「日本を、もう一度世界の主役に」——ソニー、グーグルを経た辻野晃一郎が、いま「水素」に懸ける理由

2026.09.25
by まぐまぐニュース スタッフ
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クリエイターの発信を支える「まぐまぐ」の提供でお送りするラジオ番組『Why So Good?』(interfm)。番組MC・越川慎司氏(株式会社クロスリバー 代表取締役)とアシスタントMC・上條美沙子氏が、毎回異なるゲストを迎え、その人が「何をやっているか」ではなく「なぜそれに至ったのか」を掘り下げていく30分番組だ。ビジネスの成功談だけでなく、その裏にある個人的な原体験や葛藤にまで踏み込むのが、この番組らしさでもある。

今回のゲストは、アレックス株式会社 代表取締役社長兼CEOの辻野晃一郎氏。慶應義塾大学大学院工学研究科を修了後、ソニーに入社し、VAIOやデジタルTV、ホームビデオ、パーソナルオーディオなどの事業責任者・カンパニープレジデントを歴任。2006年にソニーを退社し、翌年グーグルに入社、2009年にグーグル日本法人代表取締役社長に就任した。2010年にグーグルを退社し、現在のアレックス株式会社を創業した経歴の持ち主だ。現在は同社の経営に加え、2022年よりSMBC日興証券の社外取締役、2023年からは北九州市のアドバイザーも務めている。著書に『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』(新潮社)などがあり、まぐまぐでは『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』を配信中。まぐまぐ大賞2024・2025で2年連続総合大賞を受賞し、殿堂入りを果たしている。

そんな辻野氏が、ソニー・グーグルという二つの巨大企業で見てきた「日本の凋落」への歯がゆい思いと、そこから生まれた越境ECプラットフォーム「ALEXCIOUS」の構想、そして近年力を入れる水素酸素発生器の事業について語った回をお届けする。IT業界の第一線を走り続けてきた経営者が、なぜ今「水素」という物質にたどり着いたのか。その道筋を、対談の中からたどっていきたい。

外資2社のトップを渡り歩いた男が、起業で見つめ直した「日本」

越川氏がまず口にしたのは、率直な憧れの言葉だった。

越川: いや、もう興味津々。僕にとっては個人的にも憧れの先輩なので、辻野さんというとグーグルのイメージが強くて。実はこの収録の前にもちょっとお話で盛り上がったんですけど、結構共通の知り合いがいたりとか、シアトルの郊外でちょっとすれ違ってたんじゃないかみたいな、そんな話なんですけども。今日はその、ソニーでも手腕を振るわれた辻野さんが、今様々な事業に取り組まれている中で、その一つとして水素酸素発生器の取り組みをしているっていうところをぜひ掘り下げていきたいなと思うんですけども。

辻野: ちょっと遡ったお話をすると、僕はグーグルを辞めた後、もう自分で起業しようっていうのは前から思ってて。ソニーを辞めた時は、正直すごく挫折感を持って辞めたんですけど、そこから立ち直って、たまたまグーグルに拾われてしばらくいたんです。ソニーが当時どんどんダメになっていく中で、グーグルは綺羅星のように現れて瞬く間に上り詰めていく。そのインサイダーとして中に入ってみるのもいいんじゃないかと思って飛び込みました。

グーグル在籍中、辻野氏は日本企業の構造的な課題と、グーグルがあれだけ急成長した理由の両方を、内側から見ることになったという。

辻野: ソニーがあれだけ輝ける日本企業だったのに、どんどん凋落していく。一方でグーグルは飛ぶ鳥落とす勢いでどんどん上っていく。なんであれだけ輝いてた日本がここまで凋落して、グーグルみたいな会社にかなわない状態になってるんだろうっていう、一抹の悔しさがずっと残ったんですよね。当時は、日本の大企業が束になってかかっても、もうグーグルみたいな会社には勝てないなという思いを強く持ったので、辞めた後は何かしら日本を世界に向けて盛り上げるようなことをやりたいと思ったんです。

