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糖質制限とグルテンフリーはまったく別の概念。糖尿病専門医が解説する糖質制限食とグルテンフリー、カゼインフリーの関係

今やすっかりポピュラーとなり、多くの方が実践する糖質制限生活。それに比するかのように流通する情報量も多量となり、取捨選択に迷う方が多いのも事実のようです。今回のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』では糖尿病専門医の江部康二さんが、読者から寄せられた「糖質制限とグルテンフリー、カゼインフリーとの関係」についての質問に分かりやすく回答。グルテンフリーの実践者として知られるテニスのジョコビッチ選手が、朝昼食に糖質を摂っている理由についても解説しています。

※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです

グルテンフリー、カゼインフリーと糖質制限食について

Question

血糖コントロールのため、高タンパク・低糖質を心がけ、チーズをよく摂取しています。

最近、「カゼインフリー」をすすめる記事に、乳製品に含まれるカゼインによって、

という理由で、チーズは避けるべきだとの専門的な記事を目にしました。

私は十二指腸潰瘍で入院したこともあり、除菌療法を行いましたが、今後の腸内環境と糖質制限の進め方を心配してしまいます。

また、糖質制限するには「グルテンフリー」を心がけることが必要との記事を目にします。

カゼインフリー、グルテンフリーの考え方についてどう考えればよいでしょうか?

ドクター江部からの回答

グルテンフリー、カゼインフリーと糖質制限食について考えてみます。

グルテンフリー

グルテンは小麦、大麦、ライ麦などに含まれるタンパク質ですが、市販の小麦グルテンには、あるていど糖質も含まれています。

従って、糖質制限食では、小麦グルテンの使用は少量にとどめる必要があります。

糖質制限食OKのパンにおいてもグルテンを使わないとパンになりませんので、少量の小麦グルテンを使用しています。

欧米人に結構多い、「グルテンアレルギー」の人達には、グルテンフリーが必要です。

食べると、胃痛、吐き気、腹部のけいれん、胃部膨満、下痢、便秘、皮疹、浮腫み、集中力低下、気分の落ち込み、易疲労感などが生じます。

例えばテニスのジョコビッチ選手が小麦グルテンアレルギーであり、グルテンフリーにしてから、パフォーマンスが向上してナンバー1になりましたね。

グルテンフリーということは、小麦製品摂取を止めるということです。

注意しなくてはいけないのは、糖質制限0Kパンもグルテンアレルギーの人には、NGということです。

少量のグルテンでも、グルテンアレルギーの人が摂取するとアレルギー症状が出ます。

日本人には、グルテンアレルギーは少ないです。

グルテンアレルギーのない人は、普通に糖質制限食実践でグルテンフリーは必要ありませんので、糖質制限食OKのパン(少量のグルテンを含む)も食べても大丈夫です。

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カゼインフリー

牛乳のたんぱく質の成分のうち、一番多く含まれているのがカゼイン(80%)です。

当然のことながら、カゼインアレルギーがある人は、カゼインフリーが必要です。

私は、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんも多数、診察してきましたが、「牛乳、卵、小麦」が、3大アレルゲンでしたし、今もそうだと思います。

その中で、牛乳アレルギーは、ほぼカゼインアレルギーでしょう。

一時「除去食物療法」がアトピーの赤ちゃんに厳格に行われた時代もありましたが、最近では、乳児期からできるだけ原因食物を完全除去にはせずに、症状が出ない少量の原因食物の摂取を行うことが、重症化させない対策として重要であると考えられています。

食物アレルギー有病率調査では、およそ乳児10%で、幼児5%、学童期以降が1~3%でした。

アレルゲンの頻度としては「卵 < 牛乳 < 小麦」の順番です。

成人のカゼインアレルギーは、人口の約1%とされていますから、結構多いです。

カゼインアレルギーの症状としては、腹痛や嘔吐、じんましんやかゆみ、せき、元気がない、きつければアナフィラキシーなどです。

糖質制限食実践について

単純に言えば、

1)グルテンアレルギーがある人は、グルテンフリーが必要
2)カゼインアレルギーがある人は、カゼインフリーが必要

ということです。

カゼインによって腸内環境が乱れ、腸が炎症を起こし…というのは全て仮説であり、明確な根拠がある話ではありません。

私はカゼインアレルギーがない人が、乳製品を摂取しても問題はないと思います。

また、糖質制限食とグルテンフリーは、全く別の概念です。

例えば、グルテンフリーを実践しているテニスのジョコビッチ選手は、夕食は糖質制限食ですが、運動量の多い、朝と昼は、お米やそばや芋など糖質を食べています。

筋肉がしっかり活動している時は、インスリンに依存することなく筋肉が血糖値を取り込んでくれるので、肥満の心配がないからです。

どちらのアレルギーもない場合は、普通に糖質制限食を実践すれば良いですし、グルテンフリーもカゼインフリーも必要ないです。

糖質制限OKパンにも少量のグルテンが入っていますが大丈夫です。

私は 1)2)がないので、糖質制限OKパンや乳製品も普通に食べています。

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image by: Shutterstock.com

江部康二この著者の記事一覧

(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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【著者】 江部康二 【月額】 ¥660/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 火・金曜日

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