消化がよいものとして知られるうどんやお粥ですが、実は消化に時間がかかるということをご存知でしょうか。メルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』著者で糖尿病専門医の江部康二先生は、内視鏡専門医の福島正嗣医師による解説を引用しながら「消化のメカニズム」について紹介しています。
炭水化物は、タンパク質や脂質に比べて消化が悪い(遅い)?
【読者からのご報告】
4年ほど前から糖質制限してますが、真っ先に逆流性食道炎が治りました。
これは、単純に炭水化物が消化が悪い事に原因があるのではないでしょうか。
肉などタンパク質はあっという間に消化されますが、米、うどんなど、一見消化に良さそうな物は、胃の中で6、7時間以上とどまっているようです。
内視鏡で見ると、米だけ残ってるそうです。
https://www.endoscopyclinic-urawa.com/blog/2843/
当然、その間、ちょっとした原因で逆流する事は充分考えられます。
【江部先生からのメッセージ】
『炭水化物は単純に消化が悪い(遅い)ので、単純に胃の中に残留しやすく、残留物がちょっとしたきっかけで逆流するのではないか』
というご意見を頂きました。
私も、炭水化物の消化の悪さが逆流性食道炎の発症に関与している可能性があると思います。
ご紹介頂きました、みらい胃・大腸内視鏡クリニックの院長ブログを拝見しました。
非常に参考になりました。
胃、大腸内視鏡検査専門クリニックで、院長は福島正嗣医師です。
福島正嗣先生、ありがとうございます。
みらい胃・大腸内視鏡クリニック
https://www.endoscopyclinic-urawa.com/blog/2843/
この記事の著者・江部康二さんのメルマガ
福島正嗣医師は、長年の内視鏡専門医としての診療経験に基づき、うどん、そば、ご飯、おかゆなどの炭水化物が、胃での消化に最も時間がかかるとのご意見です。
研究によるデータでもご飯は10時間、パンは6時間かかるということですが、一方、肉はあっという間に消化され、30分もあれば完了するそうです。
福島医師が、寿司を食べて5時間後の方の、胃カメラをしたところ、寿司ネタは残っていませんでしたが、ご飯だけが残っていたそうです。
要するに、タンパク質と脂質は胃で速やかに消化されて通過していくけれど、糖質は数時間以上も胃の中の残留して消化されにくいということです。
一般に、重湯やお粥やパンがゆなどは、消化に良いイメージがあり、風邪のときの食事などに、よく作られますが、実は真逆で、最も胃にもたれるメニューだったということですね。
人類は、700万年間、穀物なしの糖質制限食で生活していました。
農耕が始まるまでは木の実・ナッツ・魚貝類・果物・野草・自然薯など塊茎類・小動物・動物の肉・内臓・骨髄・昆虫などが日常的な食料ですで、この頃の食生活で糖質の占める割合はごく少なかったと言えます。
- 木の実やナッツに少量の糖質が含まれています。
- 果物は野生の果物なので糖質量は現代の巨大な果物に比べればかなり少ないです。
またこれらはそれぞれたまに手に入るラッキー食材であり、日常的な食糧ではありません。
なお人類はDNAの中にアミラーゼ遺伝子のコピーを多く持っているので、農耕(穀物)以前に、塊茎類(山芋、百合根、ゴボウ、レンコンなど)を
そこそこ食べていたと思われます。
穀物には大量の糖質が含まれていますが、穀物摂取は、わずか1万年前からに過ぎません。
結局、人類の消化管は、元々食べていた農耕前の食材のほうが穀物よりも消化しやすいということなのでしょう。
肉食は、200-300万年前に開始されて、この頃、脳が急速に大きくなったとされています。
この記事の著者・江部康二さんのメルマガ
image by: Shutterstock.com