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「トランプ政権を変えろ!」アメリカ国民に「公開書簡」で直接語りかけたイランが狙う、“交渉相手の背後”を揺さぶる手法

長年に渡り中東の安全保障を支えてきた一方で、同地域への直接的な軍事関与を縮小しつつあるアメリカ。そんな中にあって、世界のエネルギー供給を支える重要な二つの海峡で緊張が高まり、周辺諸国が新たな対応を迫られる事態となっています。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦が読み解く国際情勢の裏側戦略インテリジェンス・レポート』では元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、議題そのものを巡って対立する米イラン交渉と、イエメンで拡大する軍事衝突の実態を分析。さらにイラクからの米軍撤収が国際社会にもたらす影響等について考察しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:空いた操縦席-二つの海峡、陸へ移る戦場、そして誰が操縦桿を握るのか

空いた操縦席-二つの海峡、陸へ移る戦場、そして誰が操縦桿を握るのか

高度約3万4,000フィートを飛んでいた旅客機が、30秒足らずで約1万4,000フィートも降下しました。9月30日、ドバイ発テルアビブ行きのフライドバイ機の操縦室で、オマーン国籍の副操縦士が機長に襲いかかったのです。

UAE(アラブ首長国連邦)の検事総長は10月3日、副操縦士が操縦室に備え付けの非常用の斧を使って操縦桿を奪おうとした「テロ行為」だったと発表しました。

重傷を負った機長が自ら操縦室の扉を開け、乗客と乗員が副操縦士を取り押さえました。取り押さえに加わったイスラエル人の乗客の一人は、空いた操縦席で操縦桿を引き、機体を少し立て直したと記者団に語っています。

機体はその後、機内に乗り合わせていたフライドバイの予備の操縦士2人が操縦を引き継ぎ、サウジアラビア北西部のタブーク空港に緊急着陸させました。乗っていた人の多くはイスラエル人で、降り立ったのは、イスラエルと国交のないサウジアラビアの空港でした。

「操縦席にいるはずの者が操縦桿を手放したとき、誰がそれを握るのか」

この問いは、今週の世界、とりわけ中東にそのまま当てはまります。米国は9月30日にイラクでの対IS(イスラム国)軍事任務を終えて部隊を引き揚げ、紅海ではサウジアラビアを「後ろから」支えるにとどめています。

その一方で、サウジアラビアが支えるイエメン政府はフーシ派への大規模な作戦を始めたと発表し、トルコとパキスタンはサウジアラビアへの部隊の展開に向けた措置をとると表明しました。ホルムズ海峡に加えて、バベルマンデブ海峡というもう一つの海峡が、本格的に戦いの焦点になったのです。

今号では、「誰が決め、誰が責任を負うのか」という一点に絞って、中東の二つの海峡とイラクを中心に読み解いていきます。そのうえで、ロシアと欧州、そして日本に跳ね返ってくる問題を取り上げます。

【1.核か、海峡か-膠着する米イラン交渉】

前号で私は、米国とイランの交渉が「どちらが先に動くか」という順番の壁にぶつかっているとお伝えしました。今週、交渉はその壁の前から、さらに一歩後退したように見えます。

【関連】「トランプと習近平の握手」と「一度も“台湾”の文字が出なかった」の裏側。米中首脳会談で先送りされた争点が迎える“次の期限”

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【1-1.議題そのものが割れた】

イランのバガイ外務省報道官は10月4日の定例会見で、米国の提案は「依然として核問題が中心だ」と述べ、イランの主な関心はホルムズ海峡にあるという立場を示しました。

同報道官は、核問題を制裁の緩和と交換する協議には原則として入っていないとも述べ、追加の見解を今後伝えるとしています。

同じ日、ガリバフ国会議長は、米国がイスラマバード覚書に基づく七つの条件を受け入れるまで、ホルムズ海峡は閉じたままだと主張しました。

ここで注意したいのは、この発言と、海峡の現場の状況は別物だという点です。海峡は完全に閉じているわけではなく、各国のタンカーは革命防衛隊の威嚇や攻撃の危険にさらされながら通航を続け、米国はイランの港を封鎖しています。

