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これで第一印象が決まる。なぜ「自己紹介」で自分のことばかり話す人は好かれないのか?

新しい職場や新しい仕事仲間の前で自己紹介する機会が増える季節がやってきました。あなたはどんな自己紹介をする予定ですか? スピーチのプロフェショナルである森裕喜子さんは、自身のメルマガ『スピーチコーチ・森裕喜子の「リーダーシップを磨く言葉の教室」』の中で、第一印象が決まる「自己紹介」で上司という立場でする場面を想定した際のコツを伝授しています。

謙虚さが伝わる自己紹介のコツ

あなたがこの春、新しい会社に上司として転職するとしましょう。

その社内では、まだ、あなたに実際会ってもいないメンバーたちが、いろいろと噂しています。

(今度の上司、すごい実績の持ち主らしい)

(仕事には厳しいんだろうね……)

などなど。

さあ、上司として、あなたは、どんな自己紹介をしますか?

★関係構築の第一歩、どうすべきか?

第一印象が決まる自己紹介。

上役として就任、あるいは新たな同僚であったとしても、

「なんだか、この人、偉そうだな……」

などと思われたら、これからの関係構築が難しくなりそうですね。

実際に、ある程度の実績がある人ほど、「自信満々」「上から目線」などと誤解されやすいでしょう。

だからといってわざと下手に出るのは、良くない。

まだ一緒に働き出してもいないのに余計な印象は与えたくはないもの。

それには、どうしたらいいか?

リーダーシップがありながら、親しみや期待、そして安心感がある自己紹介の方法をご紹介します。

★誰に向けて、なぜ自己紹介するのか? 明確に!

基本的な自己紹介内容は、これまでのメルマガでも書いた通り。

今回はそれらの応用編とも言えます。

まず大切なことは、誰に向けて自分を紹介するのか?です。

上司として、社内メンバーに向けて行う自己紹介は、面接の場面とは違いますよね。

ビジネスマンとして、

「〇〇社のXX部で、責任者をしていました」

「〇〇で前年度比200%の成果を上げました」

などと、わかりやすい仕事の実績などはリーダーシップを示すには欠かせません。

面接ではこの点を明確に伝えて適切にアピールすることは優位に働くでしょう。

でも、今回の相手は、一緒に働くメンバー(部下)です。

自分を表現するために過去の実績を掲げて話すと、

「わたし、すごいでしょ?」

と、そんなつもりはなくとも。受け取られてしまうかもしれません。

もしも、自分の実績をアピールすることで最初から、上司としての支配力を発揮したいような場合であれば、このような数値的アピールは効果的でしょう。

(今のご時世、こういう人は少数派かもしれませんが……)

一方、「新しい仲間といい仕事をしたい」といった目的ならば、そこをゴールにして自己紹介を設定する必要があります。

誰に向かって自己紹介するのか?

何のためなのか?

まずここを明確にしておくことが大切ですね。

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★自分を知ってもらうために、肩書きや実績以外に大切なこと

最初から過去の実績や仕事力で尊敬してもらう、というのも、ひとつの自己紹介です。

例えば、

「私は〇〇部門の責任者として、売上を前年比150%に伸ばしました」

事実として素晴らしいですよね。ですので、新たな上司への期待や尊敬を得ることもできるでしょう。

一方、

「〇〇部門を担当していまして、チームで協力し、売上も伸びました」

のように、「チームの力」「周囲のサポート」といった言葉を入れるだけでチームや周囲への敬意が感じられ、チームワークを大事にしている印象になります。

このような言い回しにすると、謙虚なイメージが出ます。

今の時代、謙虚になることがかなり大切にされている印象ですが、単に謙虚になろう、ということをいいたいのではありません。

この2つの自己紹介には、言葉選びの巧みさがよく現れているので、そこを解説します。

「責任者として、売上を前年比150%に伸ばした」の場合、まず「責任者」の言葉がポイントです。リーダーとしての自分が優秀だった、という点が強調されます。

一方、

「〇〇部門を担当していまして、チームで協力し、売上も伸びました」

の場合、「担当」という言葉を使っています。責任者ではあったものの、それもひとつの担当業務であり、すなわち、チームメンバーより上か下か、ではなく、単に責任者という役割だった、ということが強調されるのです。