だが、辻野氏が選んだのは大企業と同じ土俵で戦う道ではなかった。

辻野: 大企業がやってるような領域じゃなくて、僕はずっと外向きに仕事をしてきたので。例えば伝統工芸品とか日本酒とか、日本が生み出したんだけど、ローカルに埋もれているもの。全国区にすらなっていないけど、もっと世界に紹介したら興味を持ってもらえるんじゃないかと思ったんです。それで越境ECのプラットフォームを作って、全国津々浦々の工芸品とか、家内工業的にやっているようなものを集めてきて、ロングテールのものばかりだけど、それを束にして「オールジャパン」のプラットフォームにしたら、点が面になって世界で戦えるようになるんじゃないかと思って、越境ECをまず始めたんです。

越川: そうすると、海外の方々がまず日本の財産に気づくことと、それを入手可能になるっていう、そのプラットフォーム事業をやられたってことですね。

辻野: そうですね。それと、世の中の価値観も資本主義が行き着くところまで行って、ちょっといろんな巻き戻しっていうか、そういう雰囲気を感じていて。ここでやっぱり出番は日本の出番なんじゃないかって思ったんです。

これが、現在アレックス株式会社が展開する越境ECプラットフォーム「ALEXCIOUS」の原点にあたる。

「日本的な価値観を、日本の中だけに閉じ込めておくのはもったいない」

辻野: 世の中の価値観も、資本主義が行き着くところまで行って、いろんな巻き戻しの雰囲気を感じていて。ここでやっぱり出番は日本なんじゃないかと思ったんです。今までグローバルスタンダードというと、アメリカの流儀を押し付けられたみたいな感じだったけど、そうじゃなくて、各国がいろいろ違うんだから、その違いを組み合わせるみたいな形のグローバリゼーションが本来の姿なんじゃないかと。その中で、日本の価値観、例えば「三方よし」なんかは一種独特のものがあって、これをもっと世界に広めていったらいいのにと思ったんです。

「ALEX」に込めた思い——伝統工芸からヘルスケアまで、日本の価値を束ねる

アレックス株式会社は2011年に設立趣意書を策定し、「日本の優れた人材、アイデア、コンセプト、デザイン、技術、製品、文化、生活習慣を積極的に世界に発信して、日本がふたたび世界に貢献する優れた国家としての基盤を取り戻す」ことを掲げてきた。社名の「ALEX」も、世界中の人々が呼びやすい人名のニックネームをイメージしつつ、A=まったく新しいことへの挑戦、AL=生き生きとした人生(Active Life)、EX=新たな感動体験(Experience)・実行(Execution)・未知の探求(Exploration)といった意味を込めて名付けられたという。

現在同社は、越境ECプラットフォーム「ALEXCIOUS」による事業、ヘルスケア事業、そして辻野氏自身の講演・メルマガ配信を軸とするメディア事業の3本柱で展開しており、取引先はすでに世界100カ国以上に広がっているという。水素酸素発生器も、このヘルスケア事業の中核商材のひとつとして位置づけられている。

一見、伝統工芸品の越境ECと水素の健康機器は畑違いの事業に見える。だが、辻野氏の中では両者は地続きだ。「日本に根差しているのに、世界にはまだ知られていない価値がある」という着眼点は、伝統工芸にも、そしてこの日の対談の主題である水素にも共通している、というのが辻野氏のスタンスだ。

ソニーとグーグル、”黒船”が教えてくれたグローバル経営の作法

越川氏の問いは、辻野氏がなぜそこまで世界基準で物事を見られるのかに及んだ。

越川: そのすごく興味深いのが、視座の高い話をされてるのがすごく刺激的なんですよね。グーグルとはいえ、その日本法人の売上・利益をちゃんと達成しなきゃいけない中で、近視眼的に短期的なPLとかBSに興味を持たざるを得ないと思うんですが、日本とか、世界から見た日本という風に視座が上がる原因って何なんですかね。