ガリバフ議長の言葉は、海峡の通航を米国との取引材料として手放さないという意思の表明と読むのが正確です。

翌5日には、ペゼシュキアン大統領が、交渉には「意味がない」とまで述べました。

米国の側では、バンス副大統領がロイター通信のインタビューで、核兵器を望まないのなら60%の濃縮ウランがなぜ必要なのかと問い、言葉と行動を交換するつもりはないと述べています。トランプ大統領も、イランでは一体誰が仕切っているのか分からないと、交渉相手そのものへの不信を口にしました。

イランの外務省は、米国の当局者の立場が食い違い、発信がちぐはぐだと反論しています。

先週までの争いは、海峡の通航の回復と封鎖の解除のどちらを先にするかという順番の問題でした。しかし今週は、そもそも何を交渉するのか、核なのか海峡なのかという議題の入り口で、双方が割れています。

交渉の現場では、議題で合意できない段階は、順番で揉める段階よりも、さらに前の段階です。

【1-2.扉はまだ閉じていない】

それでも、扉が完全に閉じたわけではありません。同じ10月4日の会見で、バガイ報道官は、イランが持つ60%の濃縮ウランをロシアが引き取るという提案について、「国益に基づいて検討している」と述べたからです。

また、米ブルームバーグ通信は10月1日、アラグチ外相が国連総会の際に欧州や中東の外交官に対し、制裁の緩和と引き換えに、爆撃を受けた核施設へのIAEAの査察官の立ち入りを認める考えを非公式に示したと報じました。

イランの国営通信はこの報道を同じ日に否定しており、確認された事実ではなく、観測気球の一つとして受け止めるべきでしょう。ただ、ペゼシュキアン大統領も9月下旬、米CBSテレビのインタビューで、査察官の受け入れについて問われ「その通りだ」と答えていました。

「公の場で強硬な言葉を並べながら、水面下では濃縮ウランの扱いと査察という核心の部品を少しずつ机に並べ始めているのではないか」

今のイランの振る舞いからは、そのような二重の構えがうかがえます。

ロシアのウラン引き取り案は、核の議題を海峡の議題から切り離して動かすための器になり得ます。

ただし、そのロシアについては、イランの超音速巡航ミサイルの開発を秘密裏に支援してきたと、英フィナンシャル・タイムズ紙が9月上旬に報じています。報道が事実であれば、ロシアは片手で武器の技術を渡しながら、もう一方の手で仲介者の顔をしていることになります。

仲介者を選ぶときに、その仲介者が誰の利益を背負っているのかを見極めることは、調停の基本中の基本です。

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【1-3.二つの時計】

議題で割れた交渉を前に進めるには、議題を一つにまとめるのではなく、二つの議題に別々の「時計」を与えるのが有効です。

ホルムズ海峡については、特定の航路の安全の保証と封鎖の一部の緩和を、中立の第三者の確認のもとで同時に進める短い時計を用意します。核については、60%の濃縮ウランの国外への搬出と査察の再開を、制裁の段階的な緩和と結び付ける長い時計を用意します。そして、二つの時計を同じ日に動かし始め、それぞれの進み具合を別々に確かめるのです。

気候変動交渉や生物多様性条約交渉、そして2015年までのSDGsの交渉の現場でも、複数の議題を一つの文書に押し込もうとして会議が止まり、議題ごとに別の作業の場と期限を与え直すことで前に進むという場面を、私は何度も目にしてきました。

もちろん、先ほど挙げた提案内容はどこにも合意されていない私の構想にすぎません。

【1-4.空母の増派と「選挙の後」】

交渉の外側では、軍事的な圧力が積み上がっています。米空母セオドア・ルーズベルトは9月27日にサンディエゴを出港し、翌28日には強襲揚陸艦マキン・アイランドを中心とする部隊が続きました。

増派の規模について、米AP通信は約9,000人、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は,9000人から1万人と伝えており、11月下旬までに中東地域に到着する見込みです。

