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木魚の代わりにカメラを持って。韓国女性僧侶YouTuberが大人気のワケ

これも時代の流れなのでしょうか。韓国では、女性僧侶ユーチューバーが人気となっています。無料メルマガ『キムチパワー』の著者で韓国在住歴30年を超え教育関係の仕事に従事している日本人著者が、その彼女がどのような活動をしているのかを紹介しています。

木魚の代わりにカメラを持って

女性の僧侶は韓国語でビグニというが、今回はユーチューブチャンネルをやっているビグニ=ムヨ僧侶の話題である。

ムヨ僧侶は「ユーチューブチャンネルは誰でも作れるので、各自が言葉と行動一つ一つにさらに責任感を持って慎重でなければならない」として「YouTuberの皆が公人という考えを持つならば、最近社会問題になった一部YouTuberの行動は消えるだろう」と話した。

「仏教ってこんなに『ヒップ』だったの?」という言葉がよく聞かれるようになっている最近の韓国の仏教。その背景には深い山中の参禅だけにとどまらず、積極的に世の中と疎通しながら変わろうと努力する「若い僧侶」たちがいる。ここで「ヒップ」というのは英語からの用法で「クール」「いかしてる」「新しい流行」などといった意味で使われているようだ。

ユーチューブ「ムヨ僧侶TV」を運営する尼僧・ムヨ僧侶(大韓仏教曹渓宗京畿道高陽麦禅院住職)も若い人たちの一人。木鐸の代わりにカメラ、数珠の代わりにマイクを持った彼女は、全国を歩き回りながら韓国の寺院の美しさを伝えている。

「ある日、ふと『自分だけが知っていて、他の人の役に立たない勉強にどんな意味があるのか』という疑問が浮かびました。もっと多くの人に仏様の教えを知らせたくて悩んでいたのですが、ちょうどその時にユーチューブが大衆化し、1人放送時代が開かれたのです。これだと思いました」

彼女は数多くの仏教コンテンツの中で寺院紹介を選択した理由について「非信者にも最も身近に仏教を知らせることができる素材であるため」とし「個人的にも全国のお寺に行ってみたい気持ちも大きかった」と話した。

修士・博士の勉強をし、寺で引き受けた仕事をしているため、僧侶であるにもかかわらず実際に行った寺が多くなかったということだ。彼女は「ユーチューブのおかげで2019年3月に開設した以後、今まで5年余りの間に120か所余りの寺院を紹介し私の心も満たされました」と笑いながら話した。

簡単に考えて飛び込んだユーチューブだったのだが、毎週血が乾くような苦痛に苛まれるようにもなってきた。台本作成、撮影、編集など全てが「初心者」であるうえに、一人で作る境遇なのにもかかわらず、購読者と「毎週一編ずつアップする」と約束してしまったのだ。

弱り目にたたり目で、初回の「江華伝燈寺(カンファ ジョン ドゥンサ)」編は動画を撮って帰ってみると画面が揺れていて、声が小さすぎて再び撮りに行く「惨事」まで起きた。「金儲けのためではないか」「そんなに目立ちたいのか」という周りの否定的な視線と悪質コメントもおまけについてきたという。

「最初は誰が見るかと思ったんですが、「知らなかったお寺の美しさを教えてくれてありがとう」という方が意外と多かったんですよ。体調が悪くて行けないのに、故国の郷愁を慰めることができたと感謝する(外国に住む)同胞もいらっしゃいました。その力で今まで耐えました」

お寺の紹介で始まった「ムヨ僧侶TV」は今、経典読誦、海外仏教聖地巡礼、多様な僧侶たちとの対話などに範囲を広げている。

購読者は5万4000人あまり。撮影を手伝ってくれる菩薩一人(女性信者)を除けば、ほとんどが一人で作るという点を考慮すれば、決して少ない数字ではない。

ムヨ僧侶は「疲れて苦しい時、静かに自分の心を振り返り瞑想する時間を持てば、人生に大きな力を得ることができるだろう」とし「宗教を問わずに訪ねてくる皆にそのような『休み』を提供するチャンネルにしたい」と話した。[東亜日報参照]

参考:「ムヨ僧侶TV

image by: Shutterstock.com

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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