辻野: 視座が上がるというか、僕はソニーにいたおかげもあるかもしれないですけど、最初からグローバル目線が強かったんです。ソニーって昔「ミラー戦略」という言葉があったんですけど、創業者の一人である盛田さんが、トランジスタラジオをアメリカに最初に売りに行ったんですよね。それで門前払いを食らいながら、最後にOEMで買ってやるという話が出てきたんだけど、それを断るんですよ。ソニーブランドでしか売らないんだと突っ張って。それでアメリカでソニーブランドが確立してきたら、日本でも売れるという、そういう考え方だったんです。インターネットもない時代に、日本で売るより先にアメリカで売りに行った。並の経営者じゃないなと思いました。

越川氏も、自身の経験を交えてこのエピソードに反応する。

越川: ソニーは海外をターゲットにしてましたもんね、もともと。

辻野: 目に見えて日本ブランドの存在感がどんどん薄まっていって、そこに韓国ブランドがのし上がってきた、まさにその時代を僕は現役で見てきたんです。ちょっと言い方が難しいですけど、僕がソニーにいた頃は、韓国とか中国勢というのは全く視野に入っていなかった。だけど今はそれが真逆になってしまった。車も含めてですね。

越川: でも確かに、辻野さんとちょっと接点がある理由が、シアトル郊外のベルビューというところにマイクロソフトのオフィスがあるんですけど、そこに高級ホテルがいくつかあって、そのテレビはソニーだったんですよ。違うところは韓国、中国製で。それが2010年代ぐらいになってくると、高級ホテルのテレビも韓国製になっちゃってるんです。日本人として悔しいですよね。

日本マイクロソフトで長年キャリアを積んできた越川氏にとっても、この光景は他人事ではなかったのだろう。二人が異なる立場から見てきた「日本ブランドの後退」という共通体験が、収録冒頭のシアトルをめぐる雑談を、単なる社交辞令以上のものにしていた。伝統工芸やものづくりを世界に届ける越境EC事業は、こうした「日本の存在感低下」への忸怩たる思いから生まれたビジネスだった、と辻野氏は振り返る。

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「健康オタクの祖父」が原点——辻野晃一郎と水素の出会い

話題は、越川氏が最初に切り出した「水素」へと移っていく。

越川: そこから、水素酸素発生器の話になるんですか。

辻野: 水素は、実は起点は別なのかもしれなくて。僕は結構、もう小さい時から健康オタクで、祖父がすごい健康オタクだったんですよ。変なサプリを見つけてきては、孫にすごい飲ませる。「ササロン」っていう、笹の葉を粉にしたようなものがあって、風邪をひいてる時にササロンを蜂蜜と牛乳で溶いて飲むと、風邪が治ったりした。他にも、海藻を粉にした「アルカロン」というものも、小さい頃によく飲まされていました。祖父は発明家気質でもあって、空気清浄機を自分で作ったりしていたので、健康意識みたいなものが小さい頃からあったんだと思います。色のついた飴を食べていると怒られるような家庭でした。

上條: 人工着色料の。でも子供にとって魅力的なお菓子って、大体カラフルなものが多いんですよね。

辻野氏によれば、水素そのものへ関心を向けた直接のきっかけは複数あったという。

辻野: ある方が突然、水素マシンをくれたんですよね。体にいいから吸ってみたらどうか、ということで。それが一つのきっかけになったのと、もう一つは、母親が結構若くして、癌で亡くなったことです。僕が30代前半で、ソニーで現役で働いていて超忙しい時期に母親が癌になったんですが、絶対治ると思っていて。ある時、病院に付き添って行ったら、主治医から余命3ヶ月と言われて、愕然としました。そこから初めて、母親を助けようと代替療法をいろいろ調べたんです。

越川: 藁をもすがりたい状態ですよね。

辻野: そうですね。でも結局救えなくて。その時は水素のことはまだ全然知らなかったんですが、その後、50代後半で今度は親友を膵臓癌で亡くしたんです。母親が亡くなってから親友が亡くなるまで、30年、40年経っているのに、癌の治療法がほとんど変わっていないと感じて。