同紙は、トランプ大統領が中間選挙の後に爆撃が再開されると側近に伝えたとも報じており、トランプ大統領自身も10月1日の米タイム誌のインタビューで、選挙後の行動は「あり得る」と述べました。

ただし、既に中東に展開しているとされる空母の姿が衛星画像では確認できないとガルフ・ニュースが報じており、実際の配置は慎重に見極める必要があります。

米ハドソン研究所のマイケル・ドーラン氏は10月2日の論考で、トランプ大統領は結局は腰砕けになるという見方を退け、米国はイランの港の封鎖を続けて「包囲する者を包囲する」戦略を貫けばよいと論じました。

同氏は、イランでは聖職者の体制が革命防衛隊による軍事独裁へと変わりつつあり、そうした体制は力で窮地を破ろうとするとも指摘しています。

その革命防衛隊は9月29日、「米国民への公開書簡」を出し、トランプ政権は「変えられなければならない」と米国の有権者に訴えました。

交渉の相手国の選挙に向けて、相手国の国民に直接語りかけるというのは、交渉の席の向かいに座る相手を飛び越えて、その背後にいる人々を揺さぶろうとする手法です。

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【2.もう一つの海峡-イエメン「夜明け」作戦とメッカ協定】

ドーラン氏は、イランの次の一手は「戦争の兵器と地理を変える」ことだと指摘しました。その「地理の変更」が、今週、紅海の入り口で目に見える形をとったのです。

【2-1.狙われた空港】

アルジャジーラなどによれば、フーシ派は9月、紅海沿岸を南下して港町モカを奪い、バベルマンデブ海峡の真ん中に浮かぶペリム島を押さえました。

今週に入ると、サウジアラビアへの攻撃を一段と強めています。日付と発表の主体ごとに整理すると、次のとおりです。

フーシ派は、メッカとメディナの上空を除くサウジの領空全体を作戦の対象とすると宣言し、国際航空会社に警告を発しています。湾岸協力会議の事務局長は、これを「危険なエスカレーション」と非難しました。

空港は国の玄関であり、出稼ぎの労働者や巡礼者が行き交う場所です。そこで命を落としたのが、北アフリカやスーダンから働きに来ていた人々だったという事実に、この戦争の残酷な広がりを感じずにはいられません。

【2-2.「イエメンの夜明け」:発表と確認の間】

サウジアラビアが支えるイエメン暫定政府の大統領指導評議会のアリーミ議長は、10月4日から5日にかけて、首都サヌアを解放し「クーデター」を終わらせるための「イエメンの夜明け」作戦を始めたと発表しました。暫定政府側は、バベルマンデブ海峡に近いズバーブ地区などで前進したと発表しています。

モカについては、国防省が奪還を発表した一方、ロイター通信は暫定政府筋の話として部隊は郊外に達した段階だと伝えるなど報道に食い違いがあり、フーシ派は政府の発表を「でっち上げの英雄譚」と否定しました。

サウジ主導の連合軍は、戦闘機約100機を投入し、324の重要な目標を破壊したと発表していますが、これも連合軍の発表で、独立した確認はありません。

内陸のタイズでは逆にフーシ派が攻勢に出ており、タイズと暫定首都アデンを結ぶ幹線道路が損壊して通れなくなったと報じられています。

国際移住機関(IOM)によれば、8月1日から10月4日までに18万4,000人を超える人々が避難を強いられました。イエメンにおける人道状況の悪化が深刻化しています。

米ハドソン研究所のジャン・カサポール氏は10月6日の分析で、サウジの空軍力は強力だが、空からの攻撃だけでは反フーシ派の勢力の慢性的な分裂を補えないと指摘しています。同氏は、

「フーシ派の部隊は退いているのか崩れているのか」

「どこに防衛線を敷くのか」

「攻勢はいつ限界を迎えるのか」

という三つの問いを挙げました。

そして、フーシ派が通常の戦闘で後退すれば、イランが湾岸諸国に対してミサイルとドローンの一斉攻撃やテロといった非対称の報復に向かうおそれがあると警告しています。

同氏が最も深刻な事態として挙げたのが、海水の淡水化施設が狙われることです。砂漠の国々にとって、淡水化施設は文字どおりの命綱です。

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【2-3.メッカ協定は何を約束し、何をまだ約束していないのか】

