米国で起きたチャーリー・カーク氏暗殺事件は、単なる一政治家の死にとどまらず、保守派とリベラル派の対立をさらに激化させています。特に注目されるのは、「Woke」という言葉をめぐる議論の広がりです。メルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』の著者・大澤裕さんは今回、チャーリー・カーク氏の死をきっかけに生み出された新たな動きについても語っています。
発言を始めた米国保守派とWoke
日本ではあまり報道されていませんが、有力なトランプ支持者で暗殺されたチャーリー・カーク氏をめぐる騒動は米国の分断をさらに深刻にしています。
カーク氏は早い時期からトランプを支持し、彼の政策を積極的に擁護しました。
不法移民に対する厳しい政策を求めて「Wokeは国を壊す」などの発言を繰り返していたのです。
このWokeとはなんでしょうか?
本日ご紹介するのは関連してニューヨークタイムズ9月19日の記事です。
記事抜粋
「カーク氏の暗殺で『目覚めた右派‘Woke Right’』の台頭も」
保守派は、チャーリー・カーク氏について否定的な発言をした者たちに対する処罰を求めています。しかし、その保守派の一部では、言論の制限を懸念する声も上がっています。
保守派のタッカー・カールソン氏は今週、リスナーに対して、カーク氏は自分の死が言論弾圧の口実として利用されることを決して望んでいなかっただろうと語りました。
「彼の殺害後に見られる混乱が、1年後にはこの国にヘイトスピーチ規制法をもたらすために利用されないことを願います」とカールソン氏は述べた。
解説
「Woke(ウォーク)」という言葉は、「目覚めている」という意味から派生し、社会的不正や人種差別に敏感であることを指しました。
特に「Black Lives Matter」運動の中で「Stay Woke!(不正に気づいていろ)」というスローガンが使われ、社会的正義を重視する言葉として広まりました。
当初は肯定的に受け止められ、差別や不平等に立ち向かう「意識の高さ」を表す表現でした。
しかし、近年は「行き過ぎた政治的正しさ(ポリティカル・コレクトネス)」や「極端なリベラル思想」を批判するラベルとして使われています。
「Black Lives Matter」運動でもわかるようにWokeの声は大きいです。
本記事の「目覚めた右派‘Woke Right’」とは、「チャーリー・カーク氏の死を中傷するような発言を許すな」と言い始めた保守派の過激な右派を指しています。
それは、「カーク氏がもっとも望まなかった言論封鎖につながるかもしれない。大衆の信頼を失ったWoke(過激な民主党左派)と同じようになる」と保守派自身が心配しているという記事なのです。
チャーリー・カーク氏の暗殺がもたらした大きな変化は、今まで黙して語らなかった保守派・トランプ支持者が自らの意見を大きな声で話はじめたという事です。
(または彼らの意見を報道せざるを得なくなったといってもよいかもしれません)
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