MAG2 NEWS MENU

急停車・急発進は当たり前⁉ 韓国のバスの運転が乱暴すぎるらしい

韓国のバス、みなさんは乗ったことがありますか? その乱暴すぎる運転について無料メルマガ『キムチパワー』の著者で韓国在住歴30年を超え教育関係の仕事に従事している日本人著者が、現地に住む立場から語っています。

韓国のバス

韓国のバスの乱暴な運転はつとに有名だ。筆者がこの地を踏んだ1980年代の終わりころもそうだったし、今もそうみたいだ。(ただ、昔と比べたら大分ヤワになったなとは感じているけど。)

ソウル永登浦(ヨンドゥンポ)警察署は12日、堂山洞(ダンサンドン)のバス停で発生した80代女性死亡事故がバス運転手の過失で起きたと見て業務上過失致死疑惑などで該当運転手を立件したと13日明らかにした。

被害者のA氏は12日午前10時46分ごろ、文来(ムンネ)駅近くの停留場で止まって支線バスから降りているところだった。ところが運転手が被害者が完全に下車したか確認もせずにドアを開けたまま急発進すると、被害者はバスの階段から墜落して後輪にはねられて死亡したということだ。

警察が確保した監視カメラの画面には、被害者がバスが完全に止まった後に席を立って下車を始めたが、バスは彼女が両足を地面に完全に踏み込む前に出発する場面が映っていたと。

以後、被害者はすでに動いているバスの後輪に敷かれており、乗客が「止まれ、止まれ」「人が落ちて轢かれた」と大声を上げた後にバス運転手が状況を認知して停車したことが調査の結果わかった。

被害者は現場で心肺蘇生法を受け、近くの病院に運ばれたが死亡が確認された。被害者の息子は本紙(朝鮮日報)との通話で「数か月前にも母親がバスの急停車で事故に遭い入院した」として「その時『バスが停車してから席を立つんだよ』と話しておいたが、今回は原則どおり行動しているのに被害に遭った」と話した。

彼は「貴重な人命の安全に責任を負うバス運転手が基本的な規定さえ守らなかったなんて話にならない」として「母親の死があまりにも虚しく腹が立ちやるせない」と話した。

現行の旅客自動車運輸事業法によれば、バス・タクシーなど旅客運輸業従事者は乗客乗降時に前後方を見て安全有無を確認するように指示してある。「ドアを完全に閉めていない状態で自動車を出発させたり運行する行為」「旅客が乗り降りする前に自動車を出発させる行為」はすべて禁止されている。特に「乗客墜落防止義務違反」は交通事故処理特例法上、12大重過失に分類、保険加入有無と関係なく刑事処罰される。

しかし、この日の午前、ソウル都心のあちこちの停留所で乗り降りが終わるやいなや、ドアも閉めずに出発するバスを簡単に見つけることができた。韓国のバスでは急発進・急加速・急ブレーキは日常だ。

ある30代の乗客は「バスがバス停に止まるはるか前に椅子から立ち上がって待機する」とし、「乗客も忙しくて運転手も忙しいのでそうしている。韓国ではこれが普通だ」と話す。

バスから降りていた70代の乗客は「バスが止まるのを待てばすでに出発してしまうので危険を甘受するしかない」と話した。

2022年12月、光州広域市ではある子供の通学バスの運転手が11歳の子供が地面に両足を全て踏み入れる前に出発し、全治11週間の負傷を負わせる事故があった。2020年にはソウル中区(チュング)でバスの急ブレーキで70代の老人が死亡した。

韓国消費者院が2019~2023年の5年間に受け付けたバス乱暴運転関連の苦情は428件。このうち半分以上の219件(51%)が60代以上の高齢者被害である。

「滑り・転り」が282件(65.9%)、「ぶつかり」が61件(14.3%)、「押され・挟まり」が58件(13.6%)だった。

京畿道バス運送事業組合の苦情掲示板には、今年2月から「乱暴運転」というキーワードだけで「急な出発のおかげで怪我をするところでした」 「乱暴運転で関節を痛めた」など2650件の苦情が寄せられている。

昨年、ソウル市内バス11路線23台とコミュニティバス14路線28台を調査した結果、走行距離100km当たり62.6回の割合で急出発・急停止など危険運転が発生したりもした。

一線のバス運転手たちは「配車時間があまりにも切迫している」とし、「私たちも無理に乱暴運転の崖に追い込まれている」と話した。交通渋滞・事故などで配車時間を守れないこともあるが、会社からはひどければ懲戒まで与えられるという。乗客の乗り降り安全教育を一線の業者で行っていて、今回の事故バスの運転手も随時教育を受けたものの形式にとどまるとも言われている。ある業者関係者は「有能な運転手は無条件に時間を合わせる人」と話した。

日本など先進国では乗車乗客が完全に車内に定着し、下車乗客が停留所に降りて安全を確保した様子を確認してからバス・タクシーなどが出発する姿が日常的である。

韓国交通安全公団のイ・ミヨン教授は「後進的な『パrリパrリ=早く早く』公共交通文化を清算しなければならない」とし、「配車時間遵守より重要なことが安全であることを全体社会構成員が認知するよう制度改善が必要だ」と話した。[朝鮮日報参照]

image by: Tupungato / Shutterstock.com

キムチパワーこの著者の記事一覧

韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 キムチパワー 』

【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け