10月5日、サウジアラビア、トルコ、パキスタンの外相、国防相、陸軍の参謀総長がリヤドに集まり、緊急の会合を開きました。3カ国は共同声明で、集団防衛の約束を「直ちに実行に移し」、合意した軍事力と能力をサウジアラビアに「迅速に展開する」ために必要な措置をとると表明しています。8月7日にメッカで結ばれた共同防衛協定に基づき、3カ国が展開の準備を進めると表明したということです。

一方で、まだ約束されていないこともはっきりさせておく必要があります。共同声明はフーシ派を名指ししておらず、10月8日の時点で、トルコとパキスタンが実際に何を、どれだけ、いつまでに送るのかは確認できていません。カサポール氏が指摘するとおり、攻撃用のドローンを送るのか、防空システムなのか、情報や電子戦の支援なのか、それとも連絡将校だけなのかによって、この協定の性格はまるで変わります。

前号で私は、「抑止しない防衛協定はプレスリリースにすぎない」という批判をご紹介しました。今回の声明は、その批判に「展開」という言葉で応えたものですが、言葉と実際の展開の間の距離こそが、今後の焦点です。

パキスタンの足元にも不安があります。パキスタンは9月中旬から、アフガニスタンのタリバン政権との間で越境攻撃の応酬を続けており、9月30日にはアフガニスタン領内を空爆し、国連アフガニスタン支援団は子どもを中心に民間人10人の死亡を確認しました。西の国境に火種を抱えたパキスタンが、遠く離れたサウジアラビアにどれだけの戦力を割けるのかは未知数です。

約束の信頼性は、約束した者の余力で測られますが、果たしてパキスタンにその余力があるでしょうか?

【2-4.「後ろから支える」米国】

ルビオ国務長官は10月5日、サウジアラビアとイエメン政府には自衛の権利があるとし、米国はサウジアラビアとの防衛と安全保障の協定を守ると述べました。

アルジャジーラは米高官の話として、米国は計画づくり、情報の共有、空中給油で支援しており、約200人の顧問がサウジの計画センターにいる一方で、イエメンの戦争そのものには関与していないと伝えています。トランプ大統領は9月、サウジアラビアから求められたフーシ派への攻撃をいったん承認しながら撤回したと、米ニューヨーク・タイムズ紙が報じていました。

9月中旬には、オマーンの首都マスカットで米国とフーシ派が接触し、フーシ派が米国の船を攻撃しない約束をしたとロイター通信が伝えています。

自らは前に出ず、同盟国の背中を押しながら、敵とは別の取引をしておくという振る舞いは、覇権国が地域から身を引くときの一つの「作法」だと言えます。米国務省は9月17日、サウジアラビアへの最新鋭のステルス戦闘機F35の48機の売却を承認して議会に通知しており、現在は議会の審査の段階にあります。

米国は、自らの兵士の代わりに高度な兵器を地域の同盟国に委ね、各国に「自らの身は自ら守ることを求める道」を選びつつあります。

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【2-5.二つの海峡はつながっている】

二つの海峡の緊張が、なぜ世界の原油の流れに直結するのかを、輸送の経路から整理しておきます。

ホルムズ海峡は、ペルシャ湾の産油国の原油が外洋に出るための唯一の海の出口です。そのため、サウジアラビアは国を東西に横断する東西パイプラインで原油を紅海側のヤンブー港まで運び、UAEは陸上のパイプラインでホルムズ海峡の外側にあるフジャイラ港へ原油を運んで、海峡を迂回してきました。

欧州の調査会社ケプラーのデータによれば、9月のイランを除く中東の原油輸出は戦前の水準を取り戻し、フランス通信(AFP)によれば、イランを除く中東の原油輸出のうち、ホルムズ海峡を通らずに積み出される割合は、戦前の17%から約4割にまで増えています。

