観光地や繁華街に出れば、必ずといって良いほど見かける外国人旅行客。コロナ禍を乗り越えて、インバウンドの波が日本にもやってきています。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』で、繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、長く続くかはわからないインバウンド客が、これから減少した時にも儲けられる新しい経営戦略を語っています。
もしインバウンド客が減少したとしても…格差社会を捉える「2層ターゲット」の新経営戦略
とある高級焼肉店では、インバウンド客による予約で、連日大盛況となっています。
1人数万円のコース料理が注文され、お店は笑顔の絶えない状況です。
このお店は、選び抜かれた和牛を提供し、それを欲するインバウンド客を満足させています。
日本人からすると高いと感じる価格であっても、収入の上がっている海外の人にとっては、安いのです。
価格に納得した上で、払うことのできる人に買ってもらうのです。
ただし、このお店は、一過性かもしれない日本ブームに乗っているわけではありません。
日本で進行している格差社会を見越しての店舗展開なのです。
もしインバウンド客が減少したとしても、日本の富裕層が来てくれることを想定しています。
より良いものを納得の価格で提供し、金額に躊躇しない富裕層にもアピールしているのです。
こう書くと、金持ち相手の商売をしているだけのお店なのかと思うでしょうが、そうではありません。
それでは、ブームに乗っかるだけで、ブームが去ると自滅してしまう、エセ商売人となってしまいます。
このお店の優れたところは、高級焼肉店以外に、リーズナブルな庶民派焼肉店を運営しているところです。
牛を一頭買いし、高級店用とリーズナブル店用に分けて使っています。
これで仕入れ価格を下げて、利益率を高めているのです。
2店舗あることで、さまざまなリスクを分散させることもできます。
一方が業績不振でも、もう一方で補えます。
また、高級店とリーズナブル店という、ターゲットの2層化によって、収益の安定化も図れます。
これまでの経営戦略では、ターゲットをひとつに絞ることで、コンセプトを明確にし、アピール方法を決めていました。
しかし、格差社会が広がっているいま、ひとつのターゲットを追い掛けているだけでは、事業の拡張性は期待できません。
中流以下の庶民を狙うだけでは、消費の落ち込みとともに、収益も落ちてくるはずです。
そこで、もう一方の富裕層をもターゲットとして取り込むことで、景気に左右されない商売ができるのです。
こうした2層ターゲットの経営戦略を実践している、他の例としては、「ライザップ」と「ちょこザップ」があります。
高額でありながら、徹底した指導による身体づくりを目指す「ライザップ」に対し、気軽に低額で身体づくりを目指す「ちょこザップ」。
この2つのターゲットはまったく違っており、それぞれが望むスタイルを提供することで、急成長しているのです。
消費者の暮らしが2極化しているのならば、2極を狙った経営戦略を考慮しても良いのではないでしょうか。
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