越川: 当時とあまり変わらない。

辻野: あまり変わらないんです。手術、放射線、抗がん剤という三大治療が中心で、免疫療法のような新しい技術が出てきてはいるものの、保険適用の壁が高くて、なかなか広がっていかない。それでいろいろ調べ始めて、免疫療法をやっている熊本のクリニックで、水素吸入を併用しているところをネットで見つけたんです。直接連絡して、そのクリニックに通いながら、実際にどんな治療をしているのか教えてもらいました。

辻野氏いわく、当初はまったくの門外漢だったという。医師でも研究者でもない一人の経営者が、なぜそこまで免疫や水素の勉強に踏み込んだのか。その原動力は、やはり母と親友を癌で亡くした経験にあったようだ。

辻野: 熊本には毎月のように通って、実際に臨床でどんなことをやっているのか、現場で聞かせてもらいながら、自分でも独学で免疫について勉強しました。専門家ではないので、最初はわからないことだらけでしたが、通い続けるうちに、既存の治療に水素吸入を組み合わせる考え方の理屈が見えてきたんです。

免疫療法×水素——辻野氏が語る「強い仮説」

ここからは、辻野氏自身がこれまで学んできたという水素の作用機序についての説明が続く。番組内でも触れられている通り、これらはあくまで辻野氏が独学と現地取材を通じて紹介した見解・仮説であり、放送内で臨床的な有効性が第三者機関によって検証されたものではない。個別の疾患・症状への効果を保証する内容ではなく、あくまで辻野氏が番組内で共有した情報として読んでいただきたい。

辻野: そこから免疫の勉強を自分でも独学でして、熊本に毎月のように通って、実際に臨床でどんなことをやっているのか聞いていました。基本的な免疫療法なんですが、そこに水素吸入を加えると、既存の治療の効果が数倍に高まるケースがある、という話を現地では聞きました。

越川: それは西洋医学的にも検証結果があるということなんですね。

辻野: 水素に関する医療論文は、今もう2,000本、3,000本という数が出てきていて、医療の分野でもすごく研究が進んでいます。水素は最終的には免疫細胞を活性化するので、免疫療法の効果が上がるというのは理にかなう話だと言われています。ただ、水素の効能について、その機序自体は徹底的にはまだ解明されていない部分もあると聞いています。それでもかなりいろいろな分野・疾病に効果があるのではないかということが、多くの論文で言われている、という状況です。

辻野氏によれば、水素をめぐる医療分野での研究は、免疫療法との組み合わせにとどまらない広がりを見せているという。免疫療法の分野に限らず、認知機能や血流、眼の健康など、幅広い領域での可能性が研究者の間で論じられていると紹介した。番組内でこれらが具体的な臨床データとともに検証されたわけではなく、あくまで辻野氏が独学で得た知見の紹介である点は、繰り返し補足しておきたい。

辻野: 例えば軽度認知症にも良いのではと言われていて、その理由として挙げられているのが抗酸化作用です。水素は酸素とくっついて水になる。酸素は生きる上で重要な一方、悪玉の活性酸素を作ってしまって、それがDNAや細胞を傷つけ、炎症を起こす原因になるとも言われています。それを防ぐのに抗酸化物質が有効とされていて、ビタミンCやポリフェノールなどが知られていますが、水素分子もその一つとして注目されている、ということですね。しかも水素は、活性酸素の中でも悪玉のものだけを選択的に退治してくれるという説明も、現地では受けました。

「悪徳業者もいて、水素に罪はないのに、変なイメージがついちゃった」

水素水ブームをめぐっては、含有量の実態や表示のあり方について、当時さまざまな指摘がなされたことは広く知られている。辻野氏の説明も、そうした過去の経緯を踏まえたものだ。

血流についても、辻野氏は自身が学んだ範囲での説明を加える。

辻野: 血流の改善についても、抗酸化作用に加えて、血管の内皮細胞に水素が作用してNOが生まれ、それが血管を拡張させる、という説明を聞きました。血流が良くなることで、白内障や緑内障といった目の症状にも良い影響があるのでは、という声もあるそうです。健康な人が吸ってもすぐには実感しにくいそうですが、よく眠れるようになった、運動後の疲れが取れやすくなった、二日酔いになりにくくなった、という体感の声も聞いていると話していました。

