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週刊
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2018年05月22日
 
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教育・研究 > 受験 > その他

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■■心に残る勉強、心に残らない勉強
 小学1年生から中学1年生の国語と算数と理科の問題集を見ていてふと思いました。
 ここで勉強したことの多くは、忘れてしまっても、生涯困ることのないようなものだろうということです。
 ただテストがあるから覚えなければならない、といった類の勉強が問題集のかなりの部分を占めているのです。

 例えば、国語の勉強で、どの言葉がどこにかかるかというようなことは、小学生が覚える必要はないことだと思います。
 文章を読んで内容を理解することさえできれば、主語がどうしたとか述語がどうしたとかいうことは二の次、三の次のの問題です。

 また小カッコや大カッコや分数や小数を使った複雑な計算も、計算する順序さえ理解していればいいことであって、それを間違えずに早く計算する能力は、電卓の時代にはほとんど必要ありません。

 中学生の理科で、左心房、左心室、右心房、右心室という区別をする勉強がありますが、それもそういう区別があるということを分かっていればいいのであって、どこからどこに血液が移動するかというようなところまでは覚えておく必要はありません。それらの知識は人間が覚えていなくても教科書を見ればすぐにわかることだからです。

 というようなことを考えると、現在の教育を改善するには、テストで、辞書持ち込み可、電卓持ち込み可、教科書持ち込み可、インターネット検索可を原則にするのが、いちばん手っ取り早い方法になるではないかと思います。

 そういう、すべて持ち込み可のテストで残るのは何かと言えば、やはり作文と口頭試問です。
 その作文と口頭試問の実力をつけるのは、読書と対話と文章を書く練習です。
 特に重要なのは、高度な読書です。

 しかし、なぜそういうテストが行なわれないかというと、採点する手間がかかりすぎるからです。
 教わる側のことを考えるよりも、教える側の都合で教育が行なわれていることにいちばんの問題があるのです。

 これが、心に残らない勉強です。

 では、心に残る勉強とはどういう勉強でしょうか。
 それは、逆説的に聞こえるかもしれませんが、今挙げた細かい知識の勉強でもあるのです。

 ほとんどの人にとって生涯不要になる煩瑣な知識であっても、それが人類の学問からも不要になるのかというとそうではありません。
 心臓の細かい働きに強い興味を持っている子は、その知識を学校のテストで求められる以上に深めたいと思うかもしれません。
 言葉と言葉の関わりに興味を持った子は、主語や述語や修飾語という区分を超えて、更に深く文法の研究をするようになるかもしれません。

 大事なことは、興味を持った人がその興味の範囲で高度な研究をしていくことであって、そのための基礎学力は今のように高く設定しておく必要はないということなのです。

 今の学校の勉強のほとんどは、興味の持てない知識をテストという評価によって子供たちに強制しています。
 だから、そこで得た知識は、テストが終わればほとんど忘れてしまう心に残らない勉強になっているのです。

 心に残る勉強とは、自分が興味を持ったものを研究し、その研究成果を発表する勉強です。
 受け身の勉強は心に残りませんが、主体的な勉強は心に残る勉強になるのです。

 これからの教育を考えた場合、本当の学力をつけるのは、そのような心に残る勉強の時間をできるだけ多く取ることです。
 言葉の森が今取り組んでいる寺オン作文コースや発表学習コースについても、その目的は、自分から進んで興味のあることを学ぶという心に残る勉強の時間を大事にするということです。

 これまでの終身雇用時代の価値観で考えると、人に教わるとか、テストで強制されるとか、間違いを直されるとかいう勉強が、勉強らしい勉強だと思えると思います。
 しかし、そのような勉強は、その子のその後の人生にほとんど何ももたらしません。
 本人が興味を持って取り組んだことが、あとまで生きる心に残る勉強になるのです。