こうすることにより、仕事においてはプロでありつつも、役職に関しては単なる1つの役割であり、自分も含めて皆等しく、そのチームの一員である、と、話し手が意識していることがわかります。

このように、単語ひとつの選び方によって、結果として、相手に伝わるインパクトが変わってくる。

聞いている人はここまで細かく分析しませんが、明らかに伝わってくるものは、違うものになるのです。

ぜひ、その点、ご理解いただけたらと思います。解説が長くて恐れ入ります。

★「感謝」を入れる

自己紹介の中に「ここにいることが嬉しい」「みなさんのおかげで成長できている」などの一言を入れるだけで、印象が大きく変わります。

例:「今日はこの場に参加できて、とても嬉しいです」「いつも周りの方々に助けていただいて、感謝しています」

出会えたことや参加できたことなど周囲への感謝を忘れず、言葉にする。

心の奥でそういう気持ちは誰しも持っているものですが、うっかり言葉にせず、終わらせてしまいがち。

ですので、忘れずに言葉にしておけば、自己主張が強すぎず、親しみやすい雰囲気が生まれます。

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★自分の弱みや失敗談を少し入れる

完璧な人は近寄りがたいもの。実際、完璧な人間はいませんから、その点を自然に表すと、共感が湧きます。

自己紹介でもちょっとした失敗談や弱みを話すという方法があります。

例:「実は、人前で話すのが苦手で…」「覚えが悪いので、みなさんの名前を間違えたらごめんなさい(笑)」

こうしたフレーズを入れると、「この人も普通の人なんだな」と感じてもらえます。

この件については、ぜひ、同じ人間なんだ、という視点で考えていただきたいです。

わざと共感を引き出そうとしたり、ダメなところを見せることで下手に出る、といったような感じではなく……ですね。

失敗談に関しては、念の為、それを話して、あとあと問題になったりしないか? リスクも含めておいてください。

多くの場合、個人的な話題なら問題ないでしょう。

★自分より相手に興味を持つ姿勢を見せる

自己紹介は、あくまでもコミュニケーションの「始まり」です。

自分のことを話しすぎず、「みなさんに興味があります」という視点を持つことができれば、自然と、人としての謙虚さが感じられます。

例:「私の話はこのくらいにして…皆さんのお話もぜひ聞かせてください!」

実際、こう話している人がいました。「この人、話しやすそうだな」と感じられますよね。

★謙虚な自己紹介の例

「はじめまして。〇〇と申します。〇〇の仕事をしていますが、まだまだ勉強中です。

幸いなことに、周りの方々に支えていただいて、日々学ばせてもらっています。

実は、初対面の場はちょっと緊張してしまうんですが、皆さんとお話しできるのを楽しみにしています。

もし何か失礼があったら、お気軽に教えてくださいね。どうぞよろしくお願いします!」

このように、人として素直に謙虚さが伝わる自己紹介をすると、相手に好印象を持ってもらいやすくなります。

「すごい人」と思われるより、「話しやすい人」と思われる方が、上司と部下だとしても、一緒に働きたくなりますし、長期的な人間関係もうまくいきそうですね。

次の号外では、また新しい切り口で自己紹介を深掘りします。

きっと、試してみたく方法があるはずです。どうぞお楽しみに!

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image by: Shutterstock.com

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清泉女子大学英文学科卒後、大手印刷関連会社で勤務。その後、ジャズボーカリストの夢を叶えるが、挫折。外資製薬会社に転職しマーケティング部でハードな業務に取り組む中、外国人のスピーチやプレゼンに多く触れ、日本人リーダーの発信力向上の必要性を痛感。30年以上に渡る声の経験にマーケティング、イメージコンサルティング、コーチング、リーダーシップ各論を掛け合わせ、2011年「ボイスイメージ®コンサルティング(VIC)」メソッドを開発して独立。業務で聞いたクライアントのスピーチプレゼンの数は1万回以上(延べ数)。顧客の可能性を引き出すスパルタトレーニング、わかりやすい理論と分析、柔軟に対応できるコンサルティングを得意とする。

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