「水素水」はなぜ誤解されたのか——吸入という選択

一方で辻野氏は、水素をめぐる「誤解の歴史」にも触れた。

辻野: 一時、水素水のブームがあった時に、めちゃくちゃネガティブな印象・レッテルが貼られてしまったんです。水素は軽いので、水に溶かしてもどんどん抜けていくし、そもそも溶けにくい。1.6ppmぐらいしか溶けないと言われていて、溶けてもすぐ抜けていくから、ペットボトルなどに入れていても、飲もうとする頃には抜けてしまっている。それに加えて、水素を全く含んでいないのに「水素水」と称して売る悪質な業者も出てきてしまった。それで水素に罪はないのに、水素そのものに変なイメージがついてしまったんです。

越川: わかんないですもんね。

辻野: だから僕が今注目しているのは、水に溶かして飲む方法ではなく、電気分解で発生させた水素を鼻から吸入する方法なんです。吸入だと、圧倒的に多くの水素を体内に取り込めます。飲んでも消化器系で吸収率はかなり微量なので、それでも一定の効果はあると言われていますが、鼻から吸うと脳を含めて全身に行き渡るという説明を受けました。脳は血液脳関門というバリアで守られていますが、水素は最も軽量な元素なので、そこを通過できるんだそうです。

化石燃料の代替として語られることが多い水素だが、健康分野での可能性は世の中にあまり知られていない、と辻野氏は指摘する。

辻野: 水素というと、クリーンエネルギーの文脈でメディアに取り上げられることが多いですよね。エネルギー用に作られる水素にはいろいろ有害なものも含まれているんですが、実は人生100年時代に貢献する可能性のある物質でもあるということは、あまり知られていないんです。

予防医療という未来像——「未病の段階で、水素が役立つのではないか」

対談の終盤、話題は辻野氏が見据える社会像へと広がっていく。

辻野: 今は自分の会社で機器を扱ったり、メッセージを発信したりというところが、自分にできる限りの広め方なんですが、本来であれば、この考え方を理解する人がどんどん増えて広まっていくと、健康長寿社会の実現につながるはずなんです。今、公的医療費もどんどん上がって大変じゃないですか。一番いいのは、病気にならない社会を作ることだと思っていて。

越川: そうですね、予防医療ですよね。

辻野: 医療の世界は、実際に病気が顕在化してから出番になるので、予防のところはこれまであまり研究されてこなかったんです。だけど本当は、未病の段階、病気が顕在化する前に健康な状態に戻した方がいい。健康か病気かはグラデーションのようになっているので。

高齢化が進み、公的医療費の増加が社会的な課題として語られる中、「治療から予防へ」という発想の転換は、辻野氏に限らず近年広く議論されているテーマでもある。辻野氏はその文脈の中に、水素という選択肢を位置づけている。

「未病の段階で、健康な状態に戻す。そこに水素が役立つのではないかというのが、今の強い仮説なんです」

上條氏も、この日語られた内容の幅広さに驚きを口にした。

上條: 本当に、認知症だったりとか、目が良くなる方もいるとか、いろんなことに衝撃を受けました。

辻野: そうですね、血流も改善すると言われているので、抗酸化作用に加えて、そういった全身への広がりの可能性がある、というところが水素の面白いところだと思っています。

がん治療についても、辻野氏は自身の見立てを添えた。

辻野: 免疫療法など新しい技術は出てきていますが、保険適用の壁がまだ高くて、保険が使えるがん治療というと、この三大治療に、最近ようやく免疫治療が少し入ってきたぐらいの状況です。時間が止まっているような感覚があります。

