あなたは三大〇〇といえば何を思い浮かべますか?美人?珍味?名湯……いろいろありますが、時代小説の名手として知られる作家の早見俊さんが今回、自身のメルマガ『歴史時代作家 早見俊の無料メルマガ」』の中で紹介するのは『世界三大悪妻』です。いったいどんな悪妻ぶりなのでしょうか?
世界三大悪妻
洋の東西を問わず、三大○○という評価があります。
三大美人、三大名湯、三英傑、三大祭等々。
その中で世界三大悪妻というと、ソクラテスの妻クサンチッペ、モーツァルトの妻コンスタンツェ、トルストイの妻ソフィアですね。
今回は三人の悪妻ぶりを語ります。
クサンチッペは人前でソクラテスを罵倒した上頭から水を浴びせたエピソードと、「良妻を持てば幸せになれる、悪妻を持てば哲学者になれる」というソクラテスの名言によります。
コンスタンツェは浪費癖です。彼女の浪費のせいでモーツァルトは生活に困窮し、若死にしてしまったではないか、しかも死後楽譜を売り飛ばし、さっさと再婚したとはけしからんと非難されています。
ソフィアはというと耐え切れない程の夫婦喧嘩のために八十二歳のトルストイに家出を決意させました。トルストイは家出旅の最中、肺炎にかかって駅で寂しく息を引き取ったのです。
では妻から見た彼らはというと。ソクラテスは美少年を愛する同姓愛者でした。彼が死刑宣告を受けた理由は青少年を集めて怪しげな行いをしているという理由からです。
コンスタンツェが浪費家であったのは確かですが、モーツアルト自身も金遣いが荒く、併せて浮気が絶えませんでした。
トルストイは晩年宗教活動にのめりこみ、財産を貧しい人々に与えたいと考え、現実の家庭生活を切り盛りしなければならないソフィアと争いが生じたのでした。また、ソフィアが夫だけに愛を捧げているのに夫には忘れられない女がいるという不満も抱いていました。
このように三者三様の言い分があったのですが、妻側の不満に共通しているのは夫の浮気です。面白いと言っては失礼ですが、夫の浮気の有り様に三人の個性が表れています。
ソクラテスは同性愛、モーツァルトはとにかく女好き、トルストイはプラトニックな愛、いずれも妻には耐えられないですね。トルストイに、「多くの女性を愛した男よりもたった一人の女性だけを愛した男の方が深く女性というものを知っている」という名言がありますが大文豪の本音なのでしょうか。
だとしたら妻の気持ちがわからなかったのか他に深く愛し続けた女性がいたのか。
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