ただし、ここに落とし穴があります。

ヤンブー港から積み出された原油が欧州に向かうならスエズ運河の方向へ北上しますが、日本や中国、インドなどアジアへ向かう原油は、紅海を南下してバベルマンデブ海峡を抜けなければなりません。つまり、ホルムズ海峡を避けてアジアに原油を届けるための主な迂回路は、もう一つの海峡を通っているのです。

フーシ派がバベルマンデブ海峡の周辺を押さえたとされるなかで、サウジの空港や施設を狙うことは、ホルムズ海峡の圧力を紅海に逃がしてきた仕組みそのものを揺さぶることを意味します。

現に10月4日には、バベルマンデブ海峡の南のモカ沖で、タンカーが近くで複数の爆発があったと報告しています。10月5日には、ホルムズ海峡に面したオマーンのハサブの沖で、革命防衛隊がタンカーに「引き返さなければ攻撃する」と無線で警告し、タンカーが進路を変えたと英国の海事当局が発表しました。

北海ブレント原油の先物は、今週、1バレル100ドルを挟んで上下しました。G7は10月2日、国際エネルギー機関(IEA)を通じて4カ月間で1億バレルの石油備蓄を協調して放出し、最初の20日間に軽油を前倒しで大量に放出することで合意しています。また、米国のメキシコ湾を襲った嵐で沖合の生産設備が予防的に止められたことも、原油価格を下支えしました。

日本が輸入する原油の9割以上は中東産で、その大半はペルシャ湾岸の産油国からホルムズ海峡を抜けるタンカーで運ばれてきます。200日分を超える備蓄を持つ日本と違い、東南アジアの国々の備えは薄く、3月の時点でタイの備蓄は61日分にとどまっていました。

こうしたなか、10月8日にフィリピンのマニラ首都圏で開かれたアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)の閣僚会合の場で、国際協力機構(JICA)とフィリピンのエネルギー省が石油安全保障の協力に関する共同声明に署名し、経済産業省の高木啓副大臣が立ち会いました。

決まったのは、JICAがフィリピンの石油備蓄の仕組みや供給網、緊急時の対応を調べ、法的な枠組みや運用の在り方を提言し、専門家の派遣や研修で日本の備蓄の経験を伝えるという協力です。これは、高市首相が4月に打ち出した約100億ドル規模の「POWERR Asia(パワーアジア)」構想の一環に位置づけられています。

一方、日本経済新聞が会合前に報じていた、サウジアラビアとUAEがアジアの石油備蓄に協力する方針については、本稿の執筆時点で、会合で何が合意されたのかを確認できていません。

備蓄を何日分積み増すのか、産油国がどの国にどれだけ優先して供給するのかといった具体的な中身も、まだ示されていません。日本は、産油国と消費国を結ぶこの枠組みを、10月11日にサウジアラビアで開かれる国際エネルギーフォーラムでも示す予定で、そこで産油国側がどこまで踏み込むかが次の焦点です。

前号でご紹介したとおり、IEAのビロル事務局長は、最も重要なコモディティーは「信頼」だと述べていますが、その「信頼」がどのような形で示されるのか、非常に注目しています。

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【3.任務の終わり、空白の始まり-イラクという三つ目の前線】

9月30日、米国主導の有志連合による対IS軍事任務がイラクで終わり、部隊の撤収が完了したことは、前号でお伝えしました。米国が大使館を通じた関与まで手放したわけではなく、シリアには数百人の米兵が残り、対IS任務の拠点はヨルダンに移っています。

それでも、イラク国内から米軍の部隊がいなくなったことは、地域の力の配置を大きく変えます。イラク政府は9月30日から10月3日までを「主権の日」として祝いましたが、その祝賀の陰には――(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦が読み解く国際情勢の裏側戦略インテリジェンス・レポート』2026年10月9日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録ください)

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9月19日に開催したオンライン・ウェビナー「トランプが勝つor負けると世界はどうなる?」の見逃し配信を、引き続きご用意しております。

11月3日の米国中間選挙まで1カ月を切った今、今号でお伝えした米イラン交渉やイエメンの戦況、米国の中東からの後退の行方を考えるうえでも、お役に立てる内容だと思います。

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