なお、本稿で紹介した水素の作用に関する内容は、あくまで辻野氏が番組内で語った見解・仮説であり、疾患の治療や予防効果を保証するものではない。持病がある方や治療中の方が水素吸入などの健康法を取り入れる場合は、自己判断せず、まずかかりつけの医師に相談することが望ましい。

感度の高いビジネスパーソンへ——引き続きウォッチしたいテーマ

越川氏は、この日語られた内容を、感度の高いリスナーへのメッセージとして締めくくった。

越川: これはぜひ、感度の高いビジネスパーソンが今聞いていると思うので、引き続きウォッチしていただきたいテーマですね。

上條: ですね。今、研究もどんどん進んでいらっしゃるみたいな話もありましたよね。

越川: 辻野さん、これメルマガの中でもそういったお話をされているんですか?

辻野: メルマガの中でも何回か取り上げています。

対談の中で辻野氏が繰り返し強調していたのは、水素が「まだほとんど知られていない」という現状だった。エネルギー分野での注目度に比べ、健康分野での認知度は依然として低く、水素水ブームの反動で抱かれたネガティブなイメージも根強い。辻野氏がメルマガや自社の情報発信を通じて伝え続けているのは、そうした誤解を解きほぐしながら、水素という物質の可能性を正しい形で知ってもらうことのようだ。

越川: じゃあ手っ取り早いのは、メルマガを購読していただくのがいいかなと思います。ITの話から一気に壮大な話になってきて、興味が尽きないんですが、もうあっという間に時間が経ってしまいましたね。

辻野氏のメルマガ『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』は、政治・経済・テクノロジーから人生哲学まで幅広いテーマを扱っており、水素についても複数回取り上げられているという。ソニー、グーグルという2社での現場経験を土台に、経営から国内外のテック最前線までを語る内容は、まぐまぐ大賞を2年連続で受賞するなど、多くの読者から支持を集めている。

二つの事業をつなぐ、一貫した問い

越境ECの「ALEXCIOUS」と、ヘルスケア事業の水素酸素発生器。事業内容だけを見れば接点は薄いように映るが、対談を通して浮かび上がったのは、辻野氏の中にある一貫した問いだった。「日本にはまだ世界に知られていない価値がある。それを、正しい形で、正しく届けるにはどうすればいいか」——伝統工芸品においても、水素という物質においても、辻野氏はこの問いに向き合い続けている。ソニー、グーグルという二つの外資系企業のトップを渡り歩いた経験は、単なる経歴上の肩書きではなく、「世界基準で日本を見る」という一貫した視座を、辻野氏に与え続けているようだ。

ソニー、グーグルという二つの時代の象徴的企業でトップを経験した人物が、いま「日本の価値を世界へ届ける越境EC」と「未病の段階で身体を整える水素」という、一見離れた二つのテーマに情熱を注いでいる。その背景には、常に「世界から見た日本」を意識し続けてきたキャリアの一貫性があった。祖父の健康志向、母と親友を癌で亡くした経験、そして外資系企業のトップとして培われたグローバルな視座——辻野氏個人の半生をたどると、越境ECと水素酸素発生器という二つの事業は、どちらも「日本発の価値を、世界基準で正しく届け直す」という一本の軸でつながっていることが見えてくる。

●辻野晃一郎さんのメルマガはこちら(https://www.mag2.com/m/0001696868)

番組概要

  • 番組名:Why So Good?
  • 放送局:interfm
  • 放送日時:毎週木曜25:00~25:30
  • 出演:越川慎司氏(株式会社クロスリバー 代表取締役)
       上條美沙子氏
  • ゲスト出演:辻野晃一郎氏(アレックス株式会社 代表取締役社長兼CEO)
  •       - 公式サイト:https://www.alex-x.com/ja/
  • プロデューサー:エダコDX
  • ラジオ本編はこちらから https://www.interfm.co.jp/whysogood 
  • interfm(東京:89.7MHz 横浜:76.5 MHz) https://www.interfm.co.jp/
  • 番組TikTok(https://www.tiktok.com/@whysogood_radio)

※本記事は、トーク番組「Why So Good?」の放送内容をもとに再構成したものです

 

 

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