同性愛については置いておくとして、女性関係に絞って続けます。数多いた愛人たちはカエサルと深い仲になったことを隠すどころか自慢していたそうです。既婚者も多くいました。元老院議員の三分の一の妻を寝取ったという伝説もあります。

元老院議員は六百人でしたから、元老院だけで二百人と不倫していたのですね。カエサルが戦場から凱旋すると、「妻を隠せ、ハゲの女たらしのお通りだ!」という野次が飛んだとか。

モテたゆえ政治生命の危機を脱したこともありました。ある時、元老院で政敵であった小カトーから国家転覆を企んでいるという嫌疑をかけられました。追及の最中、カエサルに手紙が届きます。小カトーは陰謀の証拠が記されていると思い、手紙を開封させます。手紙は小カトーの姉からカエサルに送られたラブレターでした。小カトーは、「この女たらしめ」と激怒しましたが議場は爆笑の渦。カエサルは危機を脱したのでした。

多くの女性から愛されたカエサルは五十六歳で暗殺という非業の最期を遂げました。しかし、「カエサル」という名はローマ帝国の君主号となり、後にはドイツ皇帝の「カイゼル」ロシア皇帝の「ツアーリ」もカエサルに由来します。女性ばかりか歴史にも愛された英雄ですね。

ローマ帝国、五賢帝に代表される名君が出た一方でカリグラとネロのような暴君も君臨しました。

まずはローマ帝国代三代皇帝(在位37年~41年)のカリグラです。カリグラは24歳の若さで即位しました。二代皇帝テイベリウスは安定した治世を行いましたが、首都ローマは親衛隊が厳しく市民生活を監視していたため、重苦しい空気が漂っていました。

このため、若き皇帝の誕生は新時代の息吹を感じさせ、歓喜をもって迎えられます。カリグラも市民の期待に応え善政を敷きました。政治犯を釈放し、テイベリウスが禁止していた剣闘士試合を復活させ、兵士にはボーナスを支給しました。

ところが、いつしか自分を神と称するようになり、暴君化します。国庫を乱費し、側近を殺し、姉妹と近親相姦に及び、部下といわず市民といわず、美貌の妻や娘を見つけると片っ端から犯し、そしてそれでも飽き足らず、イケメンの奴隷とも関係を持ちました。

カリグラの暴走は止まらず、ついには自分を守る親衛隊に殺されてしまいました。

さて、カリグラと近親相姦の関係にあった妹アグリッピナです。アグリッピナは兄にレイプされ処女を失いました。その後、十三歳で結婚し、二十二歳で男の子を産みます。後の第五代皇帝(在位54年~68年)ネロです。ネロも即位当初は家庭教師であった哲学者セネカの意見を取り入れ、善政に努めました。

ところが、母アグリッピナがうるさく政治に口出しするようになり、不満を抱きます。加えて、カリグラの血が騒いだのでしょうか。ネロも暴政を展開します。何と母親アグリッピナを殺してしまいました。息子の命令で殺しに来た兵士に向かってアグリッピナは服を切り裂き、股間を指差して、「刺すならここを刺せ、ネロはここから生まれてきのだから」と叫んだと伝わっています。

ネロは母親に童貞を奪われたため母親にコンプレックスを抱き続けたそうです。真偽はともかく母親殺害を契機に暴走は激化し、妻とセネカを自殺に追い込み、キリスト教徒を迫害しました。暴君と化したネロは市民と軍隊の反発を招き、反乱を起こされ、自害に追い込まれます。カリグラとネロ、近親相姦が産んだ暴君でした。

image by: Shutterstock.com

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歴史、ミステリー四方山話、思いつくまま日本史、世界史、国内、海外のミステリーを語ります。また、自作の裏話なども披露致します。

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【著者】 早見俊 【発行周期】 週刊

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