昨年11月28日、日本で初めて徳島県の県立高校で提供され大きな話題となった、食用コオロギ粉末を用いた給食。そのコオロギ粉末を納入した同県内のベンチャー企業が今年11月に自己破産を申請していたことが判明し、SNS上で大きな話題となりました。今回のメルマガ『施術家・吉田正幸の「ストレス・スルー術」』では著者の吉田さんが、「コオロギ食」が注目され始めた背景をリサーチし紹介。その上で、自身のコオロギ食に対する偽らざる思いを記しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:食用コオロギ会社自己破産「消費者の忌避感」としてトレンドに上がっていた
食用コオロギ会社自己破産「消費者の忌避感」としてトレンドに上がっていた
X(エックス)で「消費者の忌避感」がトレンドに上がっていたので見てみると、ある新聞記事に対して何やら炎上していた。それが昆虫食に対する記事。
「食用コオロギ会社、自己破産を申請 消費者の拒否感強く経営悪化」というタイトル。
「食用コオロギの生産や商品開発を手がける徳島市のベンチャー企業『グリラス』が徳島地裁に自己破産を申請したことが21日、代理人弁護士への取材で分かった」という。
「コオロギ食は栄養価が高く食料危機を解決すると期待される一方、消費者の忌避感が強く、資金繰りが悪化した。申請は7日付。代理人によると、負債総額は約1億5,000万円」!?
グリラスという会社は2019年に徳島大発のベンチャーとして設立したらしい。ちなみに「グリラス」は、「グリラ」という言葉に由来すると思われる。「グリラ」は、スウェーデン語の「grilla」から来ており、これは「バーベキューする」や「焼く」という意味。
共同通信には、「22年11月、国内で初めて学校給食でコオロギが使われた際、コロッケにコオロギの粉末を提供した。だが交流サイト(SNS)で昆虫食に対する批判が集まり、同社への苦情が増えた」と書いてあった。
コオロギ食に関しては今までも時事系YouTuberが盛んに取り上げていた時期があった。コオロギ食にはまったく興味が無かったのだか、なぜコオロギ食なのか…気になって調べたことがある。
一体なぜコオロギ食が注目されているのか?
筆頭に上がってくるのは、その栄養価だ。
コオロギはタンパク質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素が豊富で、食料としての価値が高く評価されているとのこと(誰が?)。また、飼育が比較的簡単で、繁殖力が高いため、持続可能な食料源と見なされているというがなんか怪しさ満点。
環境への影響も良い?コオロギの飼育は、牛や豚の飼育と比較して、水やエサの効率が良く、温室効果ガスの排出も少ないという。これがSDGsの観点からも注目される理由の一つとのことだ。だから何?って話。
そして、世界的な人口増加や食料不足の問題を解決するための代替食品として、コオロギ食が提案され始めた。コオロギは特に繁殖力が高く、エサの効率も良いため、将来の食料供給源として期待されているからだというのだ。
う…ん。自分は食べたくもないね。人間の本能がそのように答える(笑)。
もちろん、賛成派と反対派の意見がそれぞれあって、賛成派の意見は、環境負荷の少ないタンパク源として、コオロギ食は食料問題や地球温暖化対策に寄与するんだ!ということ。消費者には選択肢を!みたいな。
そして、反対派は、文化的な拒否感や健康への影響を懸念する声が多数。特に日本では、昆虫食に対する抵抗感が強く、急に推進されることへの批判。
また、学校給食での導入などに対する意見も様々だ。もし、うちの子供の給食入るならば即刻クレーム。そして子供には絶対に食べるな!というだろうな。
だって、コオロギは雑食性で、野菜や果物、昆虫の幼虫、無脊椎動物の死骸などを自然界で食べるんだよね。そして、これらの食品を模倣した形でエサを与えることが一般的だというのだから気持ち悪い。
コオロギ食は、粉末としてパンやせんべいなどに利用されたり、直接食されたりするって言うのだから怖すぎる。味は、ナッツのような香ばしい味とされているが、そんなの味付けでどうにでもなるだろう。
それで、一体どこの誰がコオロギ食を推進しているの?ってこと。
それが、国連食糧農業機関(FAO)と政府。
FAOは、昆虫食を将来の食料安全保障や持続可能な食料供給の手段として推奨している。特に、世界人口の増加に伴う食料需要の増大に対応するための代替食材としていたらしい。
政府関係としては、2022年頃から、日本でも消費者庁や農林水産省などが昆虫食のガイドラインを整備し、市場拡大を支援する動きがあった。これは直接的な推進機関ではないものの、規制緩和や安全性の確保を通じて間接的に促進している。
そして、今回のニュースに出てきた徳島大学のベンチャー企業「グリラス」。この会社は、コオロギの飼育とその食品への利用を推進していた。無印良品とのコラボレーションもあったらしい。
まだある。高崎経済大学発のベンチャー企業「FUTURENAUT」だ。この会社もコオロギ食の普及を目指し、敷島製パンと共同でコオロギを使った商品を開発している。
敷島製パンは、Pascoで知られている、コオロギパウダーを使用した商品をすでに販売しているんだね。これも一種のコオロギ食推進活動だろう。Pascoか…ちょっとショック。
これらの機関や企業は、主に環境負荷の軽減、食料問題の解決、そして新しい食文化の形成を目指して活動している(という名目)。ただし、具体的な「推進機関」として組織的に動いているわけではなく、各々が異なる角度からコオロギ食の普及に寄与しているということなのだが、怪しい。
コオロギ食は、持続可能な食料供給の観点から有望とされているのだが、どこにそんな根拠があるのだろう。というより率先して「食べたい!」などという人はよほどの変り者だろう。
文化的・心理的なハードルが高すぎる。この問題を解決するためには、情報提供、教育、そして徐々に消費者に受け入れられるようなアプローチが必要だということで動いていたのだろう。
Xでの「消費者の忌避感」というワードに陳列しているポストを見てみた――(メルマガ『施術家・吉田正幸の「ストレス・スルー術」』2024年11月23日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録下さい)
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