 今、子供たちがやっている勉強が、本当に意味あるものだと思っている親はあまりいないと思います。
 とりあえず人並みにやっておかないと心配だからとか、受験に間に合わせるためにはやむを得ないからと思っている人がほとんどだと思います。
 しかし、本当は、子供たちが自分の好きな勉強を、好きなだけやるのがいちばんいいのです。

 小中学校時代、長い時間勉強したはずですが、何を勉強したかはほとんど思い出せません。
 それでも、四則計算や、何県がどの辺にあるかということはわかるので、勉強に意味がなかったわけではありませんが、その程度の知識や技能であれば、あれほど長い時間をかける必要はなかったと思うのです。
 それよりも、自分の好きな本を読んだり、自分の好きなことを研究したりする時間があった方が、ずっとその後の人生に役立っていたと思います。

■■思考力、表現力、創造力とは、岡潔さんの言う「わかるまでやめない力」
 本当の勉強は、大学入試の合格を目指して行うようなものではありません。
 合格したあとの大学時代、更にそのあとの長い社会人の時代に役立つものとして行うものです。
 そのときに役立つものとは、漢字力とか計算力とかさまざまな知識のようなものではなく、自ら学ぶ姿勢のようなものです。

 そういう姿勢のことを、岡潔さんは、「まだわからない問題の答、という一点に精神を凝集して、その答がわかるまでやめないようになること」と言いました。(「春風夏雨」より)
 これは、「わからない問題は、すぐに答えを見て解法を理解すること」という勉強法と正反対の姿勢です。

 本当は、このどちらも必要なのです。
 しかし、どちらかひとつを選ぶとしたら、それは、「わかるまで考え続ける」という姿勢の方です。

「解法を見て理解する」という姿勢が役に立つのは、大学入試に合格するところまでです。
 そのあとの長い人生は、「解法を見て理解する」というようなことはほとんどなく、ほぼすべてが「わかるまでやめない」ことだからです。

 寺オン作文クラスや発表学習クラスの子供たちの勉強も、これに似ています。
 多くの子が、答えのない勉強に取り組んでいます。

 答えのある勉強では、百点満点を取ればおしまいです。その先はありません。
 答えのない勉強は、いくらでも時間がかけられ、おしまいということがありません。
 ある意味で、能率的な勉強の対極にある勉強です。
 しかし、この遠回りをする力こそが、生涯役立つ勉強の姿勢につながるのです。

 この力は、わかりやすい言葉で言えば、思考力、表現力、創造力のことです。
 思考力や表現力や創造力を、漢字力や計算力やさまざまな知識の勉強と同じものとして考えている人が多いと思いますが、両者は次元の違うものです。

「思考力を鍛える算数」とか、「考える力をつける○○」のような言い方があるとしたら、それは岡潔さんの言うような「わかるまでやめない」勉強のことですが、そういうものはまずありません。
 今の世の中で言われている「思考力をつける勉強」は、すべて「解法を理解する難問」です。

 何度も言いますが、そのどちらももちろん必要です。
 岡潔さん自身も、学校時代の定期テストでは、解法を全部覚えて取り組んだそうです。
 しかし、学校を卒業したあとに残ったものは、解法の理解ではなく、わかるまでやめないことの方だったのです。

 岡潔さんは、算数教育の理想を、「わかるまでやめないようになること」と書いたあとに、「禅と数学とは、本質は同じだと思われる」と書いています。
 勉強の姿勢とは、つまり生きる姿勢と同じものです。
 今の社会では、勉強というと、いい点数を取ることが目的のように考えられていますが、本当の目的はもっとその先にあるものなのです。

■■作文の丘から手書きとテキストの両方の作文を同時に送るには
 作文の丘から、手書きの作文とテキストの作文の両方を送る方法を、以下の動画で説明しています。
 また、作文の丘のテキストの内容を編集したあと、再度森リン点を採点し直す方法を説明しています。

https://www.youtube.com/watch?v=ezgatCPkuAA&feature=youtu.be

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